「夕凪の街 桜の国」見ました | カラクリリリカル

「夕凪の街 桜の国」見ました

先日、試写会に当選したので映画「夕凪の街 桜の国 」(※リンク先は音が出ます)を見てきました。


夕凪の街 桜の国


漫画や小説の実写化にはつい厳しい目を向けてしまいがちなのですが、この作品は「原作より実写の方が好き!」と思えた初めての作品かもしれません。


原作の「夕凪の街 桜の国」は、原爆を直接描かず、一人の被爆者の女性の日常と、被爆二世の少女の体験するいつもと違う一日の出来事を通して「原爆」と「日本」と「私」という3つの繋がりを考えさせる、静かで重いけれど明るい、そんな原爆作品です。


個人的な印象は、「戦争はこんなに悪い」的な説教くささや「戦争はこんなに怖い」というグロテスクな描写が無い所が良かった、「面白い漫画」では無いけれど「良い漫画」。


大きく重いテーマにもかかわらず原作は100ページ強、1コマの密度が非常に高く、しっかり見ないと気付かない細かい情報も多かったのですが、映画ではそれをわかりやすく描写したり、良い方向に膨らませてあり「映像にする意味」がちゃんとあるものとなっています。


個人的に原作者の絵柄に思い入れが無いせいもありますが、キャストもイメージにぴったり。

音楽も変な歌モノではなくハープをメインとしたインストで好感触。

(ところで劇中、一箇所某バンドの曲が使われる、原作に無いシーンがあるのですがそれは凄い物語への効果があって良かった!)

上映中から他の方のすすり泣きが聞こえてくる程でしたが、「これは泣ける!」的な軽さを感じさせない所が良かったです。


ちなみに私は何かと泣きどころが人と違う為今回も涙が出ること無く、「赤朽葉家の伝説 」に通ずるものを感じて、逆に何か明るい気持ちで会場を後にしました……(でもこの作品は原爆赤朽葉家だと思う!)


こうの 史代
夕凪の街桜の国