香港馬に勝てるのか

 

続きです。

パート2ではパート1で取り上げなかった、注目の香港馬を含めた9頭を見て行きたい。

 

 

ロマンチックウォリアー

<前走>クイーンエリザベス2世C(シャティン2000m)1着

稍重で少し時計のかかる馬場ではあったがほぼフラットな状態で、11頭立ての5番手あたりからレースを進め、4角では捲ってあがったプログノーシスに蓋をされたにもかかわらず、プログノーシスの後ろから直線だけでこれを差し切る強い内容。着差はクビだが、着差以上の強さを示した。目下G1を4連勝中で敵なしの状態。マイルのG1は昨年1度だけ走って2着に敗れているが、勝ったのが最強マイラーGolden Sixtyで着差半馬身なら心配には値しない。また、4走前には左回りの豪州ムーニーバレーでコックスプレートを制しており、左回りも問題はない

したがって、日本の軽い芝に未知の部分はあるが、実力的には本命級の高い評価を与えて当然である。さらに時計のかかる馬場になればその信頼度が増す

 

 

ヴォイッジバブル

<前走>チャンピオンズマイル(シャティン1600m)3着

香港最強マイラーGolden Sixtyの引退レース。シャティンは日本の馬場に比べて時計のかかる馬場ではあるが、稍重で1000mが60.3秒くらいの比較的ゆっくりした流れであがりが34.2秒くらいの瞬発力勝負で前にいた香港馬4頭の争いの中で競り負けた。とはいえ、エルトンバローズ以下の日本馬を子ども扱いにしており香港馬のレベルの高さを示した。一方、2走前のドバイターフではハイペースでマテンロウスカイが引っ張る流れを中団の前で追走しながら直線失速しており、初の海外遠征の影響もあったかもしれないが、1Fの距離延長に加えて、左回りが原因の可能性も否定できない

したがって、レベルの高い香港マイラーでG1馬であることを考えれば、相応の高い評価を与えるべきだが、左回りで凡走する危険性も認識しておくべきである。

 

 

パラレルヴィジョン

<前走>ダービー卿チャレンジトロフィー1着

Bコース替わりながらほぼフラットな馬場ではあったが、大逃げを売ったエエヤンが2着に残れるくらいの弱いメンバー構成に恵まれて、2番手からこれを捕まえただけのレースでレース自体の価値が高くない。2走前に芝マイル路線に変えてからリステッド、G3と2連勝中だが、2勝クラスを勝ち上がってからレベルの高い中距離では好走するも勝ち上がれず、3勝クラスの勝ち上がりはダート戦であり、2連勝中とはいえ、G1では力不足と見える。
したがって、ルメール騎乗で実力以上に人気になることを考慮しても、当馬に高い評価は不要である。

 

 

ガイアフォース

<前走>フェブラリーステークス2着

G1とはいえダート戦であり、2着も参考程度。ただ、主力の海外遠征で近年のフェブラリーSはかなり手薄なメンバー構成で今年も例外ではない。一方、芝のマイル戦に限れば、昨年のマイラーズCではシュネルマイスターの2着であり、かなり強力なメンバーが揃った安田記念で、2着セリフォス、3着シュネルマイスターと同タイムで走っており、マイルでの実力は日本でもトップクラスである。
したがって、前走がダートで人気を落とすことを考慮し、昨年の実績を考え併せれば、相応のかなり高い評価を与えるべきである。

 


ウインカーネリアン

<前走>高松宮記念4着

雨で時計がかかるがやや内側有利な馬場で、スローペースを外めの2番手追走する展開に恵まれたのも確か。ビクターザウイナーが直線で外めに持ち出したことで外に振られなければもう少し差のない競馬ができたようにも見えたが、展開に加えてスプリント戦の弱いメンバー構成にも恵まれてのものである。また、2走前の東京新聞杯では2着したが、内側が圧倒的に有利なトラックバイアスが働いた馬場で逃げながら差されており、ナミュールを破った前年の同レースと比較をすると内容的に価値が下がっている
したがって、やや勢いの陰りが見られる当馬に高い評価は不要である。

 

 

エルトンバローズ

<前走>チャンピオンズマイル(シャティン1600m)8着

シャティンは日本の馬場に比べて時計のかかる馬場ではあるが、1000mが60.3秒くらいの比較的ゆっくりした流れであがりが34.2秒くらいの速いあがりを使われては切れる脚のないこの馬にとって中団からでは勝負にならない。その点は同情の余地はある。ただ、3着のヴォイッジバブルからも5馬身離されており完全な力負けでもあった。一方、4走前の毎日王冠では展開と馬場を味方につけたのは確かだが、ソングライン、シュネルマイスターを抑えて勝利しており、条件次第では好走の余地がある

したがって、好走するには内側が有利な軽い馬場で楽に先行するなど、馬場や展開でかなりの助けが必要と認識すべきである。

 

 

レッドモンレーヴ

<前走>京王杯スプリングカップ2着

Bコース替わりもほぼフラットな馬場ではあったが、スローペースをあがり32.2秒の末脚で最後方から追い込んでおり、弱いメンバー構成に恵まれた部分があったにせよ負けて強しの内容だった。一方、マイルの一線級が相手になると、昨年は安田記念6着、マイルチャンピオンシップ9着と追い込み一辺倒では通用していない
したがって、外差しが嵌るような展開の時だけ押さえ程度の評価を与えるべきである。

 

 

ダノンスコーピオン

<前走>京王杯スプリングカップ4着

Bコース替わりもほぼフラットな馬場ではあったが、中団追走から前を捕まえ切れずレッドモンレーヴには差されてしまっており、レース内容としてはレッドモンレーヴに大きく見劣る。また、3歳時に弱いメンバー構成と展開に恵まれたとはいえNHKマイルCを制し、富士Sでもセリフォスの3着と好走したが、以降凡走、二桁着順を繰り返しており、G1では能力不足は明らかである。
したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

 

ドーブネ

<前走>中山記念2着

極端に内側が有利な馬場で楽に逃げる展開に恵まれてのものであり、それでもマテンロウスカイに差されてしまっており、内容としては価値は低い。また、前年の中山記念3着やリステッド勝ちもすべて楽に先行する展開に恵まれてのものである。
したがって、当馬に高い評価は不要である。
 

 

 

今回は2回に亘って安田記念登録の全馬を対象に事前検討してみた。

今週のポイント

①香港馬2頭の評価

 ロマンチックウォリアーの久々のマイル戦

 ヴォイッジバブルの左回り適応

②週末の雨予報

 水曜日時点の天気予報では府中市は金曜日以降日曜日まで連日雨。不良馬場まであるかもしれない。

(追記)土曜日は晴れ予報に変わってます。

③日本上位人気馬の馬場適性

 ソウルラッシュの左回りとセリフォスの道悪適性

 

道悪で荒れそうなので、レースまで楽しみにしたい。