日本の国民負担率が高いの確かですが

 

いつも鋭い指摘でブログを書かれている『風の旅人』さん

フォローさせていただいているのですが、国民負担率のことと年末の給料の手取りことでコメントされています。

 

確かに事実は事実なので「おっしゃるとおり」ではあります。

ただ、これは極端な例であまり取り上げるべきものではない気がします。もとになっているのは下にリンクしたライブドアニュースの記事。

記事担当:中将タカノリ氏

 

「月給が42万円支給されたが、手取りは16万しかなかった」というのは事実ですが、年末調整がそれに含まれています。これは国民負担率の問題とは一旦切り離して考えた方がいいです。

 

 

  手取りが16万円しかなかった理由

話題の主(自称:ピエトロ)の12月の給料の大雑把な区分け

 12月の給料   424,445

 税金・社会保障費 120,504

 年末調整     138,077

 手取り      165,864

 

記事の内容を読むと「給与の浮き沈みが激しい形態」の仕事らしいうえに、事前に年末調整の額は知らされていたようです。給料のアップダウンが大きいということで12月の給料を標準と考えるのが正しいかどうかわかりませんが、仮に12月支給分が平均値とすると以下のようになります。

 12月の給料   424,445
 税金・社会保障費 120,504
 手取り      303,941

 

負担率は28.4%です。まったくおかしな数値にはなりません。実際にはこれに消費税分なども発生しますので、仮に10%とみれば、手取りのすべてが消費に回るとみれば303,941の10%=30,394が加わります。すると負担率は35.6%になります。

42万円と16万円という数値を中身を見ずに一人歩きさせるのは違う気がします。

 

 

  日本の国民負担率は高いのか

日本の国民負担率が高いのは確かで、それを言いたいのであれば上記の例を引くのはいささかというか、甚だ不適切ではないでしょうか。一個人の単月の給料を見て国政を語るのは、「木を見て森を見ず」になりかねません。

 

財務省主計局が出している令和5年度の国民負担率(見通し)は46.8%です。

 

これが高いのか、低いのかという話になると世界比較は以下の表になります。

 

OECD加盟36か国中の22番目で順位としては低い方で、負担率としては軽い方ということになりますが、北欧諸国のように教育、医療等で負担がない国もあるので単純比較していいのかどうか。

 

それから日本の場合は優秀な財務官僚がわざと問題化させていて、上記の世界比較を示すことで、同じG7のフランスやドイツよりも国民負担率が低いので「増税」する機会をうかがっていることのようです。

 

このあたりは元大蔵・財務官僚の高橋洋一さんが暴露してくれています。

 

 

政府の政策に批判的な目を持つことは大切だと思います。私もその精神は失ってはいけないと常々思っています。

一方で、上記の中将氏のような我田引水的な断片的な数値で全体を語ろうとするやり方には賛成できません。お隣の国と違って日本はデータがきちんと公開されているので実際のデータを確かめるくらいの余裕を持ちたいものです。これは自戒です。

 

なお、上記は私個人の見解です。見解には個人差があることを前提にお読みください。