混沌としているようで

伝統の淀の3200mも数こそ揃ったがレベル的にはいまひとつ。逃げ馬不在で、なおかつG2レベルのメンバー構成。ふと思ったのは事前検討でも触れた20年前の春天。逃げ馬不在で精々シルクフェイマスがマイペースで行ける時にハナを切るくらいだったが、大逃げを打ったのが10番人気の横山典弘イングランディーレ(写真)。前走で地方のダート戦を走っていたため他陣営がまったく無視している中をすたこら逃げた。有馬記念の2着馬リンカーン、3着馬ゼンノロブロイ、準3冠馬ネオユニヴァースらが牽制し合う中で7馬身差の圧勝劇を演じた。今年は前走で予行演習済みのノリの大逃げがあるか。

 

データ的には昨年と同じもので若干手直しすれば通用しそう。条件は、①6歳以下、②56.5kg以上で重賞連対実績、③1年以内に2200m以上のG1連対かG2勝ち、④キャリア20戦未満、⑤前走5着以内といったところ。さらに勝ち馬に限れば、⑥3歳時クラシックで3着以内の実績、⑦当日単勝4番人気以内となる。ただ、所詮データは過去のものでしかない。過去にこだわると未来が見えなくなる。

 

天皇賞(春) 出馬表

出走取消:2番ヒンドゥタイムズ

 

     <上位拮抗も、人気どおりには?>

      ◎⑦タスティエーラ

      ○①サリエラ

      ▲⑤ブローザホーン

      △⑫ドゥレッツァ

      △⑭テーオーロイヤル

      △⑥ディープボンド

      ☆⑪マテンロウレオ

 

馬場状態:良馬場(京都はAコースで2週目。開幕週は雨だったが芝の根付きはよく極端に時計がかかることもなかった。今週は週中に雨で、金曜日夜から土曜日の朝にかけては公式には雨量はゼロで馬場は良い状態を確保できている。土曜日朝のクッション値は9.2と標準値の中。土曜日のレースを見る限り馬場自体は良好で時計もそこそこ。先週日曜日に雨で使われたことと週中の雨で開幕週よりは若干時計がかかっている。とはいえ、まだ若干内側・先行馬有利な状態。さらに日曜日は晴れて気温が上がって馬場が乾いて軽く速くなる。外回りコースはフラットに近づいているが、若干内側有利と見ておく。当日の馬場状態には注意したい。)
  京都:3回京都開催12日間前3週Aコース(2週目)
  東京:2回東京開催12日間前3週Aコース(2週目)
  新潟:1回新潟開催8日間全4週Bコース(1週目)

展開:冒頭で記したとおり、ここはノリが一発かまして⑪マテンロウレオが大逃げに出るとみる。離れた2番手に①サリエラ、⑫ドゥレッツァ、⑥ディープボンド、⑦タスティエーラ、⑭テーオーロイヤルだがこの辺りはスタート次第か。その後ろに⑤ブローザホーンというところか。有力馬が前にいるだけに牽制しあいでノリを放っておかない限り逃げ残りは厳しそう。3角から必ずペースが上がる。ロングスパートでバテないことが必須条件。逆に馬場がイン有利のままなら、ポジションを取って内で我慢して「淀の難所、第3コーナーの坂はゆっくり登ってゆっくり下る」鉄則どおりの乗り方で直線で内側を伸びる馬がいると有利になる。

 

G1馬に相応しい馬がおらず、優秀な配合のステイヤーもいない上に、1頭を除くとスローペースの可能性もあるレースで展開次第で着順が変わりそう。少なくともテーオーロイヤルもドゥレッツァも人気ほど強くはない。

 

本命は⑦タスティエーラ。菊花賞はモレイラが前のドゥレッツァを無視して、ソールオリエンスにだけ注意が行ってしまって3馬身半差を許したもの。もう一度モレイラが騎乗して、ルメールじゃないドゥレッツァならこちらを上に見たい。前走の負け方があまりにも不可解なうえに、再三再四レベルが低いと言っている明け4歳馬。ここで本命を打つのはどうかと思うが、配合的な部分は別にしてレースぶりが最もステイヤーらしい。「stay:持ちこたえる、我慢する

皐月賞のような前で持ちこたえるレースができればチャンスがある。もう一度だけ信じてみたい。

 

相手には①サリエラ。前走で斤量▲3kg差でテーオーロイヤルに差されてしまっているので▲2kg差の今回は常識的には逆転は厳しい。でも上記の展開で書いたように馬場と展開を最も味方につけられるのはこの馬。春天8勝の平成の盾男も令和になってからは未勝利。牝馬には不利なコースだが鞍上の腕に託したい

 

まとめて負かすなら⑤ブローザホーン。前走はテーオーロイヤルにかなりの差をつけられてしまったが、事前検討で書いたように着差ほどの差はなく、能力的には互角。サリエラの直後でレースを進めて直線でインを突ければ差し切る可能性まである

 

押さえには人気の2頭

⑫ドゥレッツァ:前でレースができる強みがあるが、菊花賞が過大評価されている。菊花賞の前でレースをした馬たちが次走以降どんな結果を見ればわかる。そこそこの評価をする必要はあると思うがオッズほどの能力差はないと思える。

⑭テーオーロイヤル:前走は内側有利のトラックバイアスが働く馬場だったことと菅原の判断ミスで差がついただけで着差ほどの差はない。前走が過大評価されている。阪神コースではあるが、一昨年の春天3着も内側有利の馬場で楽にインを追走してモノ。それでもディープボンドに差されてしまっている。能力差はないうえに外枠。先行馬にとってはありがたくない。競馬なので勝つかもしれないが、少なくともオッズには見合わない。

 

穴で⑥ディープボンド。年齢的に厳しいのはデータからも出ているが、昨年も阪神大賞典で掲示板とはいえ、惨敗に近い結果。今年も阪神大賞典は完敗。それでも昨年京都開催に替わっても2着を確保した。可能性としては低いかもしれないが、オッズに見合うだけの期待値はある。

 

最後に⑪マテンロウレオ。ノリが行く気になれば間違いなくこの馬の単騎逃げ。冒頭に記したように過去のこともあるので、かなりの大逃げになるはず。2周目の3角から先はこの馬から目が離せない。

 

こんなにいっぱい書いて結局はドゥレッツァとテーオーロイヤルで決まったりする。まあ、それも競馬だが、少なくとも上記6頭くらいは力差がない。言葉を換えると、みんなG2レベル。なので何が来ても驚けない。

GOOD LUCK!