ホントにサトノグランツか

 

2023年勝ち馬 ヴェルトライゼンデ

 

久々に京都に戻った日経新春杯。フルゲートに満たない15頭の登録となった。冬場のハンデ戦だけに状態の見極めが重要になりそう。例によって、前走から有力馬を中心に事前検討してみたい。

<登録15頭:フルゲート18頭>

 

サトノグランツ(57.5kg)

<前走>菊花賞10着

ほぼフラットな馬場で中だるみのスローペースを後方からレースを進めたが、先行勢が残る展開であったにせよ見せ場すらなかった。一方、2走前の神戸新聞杯ではスローペースながらも差し切っているが、内枠からロスのない競馬をさせた川田の好騎乗によるものでもあり、G2レコード勝ちというほど内容的にレース価値は高くない。また有馬記念の結果でもわかるとおり、明け4歳牡馬は全体のレベルが低い。もちろん、だから即このレースでも通用しないとはならないが注意しておく必要はある。

したがって、同世代で重賞2勝の実績にそれなりの評価を与えるべきだが、斤量からも人気ほど信頼度は高くないと判断すべきである。

 

サヴォーナ(56kg)

<前走>菊花賞5着

トライアルの神戸新聞杯レコードのハナ差2着から、G1で掲示板とみれば立派だが、中だるみのスローペースを早めに前に押し上げる展開に恵まれたことと池添の好判断の依るところが大きく着順ほどの価値はない。実際に、先行して4着だったリビアングラスが次走の自己条件の3勝クラス・グレイトフルSで完敗していることからも、菊花賞の先行勢は着順ほどレース内容は高くない。また、上記のとおり神戸新聞杯でも2着に好走しているが、スローペースの好位のインを追走する展開に恵まれたものである。

したがって、重賞好走という実績ほどの高い評価は不要であり、内側が有利な馬場で、楽に先行する展開に恵まれれば粘り込みもありうるという程度の評価で充分である。

 

ハーツコンチェルト(55kg)

<前走>菊花賞6着

後方からのレースが多いが、好スタートからいつもより前で好位の外めを楽に追走する展開に恵まれながら、バックストレッチで捲り気味に進出した典ちゃんのトップナイフに蓋をされる形で仕掛けが遅れた。これを影響が大きく、バランスを崩しているから度外視可能と見るか、力量不足と見るかは微妙なところ。また、2走前の神戸新聞杯でも5着に敗れているが、こちらはスローの前残りの展開で外を回らされたものであり、着順以上に強い内容であった。3走前のダービーでも僅差の3着で走っており、能力的には明け4歳世代ではトップクラスである。

したがって、世代トップクラスの当馬にそれなりの高い評価を与えるべきだが、いつもどおり後方からのレースになると、スローペースや内側有利なトラックバイアスが働く馬場では脚を余す危険性があることも認識しておきたい。

 

ブローザホーン(57kg)

<前走>京都大賞典 競走中止

前走の競走中止は心房細動によるもので度外視可能である。2走前の札幌日経オープンでは弱いメンバーに恵まれたのは確かではあるが6馬身差で圧勝しており、力の違いを見せつけている。3走前には函館記念で勝ったローシャムパークから2馬身差をつけられたが3着に好走しており、重賞級の力はすでにあるといえる。

したがって体調さえ戻っていれば、競走中止明けでもそれなりの高い評価を与えるべきである。

 

リビアングラス(54kg)

<前走>グレイトフルステークス7着

ほぼフラットな軽い馬場ではあったが、外めの枠でマイペースで逃げる自分の競馬ができなかったにせよ、3勝クラス相手に勝ち馬から0.7秒差7着は負け過ぎである。2走前の菊花賞では4着に好走しているが、中だるみのスローペースを早めに先頭に立つ展開に恵まれたもので着順ほどの価値はない。また、4走前にはサトノグランツが勝った京都新聞杯で僅差の3着の実績があるが、これも弱いメンバー構成と楽に逃げる展開に恵まれたものである。

したがって、当馬に高い評価は不要であり、好走には内側有利な馬場で楽に先行する展開などかなりの助けが必要と判断すべきである。

 

レッドバリエンテ(55kg)

<前走>アルゼンチン共和国杯7着

ほぼフラットな馬場で最後方待機からいい脚を使って追い込むもスローペースの展開では届かなかった。とはいえ勝ち馬から0.4秒差で着順ほどは負けていない。また2走前のムーンライトハンデ(3勝クラス)では57kgのトップハンデを課せられながらきっちり差し切って実力を発揮している。ただ、追い込み一手の脚質で嵌り待ちのようなレースになりやすく脚を余すケースも多い。

したがって、好走には差しが届く展開や外差し有利なトラックバイアスが働く馬場になるなどの助けが必要と判断すべきである。

 

ディアスティマ(57.5kg)

<前走>アルゼンチン共和国杯13着

出脚がつかず中団からの競馬になってまったく見せ場がなかったが、逃げる自分の競馬ができなかったためと割り切ってみれば度外視可能である。2走前の目黒記念では2着に粘り込んでいるように、逃げるか、離れた2番手でマイペースの自分の競馬さえできれば通用するだけ能力は持っている。それは4走前の日経賞でもタイトルホルダーの2番手から粘り込んでいることからも判る。

したがって、当馬が好走するには内側が有利の馬場で楽に先行するなど展開の助けが必要と判断すべきである。

 

ヒンドゥタイムズ(58kg)

<前走>京都大賞典4着

馬場が渋ってやや時計はかかるものの開幕週の内側が有利な馬場で、中枠ながら徐々に内に潜り込んで内側有利の馬場を生かしたものであり、レース内容としての価値はあまり高くない。また、弱いメンバーに恵まれた小倉の2重賞(小倉大賞典・小倉記念)では好走しているが、それ以外の重賞では20年のチャレンジCまで遡らないと好走歴がない。

したがって、ルメール騎乗は魅力でも過剰人気になることも考え併せると、かなりの展開の助けがありそうな場合だけ押さえ程度の評価を与えれば充分である。

 

ハーツイストワール(57kg)

<前走>アルゼンチン共和国杯6着

ほぼフラットな馬場で中団の後ろで勝ったゼッフィーロや3着ヒートオンビートとほぼ同じ位置でレースを進めたが、上位には伸び負けた。ただ、これは切れ負けではあるが約1年振りのレースだったことを考えれば悲観する内容ではない。また、一昨年のアルゼンチン共和国杯で2着に好走しており、ハンデ戦のG2であれば通用するだけ能力は持っている。さらにG1を除けば、3勝クラス以降で連対を外したのは馬場が渋った阿武隈Sと前走だけである。

したがって、明け8歳馬とはいえキャリア19戦でまだ馬に若々しさが残っている当馬にもそれなりの高い評価を与えるべきである。

 

ショウナンバシット(55kg)

<前走>ジャパンカップ11着

上位2頭は別にしても、3~5着馬も有馬記念で上位を独占したことを考えれば、メンバーが強すぎて相手にならなかったのが実態。一方、皐月賞では5着に好走しているが、内がポッカリと開く展開に恵まれたもので、今回出走する明け4歳世代の中でも能力的に少し見劣るのは実績からも明らか。

したがって、当馬に高い評価は不要である。

 

日経新春杯の事前検討をしてみた。

今週のポイントは以下のとおり

スローペース

 ディアスティマ、リビアングラスではハイペースにはならない。

徐々に重くなる京都の馬場

 夜露、朝露で降水がなくても馬場が重くなる冬場。

世代間比較

 明け4歳馬はハンデ戦なら通用するか

 

じっくりと考えたい。