ブローザホーン、重賞連覇なるか

 

2023年勝ち馬 ジャスティンパレス

 

いくらトライアルレースや前哨戦をスキップする傾向が強くなっても、春天への最短かつ最強の道は阪神大賞典が王道だろう。例年どおりフルゲートには満たないが、なかなか面白いメンバーが揃った。登録全馬の前走を中心に事前検討してみたい。

<登録15頭:フルゲート18頭>

  登録全馬出走可能

 

サヴォーナ

<前走>日経新春杯2着

ほぼフラットだが若干イン有利の馬場で、前3頭がやり合ってくれて縦長になり、8枠ながら離れた4番手の内側をすんなり確保して、馬場のいい内側を追走する展開に恵まれたことと、じっとインで我慢して直線も内を突いて差した池添の好騎乗に依るところが大きいことを考え併せると着順ほどレース内容としては価値は高くない。2走前は菊花賞で5着しているが前残りのを早めに前に取り付いた池添の好判断によるものでレース内容的には価値が高くない

したがって、競馬が上手で安定した走りができるうえに阪神内回りが有利に働くのは確かでそれなりの評価は与えるべきだがレベルの低い明け4歳牡馬でもあり、過大評価は禁物である。

 

ブローザホーン

<前走>日経新春杯1着

ほぼフラットだが若干イン有利の馬場で、速い流れを中団待機で脚を溜め、外めを上がって直線で一気に差し切った。速い流れに助けられた部分はあるが、4番手のサヴォーナから後ろはやや速めとはいえ平均ペースでありやや内側有利の馬場で外を回って差し切ったことに価値がある。また前走は京都大賞典の心房細動による競走中止明けのレースでもあった。昨夏の函館記念以降はステップを一段上がったと見ることができる。

したがって、阪神内回りコースには若干の不安もあるが、札幌日経OPでは自在性があることを示していることを考え併せれば、当馬には本命級の高い評価を与えるべきである。

 

テーオーロイヤル

<前走>ダイヤモンドステークス1着

やや内側有利な馬場で、好位から抜け出すサリエラを力でねじ伏せたのは立派だが、10頭立てで長距離のハンデ戦の手薄なメンバー構成に恵まれたものである。2走前のステイヤーズSは開幕週の内側有利な馬場で大逃げを打ったアイアンバローズを捕らえきれなかっただけで2着ながら負けて強しの内容であった。また、一昨年の春天では3着だったが、2着のディープボンドとは1馬身差とはいえ内側有利な馬場で先行しながら外から差されていることを考えると着差以上に能力差があるように見えた。

したがって、それなりの高い評価を与えるべきだが、近2走よりは相手が強化していることに注意を払うべきである。

 

シルヴァーソニック

<前走>天皇賞(春)3着

ほぼフラットな馬場で、後方待機から差してきたが、複数の先行馬が競走を中止する前潰れの展開に恵まれたことも確か。春天3着の実績は立派だが、レース内容としては先行して粘った2着のディープボンドの方がかなり上である。一方、3走前のステイヤーズSと2走前のサウジのレッドシーターフH(3000m)を連勝しており、スタミナ勝負の長距離戦は得意とするところである。
したがって、ほぼ1年ぶりの競馬でも仕上がってさえいれば好走も可能で押さえ程度の評価は与えるべきである。

 

ディープボンド

<前走>有馬記念15着

馬場や展開、あるいはメンバー強化といったこと以前に鞍上と合ってない感じで見せ場すらなく敗れたが一概に力負けとも言い切れない。2走前のJCはスピード要求度の高いレースでこちらは完全な力負けであった。一方、春天では3年連続で2着しているように長距離戦ではトップクラスの能力を有している。また、3走前の京都大賞典では内側有利なトラックバイアスが働く馬場で外を回らされながらも0.1秒差の3着に好走しているように、G2クラスでは能力上位であり能力的にも衰えてはいない

したがって、一昨年このレースの連覇を達成している実績を考え併せれば、相応のかなり高い評価を与えるべきである。

 

ワープスピード

<前走>ダイヤモンドステークス3着

やや内側有利な馬場で、ハンデが有利だった上に中団で脚を溜めて有利な内を突いてのものであり、レース内容としては価値があまり高くなく、勝ったテーオーロイヤルとは着差以上の能力差がある。
したがって、川田騎乗を考慮しても、当馬に高い評価は不要である。

 

ゴールデンスナップ

<前走>八坂ステークス(3勝クラス)2着

ほぼフラットな馬場だが、見た目は内側が傷んでいるように見えたため各馬が内を空けた。ロスのない内めを突いて直線は外めに出したが、空いた内ラチ沿いいっぱいを突いたルメール・サスツルギに差し込まれてしまったが勝ちに等しい内容だった。また、キャリア9戦で3戦目の未勝利勝ち後は連対を外しておらず、負けたレースの内容も強いので、能力的には底を見せていない
したがって、まだ準オープンを卒業できていないとはいえ、当馬にも押さえ程度の評価は与えるべきである。

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<配合>父ゴールドシップ 母メイショウジェイ 母の父タニノギムレット

