ソールオリエンスを信用できるか

 

2023年勝ち馬 ヒシイグアス

 

もうすぐ100回に届きそうな伝統の一戦。今年の古馬の中距離戦線を占ううえで大事なレースになりそう。いつものように有力馬の前走を中心に事前検討してみたい。

<登録19頭:フルゲート16頭>

 除外対象:ショウナンマグマ、グリューネグリーン

 抽選対象:ショウナンバシット、ホウオウリアリティ

 

ソールオリエンス

<前走>有馬記念8着

比較的軽いほぼフラットな馬場で、中団のインで勝ったドウデュースの前、タスティエーラの内側のポジションから直線は伸びきれず完全な力負け。クビ差の9着がハーパーなのでリバティアイランドが牡馬に挑戦していたら完勝していたはず。そのリバティにJCで負けた組が有馬で上位独占しており、そのメンバーまで不在なら比較の上では上位争いできる。ダービーで接戦を演じたベラジオオペラが京都記念でプラダリアと互角の勝負をしていることを見ると、明け4歳のトップクラスはよく見ても古馬のG2レベルまで

したがって、G2戦であれば相応の高い評価を与えるべきだが、皐月賞馬というだけで過大評価は禁物である。

 

エルトンバローズ

<前走>マイルチャンピオンシップ4着

 Cコース替わりもほぼフラットな馬場で、好位の外め追走から上位3頭には伸び負けた。とはいえ、G1での4着は立派である。但し、マイルCSでは、実力上位のシュネルマイスターとセリフォスの凡走に助けられた部分があることは否めない。また、3走前のラジオNIKKEI賞で重賞初制覇を飾っているが、開幕週の内側有利の馬場を最大限に生かしたものでレース内容的にはあまり価値は高くないさらに、2走前の毎日王冠の勝利も、同じように開幕週の内側有利の馬場で先行したことに加えて、実力上位のソングラインとシュネルマイスターが揃って仕掛けが遅れる展開の助けに恵まれたものである。

したがって、当馬には実績ほど高い評価は不要だが、競馬が上手で、中山の開幕週の馬場を生かせる可能性が高いことを考え合わせると、内枠を引くようであれば相応の高い評価を与えるべきである。

 

ヒシイグアス

<前走>香港カップ3着

香港の最強馬Romantic Warrior、欧州の名門オブライエン厩舎のLuxembourgを相手にアタマ、アタマ差の僅差の3着で走っており、明け8歳馬となるが衰えは感じさせない。一方、暑さには弱く、熱中症による長期離脱など暑くなると調子を崩すが、寒い時期は好調で、好走のほとんどが11月から4月までの時期に集中している。また昨年のこのレースの覇者でもある。

したがって、明け8歳馬ではあるがキャリア20戦と出走数が少なく、冬場に走ることを考えれば相応の高い評価を与えて当然である。

 

ジオグリフ

<前走>チャンピオンズカップ15着

近2走はダート戦なので度外視可能。3走前の宝塚記念では、ほぼフラットな馬場で前が競り合う速い流れを中団待機で展開としては向いたはずだが見せ場さえなかった。イクイノックスを降して皐月賞馬になったとはいえ、馬場と展開の助けに加えて、福永の好騎乗が呼び込んだクラシック制覇であり、同期のトップメンバーとは大きく見劣りする。配合的には芝ダート兼用と思えるので、芝で頭打ちなのでダートに矛先を変えたというところだろう。

したがって、芝に戻しても期待できるわけではなく、かつての皐月賞馬だからといって高い評価は不要である。

 

ソーヴァリアント

<前走>マイルチャンピオンシップ12着

 ほぼフラットな馬場で、好位追走から伸びを欠いたが、比較的前に厳しい流れを好位追走したもので同情の余地はある。また、2走前の富士ステークスでは上位2頭には離されたとはいえ、初のマイル戦で3着を確保した昨年の中山記念では見せ場なく1番人気を裏切ってしまったが、チャレンジCでは長い休養を挟みながらも連覇を達成している。

したがって、 近走の不振を考慮して、前走から1Fの距離延長を考え併せると、押さえ程度の評価を与えれば充分である。

ラーグルフ

<前走>アメリアジョッキークラブカップ8着:

 ほぼフラットな馬場ではあったが、かなり渋った。道悪適性が必要な悪い馬場状態を考えれば度外視可能である。近3走は結果が出ていないが、4走前の昨年の中山記念では中山金杯を制した勢いのまま、開幕週のやや内側が有利な馬場で外を回らされながらも好走している。但し、内を突いたシュネルマイスターとイルーシヴパンサーの不利がなければ結果は微妙。

