ナムラクレア、1400mでも大丈夫か

 

2023年勝ち馬 ララクリスティーヌ

 

1400mという微妙な距離の牝馬限定戦にフルゲートを超える登録があった。冬の京都連続開催も最終週だが、例によって有力馬を中心に事前検討してみたい。

<登録19頭:フルゲート18頭>

 コムストックロードは除外対象

 

ナムラクレア

<前走>スプリンターステークス3着

やや内側が有利な馬場で1番枠を引きながら浜中がわざわざ外に出して負けたレースで鞍上のボーンヘッドで負けただけでレース内容としては負けて強し。ただ、いつも書いているように、日本のスプリント戦線は世界的に見てもレベルが低い。海外ではまったく太刀打ちできていない。さらに当馬は1200m戦以外では勝ち鞍がない。桜花賞3着馬だが、内側有利な馬場で最内枠からロスなく好位を追走する展開に恵まれたものでレース内容としては価値が低い

したがって、スプリント戦であれば上位だが、1Fの距離延長でレベルの高いマイル戦線組との対戦を考慮すれば、それなりの評価は与えるべきだがスプリント戦の実績だけで過大評価は禁物である。

 

ソーダズリング

<前走>ターコイズステークス4着

ほぼフラットな馬場で若干力の要る状態で、逃げた8番人気のフィールシンパシーが2着に残るスローペースを中団待機から直線伸びるも僅差届かなかった。とはいえ、内容的には負けて強しのもので力負けではない。2走前の三年坂S(3勝クラス)では初のマイル戦ながら、超スローペースの好位から抜け出したモズゴールドバレルを中団からきっちり差し切っており、レベルの高い中距離戦線で戦ってきた実力を示した。

したがって、レベルの高い中距離で戦ってきたことを考慮すれば、さらなる1Fの距離短縮に対応できさえすれば巻き返す可能性はかなり高いと判断すべきである。

 

メイケイエール

<前走>ブリーダーズカップフィリー&メアスプリント9着

海外のダート戦であり、9頭立て9着も度外視可能。2走前のスプリンターズSでは内側有利な馬場で8番枠スタートながら内には寄せられず、ずっと内ラチから4頭分くらい外を力んで走っていた感じで直線も伸びきれなかったが力負けとまでは言えない。一方、3歳時のチューリップ賞ではかかって暴走気味に行ってしまってもマイルを勝ち切っているし、4歳時の京王杯SCでは好位で我慢して直線抜け出して勝ち切っている。1400mがダメだというわけではない。

したがって、このレースを勝ち切るだけの能力は持っているのは確かだが、気性的にあてにしずらい部分と、時計のかかる馬場は有利とは言えないことを考え併せると、一発はあるかもしれないが信頼性は低いと判断すべきである。

 

ロータスランド

<前走>阪神カップ6着

ほぼフラットな馬場ではあったが8枠15番からのスタートは不利で、岩田オヤジがうまく内に寄せたとはいえ中団の底で終始2・3頭分外を回らされた。ハイペースで前に厳しい流れになったとはいえ2・3着とは0.1秒差、4~7着はタイム差なしの接戦ででのもので明け7歳牝馬とはいえ極端に力の衰えは感じられない。また、昨年のこのレースでは阪神コースではあるが、内側有利な馬場で大外枠から内に寄せる岩田オヤジの好騎乗があったにせよ、大外枠を克服して3着を確保している。そして一昨年の勝ち馬でもある。

したがって、当馬にも相応の高い評価を与えるべきで、特に内側有利の馬場で内枠を引いた時には充分に警戒する必要があると認識すべきである。

 

プレサージュリフト

<前走>キャピタルステークス2着

ほぼフラットな馬場で、スローペースで楽に逃げたドーブネの2番手につけながら捕まえることができなかった。2走前の府中牝馬Sではスローペースを後方から脚を余す形で5着に敗れているが、4歳以降は比較的前につけられるレースができるようになった反面、末脚に甘さが出ていてもどかしい内容のレースを繰り返している。

したがって、初の1400m戦だが、レベルの高いマイル以上の距離で戦ってきたことを考慮すれば、それなりの評価を与えるべきである。

 

ウインシャーロット

<前走>阪神牝馬ステークス4着

Bコース替わりに加えて、雨上がりの内から乾いた稍重馬場でかなり内側有利の馬場で逃げてレースを作ったが後続3騎に差されてしまった。内側有利な馬場でスローペースの逃げだったことを考えると残念な結果だが、連対率100%の1400mに比べるとマイルでは末脚が甘くなることと、あまり得意ではない渋った馬場が影響したと見れば力負けとは言い切れない。2走前は昨年のこのレースでフラットな馬場ながら果敢に逃げて、ララクリスティーヌにゴール前で差されてしまったがハナ差だった。問題は1年近い休養を余儀なくされた脚部不安である。

