新型コロナウィルスが流行し騒然としております。
一本の映画を思い出します。
角川映画の「復活の日」。
小松左京原作、深作欣二監督。
東西冷戦の最中、アクシデントで感染力の強い生物兵器が誤って拡散してしまい人類が滅亡。
しかし、ウィルスは性質上極寒では増殖しないため、南極に滞在している各国の観測隊だけは感染を免れ人類の未来を託されるというストーリー。
公開は1980年だっけな。
70年代パニック映画が全盛で日本でもいくつも制作されましたが、この作品はその究極形みたいなもんですかね。
舞台になってる南極はじめ海外ロケを行い、25億とも30億とも言われる莫大な製作費がかかった超大作。
今の日本映画は10億円かけるのが精いっぱいと言われてますから、40年前の30億はとんでもない額です。
海外への販売がうまくいかず商業的に失敗。角川映画はこの作品を最後に大作路線をやめたなんて言われてますね。
昨今の新型コロナウィルスの件で混乱する武漢の病院の様子がニュース等々で流れましたが、この作品の中でも同じような病院でのシーンが出てくるんですよ。映像見て「復活の日だ」と思いました。
いくら製作費が破格とはいえ、原作のスケールが壮大すぎなので制作陣はあの手この手で映像にしたそうです。
子どものとき見て恐いなと思ったのは団地のシーン。
廃墟のようになってまったく人気が全くない。
うまくやってるんでしょうが、生活感をまったく消してるんですよね。すごかったなぁ。
すごいのが木村大作さんの撮影技術。
DVDのジャケットになってる草刈正雄演じる主人公が太陽をバックにし南を目指し歩いていくシーン、神がかってます。
予告編の動画でもちょっと見られますが本当すごい!
木村大作さん、日本映画史上最高の映画カメラマンであるのは間違いないです。
生と死、暴力と絶望を描かせたら深作さんの右に出る監督はいないですが、この作品でも深作感が見事に出てます。
人類が滅亡していくまでの前半と、絶望を感じながら道を探る後半の南極のシーンの作品のタッチの違いが絶妙です。
現在流行している新型コロナウィルスは、「復活の日」のようなことはないと思いますが、一度ご覧になっていただきたい作品です。
作品の中で医師役の緒形拳がこんなセリフを。
「どんなことだって終わりがある。どんな終わり方をするかだ」。