追悼・隆大介 「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」 | ミスター・プロレス・アワー

ミスター・プロレス・アワー

プロレス、音楽、映画、昭和のこととか

早すぎます…。
 
すごく好きな役者さんです。
 
「無名塾」出身。
仲代達矢さんのお弟子さん。
 
隆さんといえば黒澤明監督の「影武者」、「乱」が有名ですが、「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」での熱演が衝撃的でした。
 
監督は名匠・熊井啓、主演は師匠・仲代さん。
好きな映画を何本か挙げろと言われたら必ずこの作品を選びます。
日本映画だったらこの作品が一番です。
 
 
昭和24年夏、下山国鉄総裁の轢死体が発見される。
 
連合国占領下にあった当時の日本、GHQと政府のによって経済合理化政策(ドッジ・ライン)が推し進められる。
その一環として10万人の国鉄職員の解雇が発表される。
国鉄労働組合が激しく反発し反対闘争が深刻化する。
 
そんな不穏な空気が漂う最中に下山総裁の死。
 
「GHQ・政府と反対勢力の間に挟まれ追い込まれた総裁は自殺を選んだ」
「共産党を後ろ盾にした国労側が下山総裁を殺害した」
 
自殺か他殺か。

様々な憶測が飛び交う。
 
新聞記者・矢代は事件にGHQの影を感じる。
 
「国労はじめ左派が追い込んで下山総裁が自殺したとなれば世論が同情的になりドッジ・ラインに対する反発が弱まる。
そう踏んだGHQがらみの謀殺だったのでは」
 
矢代は取材を重ね多くの証拠をつかみ推理を確たるものに近づけていく。
 
しかし真実を露わにしようとする矢代に様々な勢力が不気味に立ちはだかる…
 
 
ストーリーはざっくり言うとこんな感じです。
実際にあった事件で原作を書かれたのは取材にあたった記者、朝日新聞の矢田さんです。
 
結果的に他殺が立証されず事件は時効を迎えています。
戦後日本の怪事件の一つとして有名です。
 

作品は昭和56年公開ですが戦後間もないころの雰囲気を醸し出すためかあえてモノクロです。
熊井啓監督の演出が奇跡のように素晴らしい。
 
矢代記者を演じるのが仲代さん。
隆さんは事件の真相のカギを握る男・丸山を演じています。
 
 
粗暴ではあるもののの何か大きな存在に怯えている、丸山の人物像は複雑で表現が容易でないですが隆さんは見事に演じきってます。

鋭い眼光の中に敵意、警戒心、恐怖が宿っている。これがすごい。
 
仲代さんとの掛け合いが緊張感みなぎってます。
しびれる師弟対決。
ゴッチvs猪木みたい。
 
 
「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」、現在DVDが廃盤です。
何年か前にCSで放送されたことありますが、こんな名作を寝かせておくのはもったいないです。
日本映画史上に残る名作です。
隆さんの熱演が名作中の名作にしてると思うな~。
 
 
多くの作品で活躍しつつ私生活でトラブルも起こしましたけども、絶対的な存在感がある役者さんです。
まだまだこれから活躍されたはずなのに…。
 
謹んで隆大介さんのご冥福をお祈り申し上げます。