空き家のG1で混沌

 

2023年勝ち馬 ジャックドール

 

実力上位の中距離馬がドバイに行ってしまって、今年も一線級不在の空き家のG1でG2クラスの馬でのレースにG1馬の称号を目指して大挙登録してきた。有力馬を中心に事前検討してみたい。

<登録20頭:フルゲート16頭>

 除外対象:ロードデルレイ、モリアーナ、バビット、ファルコンビーク

 

タスティエーラ

<前走>有馬記念6着

ほぼフラットな軽い馬場で勝ったドウデュースと同じ中団の位置からレースを進めたが前残りの展開で前は捕まえきれず、ドウデュースには置かれてしまい、後ろからジャスティンパレスらに差されていいところがなかった。若干不利もあったようだが、なければ勝ち負けとまではいかず完全に力負けだろう。一方、同世代の中では速い流れの皐月賞では先行して2着に粘り、スローのダービーでは勝ち切っており世代トップクラスである。

したがって、弱い明け4歳世代とはいえ、古馬のトップクラスがいないことを考え併せれば、それなりの高い評価は与えるべきである。

 

ローシャムパーク

<前走>香港カップ8着

香港の最強馬Romantic Warrior、欧州の名門オブライエン厩舎のLuxembourgを相手に好走したヒシイグアス、不利のあったプログノーシスから見ると離されてしまったが初の海外を考えれば度外視可能。2走前のオールカマーではほぼフラットな馬場で外枠から好位の内めに寄せて脚を溜めて差し切るルメールの好騎乗があったにせよ、タイトルホルダーに1馬身以上の差をつけて3連勝でG2を勝利している。また、3走前の函館記念ではブローザホーンに完勝している。

したがって、G1としては手薄なメンバー構成を考慮すれば、本命級の高い評価を与えるべきである。

 

ベラジオオペラ

<前走>京都記念2着

内外ほぼフラットで重めの良馬場で、中団待機で脚を溜めて外めに出したプラダリアの直後で4角を回って、直線はその内に。マッチレースに持ち込んだが競り負けた。勝ち馬とは位置取りの差とも言えなくはないが、ダービー同様競った時のひと頑張りが利かなかった。1kg斤量が軽かったことを考えると能力的にはプラダリアとは互角といえる。

したがって、メンバーが手薄なG1を考えれば、プラダリアとは同等のそれなりの高い評価を与えるべきである。

 

ソールオリエンス

<前走>中山記念4着

開幕週で内側が有利な馬場に加えて雨で稍重の発表以上に外差しが利かない状態で、馬場を考えるとかなりのハイペースながら差しが届かなかったのは同情の余地がある。一方、2走前の有馬記念ではほぼフラットな軽い馬場で勝ったドウデュースの前でレースを進めたが同期のタスティエーラ同様に古馬一線級には完全に力負けであった。

したがって、皐月賞は前潰れの展開のお陰で勝利したものの内容的にタスティエーラに負けており、ダービー・菊花賞は結果としても負けていることと阪神の内回りコースを考え併せると、好走には外差し有利な馬場や前潰れの展開などのかなりの助けが必要と認識すべきである。

 

ロードデルレイ(除外対象)

<前走>白富士ステークス1着

東京開幕週の内側が有利な馬場で、中団のインで脚を溜めて直線だけ外に出して差し切った。一見鮮やかな差し切り勝ちで強く見えるが、最内をロスなく回ったこととリステッドで重賞では通用しないメンバー構成に恵まれたものでレース内容としてはあまり価値は高くない。3走前の神戸新聞杯では好位から4着に入ったが、上位3頭は古馬との対戦でG2・G3で善戦すれども勝ち切れておらず、明け4歳牡馬のレベルの低さを示している

したがって、仮に出走できるようになっても当馬に高い評価は不要であり、一線級不在のメンバーであっても好走するには馬場や展開のかなりの助けが必要と判断すべきである。

 