したがって、脚の状態が万全であれば、休み明けでも相応の高い評価を与えるべきだが、引退の顔見せと言えなくもないので追い切りの状態には充分注意を払いたい。

 

シングザットソング

<前走>京阪杯9着

最終週でも馬場状態は悪くない状態でほぼフラットな馬場で、中団のインをロスなく追走して、直線だけ少し外に出して追うも伸びなかった。上位とは完全に力負けであった。2走前のリステッドのオパールSでは勝ち馬からクビ差の2着に好走しているが、開幕週の内側有利の馬場で内を通った馬が上位を独占したレースで、内ラチ沿いで脚を溜め最内をロスなく回って差したもので内容的には着順ほど価値は高くない

したがって、当馬に高い評価は不要であり、好走にはかなりの馬場や展開の助けが必要と認識すべきである。

 

ゴールドエクリプス

<前走>エリザベス女王杯14着

準オープンを勝ち上がって直後のG1挑戦であり、エリ女自体はメンバーレベルが低かったとはいえ、荷が重すぎた。2走前の大原Sでは2番手追走から差し切っているが7頭立ての少頭数に加えて弱いメンバーに恵まれたものでレース内容的には価値は高くない。一方、その前の2走はマーメイドS、小倉記念と重賞で4・3着に好走しているが、ともにハンデ戦で51kgという軽ハンデに恵まれたものである。

したがって、別定で初の1400m戦を考えるとペースについていけない可能性が高く、好走には外差し有利な馬場で前潰れの展開になるなどかなりの助けが必要と判断すべきである。

 

モズゴールドバレル

<前走>秋色ステークス(3勝クラス)1着

Cコース替わりでもフラットな馬場ではあったが、超スローペースの2番手を追走する展開に恵まれたもので、次走から元町S→京都金杯を連勝するコレペティトールを降しての勝利ではあるが、レース内容的には着順ほど価値は高くない。2走前の三年坂Sでは上記したように、スローペースのインの3番手という絶好位を確保しながらソーダズリングに外から差されているようにソーダズリングよりも能力的に明らかに劣っている

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

テンハッピーローズ

<前走>朱鷺ステークス1着

ほぼフラットな馬場で、平均ペース逃げ込みを図るサーマルウインドを中団待機から外を回って差し切る強い内容。サーマルウインドは次走で信越Sを勝ち上がり、ターコイズSではソーダズリングよりも2kg重い斤量を背負いながら遅れること0.2秒で走っており、サーマルウインドを秤にかければ、ソーダズリングと当馬は互角と見ることもできる。一方、当馬は1400m戦は左回りでは10戦して【3-2-1-4】なのに対して、右回りでは4戦で【1-1-0-2】とともに連対率は5割ながら、右回りでは2勝クラス以降好走がなく、陣営が右回りを避けているようにも見える。

したがって、1400mは得意の距離ではあるが、オープンで右回りに実績がないことと昨年も6着に敗れていることを考え併せれば、押さえ程度の評価を与えれば充分である。

 

トップオブライト

<前走>知立ステークス(3勝クラス)1着

ほぼフラットな馬場で、ハイペースを外から追走して2着に2馬身差をつけての勝利と見れば立派だが、逃げた馬が2着、2番手の馬が3着に残っており、弱いメンバーに恵まれた感は否めない。また、当馬は3勝クラスを勝ち上がるのに9戦を要しており、前走がメンバーに恵まれたものであることを裏付けている。

したがって、弱いメンバーを相手にレベルの低い1200mを勝ち上がったことを考えれば、当馬に高い評価は不要である。

 

アルーリングウェイ

<前走>オーロカップ9着

ほぼフラットな馬場で、前後半ほぼイーブンの平均ペースを53kgのハンデにも恵まれて5番手あたりを追走する展開にも恵まれながら直線は伸びきれず、4走前に3勝クラスを勝ち上がってからオープンでは力不足を感じさせる走りが続いている。

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

京都牝馬Sの有力馬を中心に事前検討してみた。

今週のポイントは京都連続開催最終週の馬場

①冬の京都の重い馬場

 例年よりも軽い馬場状態が続いていたが、先週あたりから本格的に馬場が重くなってきた。例年どおりなら、勝ち時計は1分21秒台だろう。

②Dコース替わり

 1週限りのDコース。コーナーは先週も内外差がなかった。直線は少し荒れていたがバビットの好走があったように見た目ほど悪くなかった。外差し馬場はないとしても、内前有利になるかどうか見極めたい。

 

土曜日の芝のレースは4鞍すべて外回り。展開を含めてじっくり考えたい。