したがって 、寒い時期に好走することを考えれば、巻き返しにも注意を払うべきである。

 

レッドモンレーヴ

<前走>マイルチャンピオンシップ9着:

 ほぼフラットな馬場で、いつもどおり後方から。着順ほど大きくは負けていないが、差し追い込み勢が上位を占めた中では見どころがなかった。一方、2走前の富士SではマイルCSの勝ち馬ナミュールの2着に好走しており、イルーシヴパンサーにも先着した。4走前には京王杯SCも制している。

したがって、当馬の巻き返しにも注意を払うべきだが、差し脚質と下級条件戦以外では東京コースでしか好走していないことを考慮すると、展開や馬場でかなりの助けが必要と判断すべきである。

 

マテンロウスカイ

<前走>東京新聞杯5着

内側が極端に有利な馬場で上位は内側を通った馬が独占したレースで、道中は勝ち馬の外側の位置取りだったが、上位入線馬が軒並み内側を通ったのに対して、この馬は終始1・2頭分外を回らされて、直線も外から差して来ていることを考えると着順ほど悪い内容ではない。一方、2走前のリゲルS(リステッド)では勝利しているが、ほぼフラットな馬場ながら若干内側有利な状態で、スローペースの2番手を楽に追走して差し切っただけであり、レース内容的にはあまり価値は高くない。

したがって、今回はメンバーが強化されるとはいえ、前走で進境が見られたことを考え併せると、押さえ程度の評価は与えるべきである。

 

ドーブネ

<前走>京都金杯14着

 京都開幕週の内側有利な馬場で、外枠からハナに立てず終始外めを回らされたと見れば同情の余地はあるが、負け過ぎである。その前のリステッド2戦は連勝しているが、スローペースを逃げか、2番手追走で押し切っただけであり、レース内容としての価値は高くない。また、昨年のこのレースの3着馬であるが、スローで先行して、直線では内に斜行して後続の進路妨害をしてギリギリのもので、着順ほどの価値はない。

したがって、当馬に高い評価は不要であり、好走には馬場と展開で昨年以上のかなりの助けが必要と判断すべきである。

 

マイネルクリソーラ

<前走>中山金杯3着

年末のAコースからCコース替わりで内側有利なトラックバイアスが働いたうえに、例年よりも硬くて軽い馬場で、外枠から前めにつけたが、終始外めを回らされた割には最後も良く伸びた。55kgの斤量にも恵まれた部分はあるにせよ、相手なりに走るこの馬の良さはしっかり出した。デビュー以来3走前の重馬場で出遅れて完全な前残りのレースになったオクトーバーS以外は掲示板を外しておらず、相手なりに走る安定感は健在である。

したがって、ハンデ戦の前走よりもさらにメンバー強化で別定戦になることを考慮すれば、安定して相手なりに走ることを考え併せても、押さえ程度の評価を与えれば充分である。

 

イルーシヴパンサー

<前走>マイルチャンピオンシップ6着

 ほぼフラットな馬場で、後方待機から直線で大外を通っていい脚を使ったが上位には少し伸び負けた。とはいえ、コースロスが大きかった割に着差は僅かで、上位とは大きな能力差はない。5走前には京都金杯を制したが、このときは内側有利なトラックバイアスを最大限に生かしたものでレース内容的には少し割引が必要である。一方、一昨年の安田記念では1番人気に推され8着に敗れたとはいえ、勝ったソングラインとは0.2秒差と着順ほど負けてはいなかった。

したがって、能力的には差がなくそれなりの高い評価を与えるべきだが、差し脚質であることを考慮入れると、好走には展開や馬場の助けが必要と判断すべきである。

ボーンディスウェイ

<前走>中山金杯4着

内側有利なトラックバイアスが働いた馬場で、テンで行き脚がつかずハナには立てずに外めの3番手から。馬場と展開を味方につけて直線は一旦先頭に立ったが粘りきれなかった。斤量56kgに加えて、馬場と展開にも恵まれての結果を考えると着順ほど内容的な価値はない。2走前の常総S(3勝クラス)では勝利しているが、先行して楽に3番手追走から差しただけでレース内容的にはあまり価値は高くない

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

中山記念の有力馬を中心に事前検討してみた。

今週のポイントは以下のとおり。

①中山は開幕週

 週中の雨か雪の影響は見る必要があるが、晴れれば内前有利な軽い馬場で、差し追い込み勢は脚を余しがちなので注意が要る。

 

②有力馬の乗り替わり

 ソールオリエンス 川田→田辺

 ヒシイグアス モレイラ→キング

 ソーヴァリアント 池添→武豊

など。

 

馬場状態を含めて、じっくり見ていきたい。