プラダリア

<前走>京都記念1着

内外ほぼフラットで重めの良馬場で、3番枠から好位をロスなく追走して、坂の下りから少し外めに出して直線は5分どころを伸びて追いすがるベラジオオペラを競り落とした。1kg斤量が重かったが道中のコース取りを考えるとベラジオオペラと力は互角といえる内容だった。一方、G1では4回走ってすべて馬券に絡めず、ダービーの5着が最高である。

したがって、G1ではまったく実績を残せていないが、一線級不在の空き家のG1であることを考え併せれば、ベラジオオペラと同等のそれなりの高い評価を与えるべきである。

 

ミッキーゴージャス

<前走>愛知杯1着

小倉開幕週だがほぼフラットな馬場で、3角から捲り気味に進出して着差以上に余裕のある見た目だったが、ローカルの牝馬限定のハンデ戦という低調なメンバー構成に恵まれたものであり、レース自体の価値があまり高くない。2走前の準オープン修学院Sで2着に退けたエアサージュは金鯱賞ではまったく通用していない。

したがって、3連勝中の上昇度を考慮にいれても、当馬に高い評価は不要である。

 

エピファニー

<前走>小倉大賞典1着

やや内側が有利な馬場で、セルバーグが逃げ残る展開を外を回して差し切ったと見れば立派だが、ローカルのハンデ重賞の弱いメンバー構成に恵まれたものでレースとしての価値は高くない。また、4連勝でのオープン入リ後は好走はオープン特別と前走のローカルのハンデ重賞のみで能力的にも底を見せてしまった。

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

キラーアビリティ

<前走>ネオムターフカップ2着

時計がかかった割に欧州馬が伸びきれなかったりよくわからないレースで、デムーロ弟がインべったりをロスのない競馬をしたのと時計のかかる馬場が助けになったのか、好走要因はよくわからない。2走前の中日新聞杯では金鯱賞でプログノーシスに完敗するメンバーに先着を許しており、昨年のこのレースでは13着と大敗している。

したがって、海外の実績を無視すると国内ではずっと好走がないことを考えれば、当馬に高い評価は不要である。

 

ハーパー

<前走>有馬記念9着

ほぼフラットな軽い馬場で、前が比較的楽な流れの好位を追走する展開に恵まれながらも上位には離されてしまった。前を行く2・3着馬を負かしに行ったとみれば致し方ない結果で、それでもタスティエーラと0.1秒差、ソールオリエンスとはクビ差なので同期の牡馬とも力の差がないと見ることもできる。また、リバティアイランドにオークスでは6馬身、秋華賞では3馬身半の差をつけられているが、JCでリバティアイランドがドウデュースに2馬身差をつけていることを考えても、有馬記念の着差は実力を反映していると見ることができる。

したがって、リバティアイランドに負け続けてきたとはいえ、同期の明け4歳牡馬の上位とは同等の評価を与えるべきである。

 

ステラヴェローチェ

<前走>大阪城ステークス1着

比較的軽めの時計の出やすいほぼフラットな馬場で、平均ペースのインの3番手を追走する展開に恵まれた感はあるが、1年半に及ぶ長期休養から復帰3戦目で勝てたことは、レースの格は別としてとにかく立派である。とはいえ、リステッドを僅差で買ったにすぎずもろ手を挙げて喜べる状況ではない。一方、昨年の有馬記念3着で引退したタイトルホルダーと好勝負をしていたことを考えれば、好調時に戻りさえすれば古馬のG1戦線でも戦える可能性は秘めている。

したがって、一線級不在のメンバー構成を考慮すれば、状態さえ3~4歳時の好調期に戻れば、G1でも充分勝ち負けできると判断すべきでだが、現状往時のところまで戻っているかは微妙である。

 

