カタクリ

 

 

 

先週、「ハクモクレン」でも書きましたが、

派手に咲いて人々から愛でられるよりも地味な花の方が好きです。

今年はやっと咲いた桜も花散らしの雨に泣かされそうですが、

人々が上を向いているとき、足元でなおかつ下を向いて咲くのがカタクリです。

 

 

可憐なカタクリの花 筑波山にて 19年4月
 
山で見るカタクリは、落葉樹の下で冬の間に積もった落ち葉をかき分けるようにして斑(点々のぽつぽつ)のついた葉を広げてピンクの花を咲かせます。
 
 
筑波山の御幸ヶ原には「カタクリの里」というカタクリの保護区域があります。
つくば観光コンベンション協会によれば、
今年は開花が遅くこれからが見ごろなのだそうです。

 

カタクリは古くから人々に親しまれた花のようで万葉集にもあります。

 

もののふの八十娘子らが汲み乱ふ 寺井の上の堅香子の花 

大伴家持

 

読みは「もののふのやそおとめらがくみまどう てらいのうえのかたかごのはな」

 

万葉の昔はカタクリは堅香子と呼ばれていたそうです。

 

もののふは朝廷の役人=物部→たくさんの氏族

→八十(やそ)に掛かる枕詞

八十娘子はたくさんの乙女たちでしょう

寺井は井戸でしょうから

たくさんの水くみの乙女たち=たくさんのカタクリの花のイメージ

 

国文科の偉い教授さんたちがどんな現代語訳をつけられているかは知りませんが

水くみの娘たちとカタクリの花が美しいって感じでしょうか。

 

ただ、万葉の人々はそんな暢気な歌ばかり詠んでいたとは思えないのは

私だけでしょうか。

 

また筑波山を歩きたくなってきました。

 

今日もお付き合いいただきありがとうございました。