厚労省が国民年金を65歳まで延長する試算をしていることを明らかにして、早速反対論がでていますが、果たしてそうでしょうか。自営業者の端くれとして生きていますので検証してみたいと思います。

 

 

 

国民年金の負担額は厚生年金と比べて少なく、当然手取りも少ないです。延長することで多少なりとも給付が増えるなら、自営業者の方にとってはプラスです。さらに自営業者の方の多くは高齢になっても本人次第で働くことが可能で、生涯働き続けることもできます。定年退職後は無収入になるサラリーマンと同列に考えるのは間違いです。そのメリットとデメリットについてつらつらと。

 

 

  1.国民年金納付65歳まで延長のデメリット

デメリットは被保険者の保険料負担増。これにつきます。

すぐにマスゴミは感覚的な話をしますが、数値できちんと話をしましょう。

令和5(2023)年度 国民年金 16,520円/月

 余裕を見て、17,000円/月で計算すると

 17,000✕12か月✕5年=1,020,000

 負担増は年間20.4万円、5年間で102万円となります。

 自営業者の方は収入があるので、たいへんになるとはいってもそう大きくはないでしょうが、無職の方や定年延長せずに60歳で退職された方には厳しくなります。それでも免除の制度もあるので、個人の状況によって活用できるはずです。

 

この負担増によって受給額がどの程度増えるかわかりませんが、現状の約66,000円/月が維持されるとしても

 1,020,000÷66,000/月=15.45か月

 したがって、1年4か月で元が取れることになります。

 但し、60歳までの40年分を取り戻すには10年6か月かかるので、元取りには11年10か月、65歳から受給開始すると77歳の喜寿を迎えられれば元が取れたことになります。

 

 

  2.65歳まで納付するメリット

①若年世代の負担軽減

 年金はシステム的に現役世代が高齢者を支える形になっているので、少子化が進むとそれだけ現役世代の個人にかかる負担が大きくなります。国が、国がと言いたがる人たちもいますが、国の問題よりも世代間の問題が大きいはずです。

個人的には厚生年金の月収65万円を超えると負担額が頭打ち(それ以上はいくら給料があっても同額)というやり方に問題があると思いますが、ここは国民年金(=基礎年金部分)の話なので別の機会に。

 

②自営業者は所得控除できる

 個人の問題としては確かに負担は増えますけど、払っている分は所得控除の対象です。年額20万円強が所得から控除できます。なので所得税は安くなります。

 

③iDeCoに入り続けられます

 小規模企業共済(iDeCo)は自営業の方であれば、68,000円/月を上限として投信等を購入できて運用が可能です。もちろん無税です。これはあくまでも年金制度の一環なので年金を払っていないとできない制度です。これまでは60歳までで、私のように学生時代に免除の特例(当時としては学生は納めなくていいという認識)を使っていると合計で480か月に達するまで延長ができます。これが65歳までとなると

 68,000円/月✕12か月✕5年間=4,080,000

 最大で年間81.6万円、5年間で408万円が所得控除の対象になります。

iDeCoは確定拠出年金と同じ扱いになりますので、60歳まで受給はできませんが自分のお金をiDeCoの口座に移すだけで無税で所得控除を受けられるので、自営業者にとってはとってもいい制度です。

 

よって、個人として②と③で最大約100万円/年の所得控除が受けられるのです。控除を受けられる部分も個人によって差があると思いますが、私はiDeCoを最優先にしています。新NISAよりもまずiDeCoですてへぺろ

 

私の場合の所得税にしますと、国民年金とiDeCo(上限までやっていません)で減税効果は約8万円です。国民年金が継続できていなければ、所得税を8万円プラスで払わなければならなかったかと思うと個人事業主としては厳しいです。さらにいうと、この負担増は近い将来プラスで帰ってきます。もちろん生きている前提ですが。

 

なので、政策の中身をきちんと吟味もせずに、表面だけを見て「国民の負担増だ!」と騒ぐのは考え物ではないでしょうか。

 

マスゴミではなく、良識ある善良な市民の方に理解いただけると幸いです。

 

なお、上記は私個人の見解です。見解には個人差があることを前提にお読みください。