ルージュエヴァイユ

<前走>京都記念8着

内外ほぼフラットで重めの良馬場で、1番人気で2着だったベラジオオペラを見るような位置でレースを進めたが、直線では上位2頭からは大きく離されてしまったように完全に力負けであった。また、2走前のエリ女では2着しているが、内枠の3頭が上位を独占する圧倒的に内枠有利な馬場に恵まれたもので着順ほどの価値はない

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

リカンカブール

<前走>中山金杯1着

若干内側が有利だがほぼフラットに近い馬場で、好位のインを追走する展開と弱いメンバー構成と相対的に軽めのハンデに恵まれたものであり、レース内容的には価値が低い。2走前のチャレンジCではベラジオオペラに完全に力負けであった。さらに3走前の西宮Sで2着のエアサージュは金鯱賞ではまったく通用しなかった。(ミッキーゴージャスでも触れた)

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

ジオクリフ

<前走>中山記念3着

開幕週で極端に内側が有利な馬場で、好スタートから馬場のいい好位のインにべったりついて直線だけ少し外に出して伸びたが、ドーブネさえ捕まえきれなかった。3着とはいえ馬場の恩恵が大きかったのと戸崎の好騎乗に助けられたものでレース内容的には価値は高くない。一方、途中ダートを使われたりしているが、4走前の宝塚記念では着順的には完敗だが、前潰れの展開を考えると内容的には大きく負けておらず、馬場や展開次第では浮上の余地を残している。

したがって、好走には馬場や展開の助けが必要と判断すべきである。

 

スタニングローズ

<前走>ヴィクトリアマイル12着

Bコース替わりでもほぼフラットな馬場で小雨が降って若干湿っていたが良馬場。ただ、馬場状態以前にマイルのスピードについていけなかったのか、スタートは悪くなかったが流れに乗れず、後方のままだった。2走前の中山記念では開幕週の馬場でもほぼフラットで外枠が極端に不利ではなく、3番手の好位でレースを進めながらドーブネは捕まえきれず、後方からは差された。さらに内でゴチャついて不利を受けた馬がいる中での5着であり、着順・着差以上に力負けと言わざるを得ない。

したがって、休み明けが不利になるとは言い切れないものの、この馬の競馬の上手さと秋華賞を勝った得意な阪神内回りの2000mを考え併せても、当馬に高い評価は不要であり、好走にはかなりの馬場と展開の助けが必要と認識すべきである。

 

ハヤヤッコ

<前走>金鯱賞4着

開幕週のやや内側有利の馬場で外から追い込んだと見れば立派だが、前が比較的流れて、先行勢が苦しくなったおかげで後方待機組の出番になった。後方2番手で脚を溜めて、直線は内を掬った。前が苦しくなる展開と馬場のいい内側を走ってのものでレース内容的には価値はあまり高くない

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

カテドラル

<前走>小倉大賞典7着

やや内側が有利な馬場で、最後方のインで脚を溜めて直線伸びるも7着どまりだった。トップハンデの58.5kgを背負っていたことを考慮すると着順ほど内容は悪くないが、ローカルのハンデ重賞の弱いメンバーを相手にしてのものであり、レース自体のレベルが低かった

したがって、大幅なメンバー強化を考えれば、当馬に高い評価は不要である。

 

大阪杯の有力馬を中心に出走可能性のあるほぼ全馬の事前検討してみた。

今週のポイントは以下のとおり。

①阪神コースはBコース替わり

 小回りの内回りコースに加えてBコース替わりで、例年どおりなら内側・先行馬が有利になる。

②木曜日からの雨の影響

 火曜日時点の天気予報では、木曜日から金曜日にかけてかなりの雨量を伴う雨の予報が出ている。土曜日の馬場への影響と、使うことによる日曜日の馬場への影響に注意が要る。

③逃げ馬不在

 またしても逃げ馬不在で、ペースがどうなるか判断が難しい。通常G1では逃げ馬不在でも先行勢がある程度のペースは作るのでスローはないが、このメンバーではスローの前残りもないとは言えない。

 

出走馬確定・枠順確定をみてじっくり考えたい。