牝馬が勝てるのか、それとも

 

3歳牡馬クラシック第1弾は皐月賞。「速い馬が勝つ」と言われてきたが、それはフルゲート24頭もいた頃の話。調教技術の進歩とフルゲートが18頭になって、速いだけじゃダメになって来ている。素軽い牝馬が挑戦したのは17年。1番人気の支持を受けのは紅一点のファンディーナ。500kg超の女丈夫も頑強な牡馬の牙城は崩せず7着に敗れた。勝ったのはアルアイン(写真)で、勝ち時計1:57.8はいまでも皐月賞レコード。さて、今年の牝馬は牙城を崩せるのか。そしてアルアインの息子の走りは。

 

 

ざっくりとしたデータ傾向は、キャリアが5戦以下で、前走は重賞で連対を果たしている、6週間以上のゆったりとしたローテを組んでこのレースに臨んで来た馬ということになるが、傾向的には大きく変わらないだろう。データはあくまでデータで過去の話なので参考程度にとどめたい。

 

皐月賞 出馬表

 

    <混戦>

     ◎⑩レガレイラ

     ○⑭シンエンペラー

     ▲⑬ジャスティンミラノ

     △⑧ジャンタルマンタル

     △⑰ビザンチンドリーム

     △⑨アーバンシック

     △①サンライズジパング

     △⑤ミスタージーティー


馬場状態:良馬場(中山連続開催も最終週8週目でBコースも3週目。先週は雨で土曜日が稍重、日曜日が重馬場で施行された。馬場はほぼフラットだったが雨で使わられた影響が心配だった。土曜日の朝時点では晴れの良馬場でクッション値は9.3と標準値の中。土曜日の内回りは6頭立ての山藤賞1鞍だけ。結果はスローペースの行ったきりで参考にはしにくい。一応はほぼフラットな状態で若干内側有利かも。日曜日も傾向は変わらないと見ておくが、馬場状態には充分気をつけたい。)

中山:3回中山開催8日間後3週Bコース(3週目)

阪神:2回阪神開催8日間後3週Bコース(3週目)
福島:1回福島開催6日間前2週Aコース(2週目)
 
展開:レースを作るのは絶好枠を引き当てた②メイショウタバルとみていいだろう。これに内枠の先行馬④シリウスコルト、⑥アレグロブリランテが続き、メイショウを楽に逃がすとしぶといので、矢作厩舎の⑪ホウオウプロサンゲがメイショウをマークしに行かないだろうか。隣同士の枠に入った⑬ジャスティンミラノと⑭シンエンペラーはこれらの先行勢を見ながらのレースになりそう。内回りコースなのと、昨年同様どの馬にもチャンスがあると各陣営が思うはずで、仕掛けが早くなりがちでペースが平均よりもスローに流れることはまずないだろう。むしろ淀みない流れだろう。⑧ジャンタルマンタルは好位からで、⑩レガレイラ、⑰ビザンチンドリームは中団からで、⑨アーバンシックらが後方からという感じだろう。厳しい流れを経験していない馬もいるので注意したい。逃げ・先行勢には厳しいレースになりそうだが、それでも我慢できるか、逆に中団以降の待機勢は差し届くか。力量差が少ないだけに展開次第で着順はかなり変わりそう展開は差し有利と見たい。

 

本命は⑩レガレイラ。スローペース症候群のトライアルレースと比べると平均ペースで流れたホープフルSを後方から差し切っているのをどうみるか。前でシンエンペラーが残るのを差し切ったから強いのか、4着・5着も道中後ろからで展開が差し馬有利だったのか。私の答えは前者。中山9日目でも馬場は外差し有利ではなかったし、それでいて大きく外に振られたがしっかり勝ち切っている。差し届くと見てこの馬から行く。

 

相手には⑭シンエンペラー。自厩舎の馬に稽古で乗り慣れた瑠星が乗るので切れないけどバテないことをわきまえて溜めずに前で4角先頭のレースをするはず。後続の餌食になる危険性はあるが、昨年のタスティエーラのように厳しい流れでこそ我慢が利くこの馬の良さが出るとみる。勝ち切るまではどうかも、バテずに踏ん張り切れると見たい。あっ、これだとホープフルの1・2着なっちゃう。でもそれでいい。