主導はHail to Reasonクロスを伴うRoberto6×4。これにPrincely Giftがスピードを、Sicambre - Prince Bioがスタミナを補給。父母間に不備はなく、影響度バランスも悪くはないがメジロマックイーンの血が充分に生かされなかったのは惜しまれる。また、血の統一性はいまひとつで瞬発力勝負に不安を残す。牝馬にしては重厚な配合で課題はスピードの引き出し。開花を果たせば、バテずにしぶとい末脚が期待できる中距離ランナー

 

メイショウブレゲ

<前走>万葉ステークス1着

開幕週で内側有利な馬場で外から追い込んだようにも見えるが、道中は内で脚を溜めて外に出したのは直線だけで内で脚をためる展開に恵まれたものでレース内容としては価値は高くない。また、2走前まで準オープンながら8戦を要しても勝ち上がれなかったことからもわかるように、万葉S勝利はオープンといえどもかなり低調なメンバー構成に恵まれてのものである。
したがって、急激なメンバー強化を考慮すると、当馬に高い評価は不要である。

 

プリュムドール

<前走>万葉ステークス6着

開幕週で内側有利な馬場で、後方のインで脚を溜めて内を通ったが伸びきれなかった。万葉Sのレース内容はメイショウブレゲより劣る。そのメイショウブレゲが3勝クラスを勝ち上がれなかった馬であることからもわかるように、万葉Sはかなり低調なメンバー構成であった。

したがって、当馬に高い評価は不要である。


ショウナンバシット

<前走>仁川ステークス9着:(先週金鯱賞時と記載内容同じ)

ダート戦なので度外視可能である。2走前のAJCCでは内外差がない不良馬場で2番手を追走したが直線では伸びず9着に敗れた。昨秋は秋天・JCと中距離一線級に挑戦したが歯が立たなかった。それ以前にクラシック戦線でもレベルが低いと言われる同年代相手に好走できていない。

したがって、当馬に高い評価は不要である。


ディアスティマ

<前走>日経新春杯14着

ほぼフラットか若干内側が有利な馬場で、先行争いが激化してテンの3Fが33秒台となっては失速もやむなし。2走前のAR共和国杯でも完敗しているが、逃げ先行の自分のスタイルのレースができなかったためで度外視可能である。一方、3走前の目黒記念ではマイペースの逃げでサリエラ、ゼフィーロ、プラダリアに先着して2着に粘っている。

したがって、好走には馬場や展開の助けが必要ではあるが、メンバー構成を考慮すれば、当馬が単騎で逃げられた時は粘り込みがありうると判断すべきである。

 

ジャンカズマ

<前走>万葉ステークス4着

開幕週で内側有利な馬場で、マイペースで逃げたが後続に差されてしまった。万葉Sのレース内容はメイショウブレゲより劣る。そのメイショウブレゲが3勝クラスを勝ち上がれなかった馬であることからもわかるように、万葉Sはかなり低調なメンバー構成であった。

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

ユーキャンスマイル

<前走>中日新聞杯8着

馬場や展開以前に、中団の位置からそのまま流れ込んだだけで見どころがない敗戦だった。なお、当馬は4年前のこのレースの勝ち馬であり、3年前の2着の実績があるが、それ以降は新潟記念のみでしか好走しておらず他のレースでの内容は冴えない。

したがって、能力的に衰えている点を考慮すると当馬に高い評価は不要である。
 

ゼーゲン

<前走>京都大賞典13着

後方のままでまったく見るべきものがなかった。3走前の松籟Sで準オープンを勝ち上がったが、かなり弱いメンバー構成に恵まれたものだった。近走は使うたびに馬体がガレてきており内容も見るべきものはない。

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

アンタンスルフレ

<前走>金盃競走(大井ダート2600m重賞)7着

中央でデビューし、芝を2戦、ダートを1戦したがまったくいいところがなく地方へ転出。地方のダートに替わると6連勝でオープンまで駆け上がった。前走こそ7着だがその前は重賞を連勝している。とはいえ、馬場はダートであり距離を伸ばして実績を伸ばしているのは事実。現時点の芝は未知数。それでもスピード不足は明らかだろう。

したがって、当馬に高い評価は不要である。

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<配合>父トーセンジョーダン 母エーシンチェロキー 母の父ディープインパクト

Northern Dancer4・5×4・6は中間断絶だが、血を集めるうえでは有効。主導はLady Angela5・6・7×6・8の系列ぐるみ。次いでAlmahmoud6・7×6・6・8の系列ぐるみがスピードを補給。父母間に大きな不備はなく影響度バランスも比較的良好。強調された父の母エヴリウィスパーがダートしか走っていないのは若干気になるところ。Gainsboughでまとめる血の流れも良く、それだけにディープインパクトのスタミナの血が生かされなかったのは惜しまれる。芝ダート兼用の中距離ランナー

 

阪神大賞典の登録全馬の前走を中心に事前検討してみた。

今週のポイントは以下のとおり

①阪神の内回り

 6つのコーナーと短い直線で器用さ、競馬の上手さが要求される

②当日の雨予報

 水曜日現在、宝塚市の日曜日の降水確率は80%。実際に降るのかどうか、また降った時の降水量と馬場状態はどうか。注意してみたい。

③逃げ馬

 ディアスティマが楽に逃げる展開になると残り目に注意が要る。反面、ジャンカズマがハナを主張するとディアスティマの出方次第で変わりそう。ジャンカズマは馬券に絡むことはないと思うが、レースのカギを握る可能性がある。

 

簡単そうだが、案外難しいのかもしれない。

じっくり考えたい。