TRICK+TRAP7月例会参加予定ですが…
15日のTRICK+TRAP7月例会、参加予定ですが関東台風直撃の場合中止の可能性 も、とのことです。
開催or中止の最終決定は当日の朝9時に戸川さんのblog にupされるそうです。
無事開催の場合は、行かれる方どうぞ宜しくお願いします。
私は午後1時半より遅れて参加するかもしれません~
「青年のための読書クラブ」 桜庭一樹
- 「赤朽葉家の伝説 」と野性時代に掲載されていた「ゴージャス」を読んで心を鷲掴みにされてしまった桜庭一樹さん。
- しかしその後「少女七竈と七人の可愛そうな大人 」「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」「GOSICK」と遡っていくと、あまり好みではなく、「砂糖菓子~」に関しては完全に苦手な部類。
- 一人の作家さんで、ここまで作品によって「大好き!」と「うわ、受け付けない!」に分かれてしまう事が今迄無かったので「好きな作家さん」と言っていいものかわからずにいたのですが…
今回「青年のための読書クラブ」を読んで確信を持って断言致します、私は桜庭一樹さんが大好きです!!
桜庭 一樹
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東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者(アウトロー)だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の<クラブ誌>があった。そこには学園史うえ抹消された数々の珍事件が、名も無い女生徒たちによって脈々と記録され続けていた──
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切り絵風の少女が舞う装丁、伝統ある学園、男装の美少女"王子"…なんという絶対運命黙示録 !
そして作中、彗星の如く現れる文芸ロックはなんという人間椅子!(ニューアルバム発売記念ツアーチケット無事押さえました(・∀・)!)
…という事で個人的にはツボりまくりだったのですが、そんな私の勝手な萌えとは無関係に最高で御座います。
この作品には、「赤朽葉家~」で炸裂した「偽史・桜庭一樹ワールド」が、地方都市から都会の女学園と場所を変え、更なる煌きを携えてそこにありました。
「赤朽葉家~」が正統派偽史ワールドとするなら、この作品は荒唐無稽学園偽史ワールド。
少女達は外の世界では何の意味も持たない珍騒動を、至って真面目に必死に起こし・巻き込まれ・追いかけ・書き綴っていく。
ここまで徹底して滑稽で、おかしいけれどせつなく悲しい、こんな物語を今書けるのは桜庭一樹さんしかいないのではないかと思います。
最終章に再登場するかつて異形の乙女であった彼女達…
まるで私もその一員であったかのような気持ちで、かつての少女時代と読書クラブでの日々に思いを馳せて本を閉じました。
「赤朽葉家~」で与えられた気付きは、「今生きている事の輝き」。
「青年のための読書クラブ」で私が与えられたのは「老いていく事の意義」。
現在直木賞候補となり話題の「赤朽葉家~」ですが、そんなどうでも良い賞の選考中にも桜庭さんは猛スピードで進化して、それを超える作品を出してしまう。
この先桜庭さんがどうなってしまうのか、楽しみだけれど、畏れさえ感じてしまいます。
祝!有栖川先生、学生アリス脱稿!
(情報元:有栖川探偵小説事務所の事件録
様)
ついに!学生アリスの長編4作目を有栖川先生が脱稿されたとのことです!
嬉しい~たのしみ~*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
ずっとリアルタイムで追っていらっしゃるファンの方は、にわかファンの私などとは比べ物にならない嬉しいニュースなのだろうと思います。
先生、ファンの皆様おめでとうございますっ!
「夕凪の街 桜の国」見ました
先日、試写会に当選したので映画「夕凪の街 桜の国 」(※リンク先は音が出ます)を見てきました。
漫画や小説の実写化にはつい厳しい目を向けてしまいがちなのですが、この作品は「原作より実写の方が好き!」と思えた初めての作品かもしれません。
原作の「夕凪の街 桜の国」は、原爆を直接描かず、一人の被爆者の女性の日常と、被爆二世の少女の体験するいつもと違う一日の出来事を通して「原爆」と「日本」と「私」という3つの繋がりを考えさせる、静かで重いけれど明るい、そんな原爆作品です。
個人的な印象は、「戦争はこんなに悪い」的な説教くささや「戦争はこんなに怖い」というグロテスクな描写が無い所が良かった、「面白い漫画」では無いけれど「良い漫画」。
大きく重いテーマにもかかわらず原作は100ページ強、1コマの密度が非常に高く、しっかり見ないと気付かない細かい情報も多かったのですが、映画ではそれをわかりやすく描写したり、良い方向に膨らませてあり「映像にする意味」がちゃんとあるものとなっています。
個人的に原作者の絵柄に思い入れが無いせいもありますが、キャストもイメージにぴったり。
音楽も変な歌モノではなくハープをメインとしたインストで好感触。
(ところで劇中、一箇所某バンドの曲が使われる、原作に無いシーンがあるのですがそれは凄い物語への効果があって良かった!)
上映中から他の方のすすり泣きが聞こえてくる程でしたが、「これは泣ける!」的な軽さを感じさせない所が良かったです。
ちなみに私は何かと泣きどころが人と違う為今回も涙が出ること無く、「赤朽葉家の伝説 」に通ずるものを感じて、逆に何か明るい気持ちで会場を後にしました……(でもこの作品は原爆赤朽葉家だと思う!)
- こうの 史代
- 夕凪の街桜の国
「カカオ80%の夏」 永井するみ
雑誌arに連載されている「杉江松恋のミステリー万才」で、先月取り上げられていた「カカオ80%の夏」。
永井するみさんの作品は読んだ事が無かったのですが、装丁と紹介されている内容に一目惚れしてしまいました。
永井 するみ
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私は三浦凪。好きなものは、カカオ80%のチョコレートとミステリー。クラスメートの雪絵が書き置きを残して姿を消した。いったいどうして? 17歳の凪が夏休みに遭遇した事件を描く、ガーリッシュ・ハードボイルド。
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主人公の凪(なんて素敵な名前!)は、群れることと甘えることが苦手な17歳。
好きなものはカカオ80%のチョコレートとミステリ、放課後は馴染みのバーでギネスとパスタ。
山田詠美の描く少女と若竹七海さんの描く少女を足して二で割ったような(この足して二で…という表現は本当は嫌いなのですが)、大人っぽくてクールな女の子が魅力的過ぎて身悶えしながら読んでしまいました。
あぁ、この小説を中学生だった頃の私に読ませてあげたい!!
クラスメートの雪絵に頼まれて服を見立ててあげた数日後、雪絵は不思議な書置きを残して行方不明に…
雪絵のお母さんに家出を凪のせいにされ、気乗りせず始めた調査から浮かんでくる雪絵の交友関係。
行方不明の背後にあるものは?友達とは?自分とは?
ヤングアダルト世代向けの「ミステリーYA!」シリーズだけあって、中・高生の頃に読んでいたら共感したり憧れたりしたであろう作品で、少女時代の気持ちに戻って楽しませて頂きました。
大人が読むとご都合主義的に感じてしまったり、途中で真相が読めてしまい驚けないという残念な部分もありますが、「それでもいい!」と思えてしまう魅力があります。
若竹さん大好きな私にはカカオ80%程苦くはありませんでしたが、瑞々しくて微笑ましくて甘酸っぱい!リーダビリティも高くサラっと読めてしまう、爽快感・清涼感が心地よいレモンスカッシュのような作品でした。これからの季節に是非オススメです。
──── 「ああ、なんて素敵な夏」