 

まとめて負かすなら⑬ジャスティンミラノ。スローしか経験していない馬がG1の淀みのない厳しい流れで惨敗するのはよくあるケースだが、この馬にもそのリスクはある。ただ、配合的には極端なハイペースに巻き込まれなければ前でレースをしても頑張り切れる内容であり、切れるというより息の長い末脚が生きれば当然勝ち負けまである。1週前追い切りで乗ったのは藤岡康太騎手だったそうだ。康太のためにも好走を期待したい。

 

押さえに⑧ジャンタルマンタル。仕上がりが早くて、レースが上手で、いかにも皐月賞向きなイメージ。おまけに鞍上は川田大明神。きっちり走ってきそうだが、ワンパンチ足りない。完成度の高さで好走することは充分考えられるが、個人的にはダート馬のイメージが付きまとう。クラシックよりもNHKマイル、それよりもフェブラリーSとかの軽いダート方がいい気がしてならない。なので絶好枠だけど押さえまで

 

差しが届く展開なら⑰ビザンチンドリーム。きさらぎ賞の内側が有利な馬場に加えて、超ドスローな展開、おまけに出遅れ。さらに乗れていない、というか日本の馬場でのペースをまったく理解していないとしか思えないピーヒュレク騎乗でも大外から差し切ったのは馬の力以外の何物でもない。クラシック登録していなかったというのも驚きだったが、追加登録料を払ってもここに挑戦してきたのは当然勝算があってのこと。オーナーは、桜花賞を勝ったステレンボッシュのオーナー吉田勝己さんの奥様の和美さん。庶民じゃないので追加登録料なんてどうってことないか。

 

穴で⑨アーバンシック。展開次第で上位に食い込むチャンスはある。前に厳しい流れで前潰れの展開になれば、昨年のソールオリエンスの再現とまではいかないだろうが、好走は可能だと見る。まして、昨年の勝利ジョッキーの手綱。西ではだめでも東では嵌る時は嵌る。レガレイラの後ろから飛んで来るならこれ。

 

穴でもう1頭は①サンライズジパング。ホープフルSの内容を考えれば、シンエンペラーと同等かそれ以上の評価は必要。ただ多頭数の最内枠でその点が心配。それでもロスなく回って、かつてのペルシアンナイトのようなレースができれば入着以上もある。

 

バツレッド買いたくないバツレッドのは②メイショウタバル。事前検討で書いたように、私には前走の勝利が価値が高いとは見えない。道悪で他馬が見た目ほど馬場が良くない(=外差しが利かない)外めに持ち出したことでコースロスに加えて馬場の不利で着差が開いてしまったもので6馬身の着差ほど力の差はない。さらにG1の厳しい流れを考えると逃げるには絶好枠で先手は取れるはずだが、買ってもせいぜい3連系のヒモまで。

 

最後に⑤ミスタージーティー。ホープフルSでインで詰まった走りを見ると上位でやれるだけの内容だった。ただ、前走は自厩舎のホウオウプロサンゲを潰さないようにという意図が働いたかどうかは知らないが、予想外のレースだった。それでも、内めの枠が引けたこと、内側の馬場が悪化していないこと、周りの馬が前に行ってくれることで、中団のインを走る展開の利が生まれそう。連下までならチャンスも。できれば佑介に弟の分まで頑張ってほしい。これは期待や希望ではなく、祈りだ。

 

予想を書きながら、ふと今は昔のレースを思い出した。「ノリのライアンが一番強い」と言われながら、横山典弘・メジロライアンは3冠すべて勝ちきれなかった。菊花賞は1番人気だったが大外18番でもあり、同じメジロのマックイーンに負けた。そして翌週のエリザ女王杯。ノリはまたしても18番の大外枠。でもいつの間にか内に潜り込んでインから差し切って見せた。勝ったのはキョウエイタップ。関西テレビの杉本アナの「1週間遅れの18番」というフレーズのインパクト。先週1番人気で敗れたヒロシ。ゼッケンこそひとつ違いの10番だが、同じクラブの馬で同じ黄色い帽子(といっても今週は染め分け帽のはず)で1週間遅れの地味なヒロシのガッツポーズを期待したい。

GOOD LUCK!