次回のワイン輸入に際し水面下で動き始めました。今回は空輸ではなくリーファーコンテナ混載の海上輸送に決定しました。また大変な時期の到来ですが、インド旅行記はまだまだ続きます。
【第7話】 ヴィシュヌ神の悪戯
前回までのあらすじ。21時間かけてアグラー発バラナシ行きの車内で忘れられない夜を体験した。お金を取られるか命をとられるかのどらかだと囁かれる犯罪の温床SL列車。その三等を生き抜いたというロマンチックとは程遠いお話だ。
しかし、運が良かったのか、はたまたリスクマネジメントが功を奏したのか、奪い取られたものは何一つなかった。大自然のスケールの大きさだったり、インド人の国民性だったり、今後の糧となるであろう自然や人間との付き合い方を学んだ。万事休すという言葉は私の辞書にはないのだ。
さて、無事にバラナシに辿り着いたので次のアクションとしては寝床の確保が待っていた。夜の9時過ぎからの宿探しである。降り立った初めての土地はできれば明るい内に宿入りをしたい。地理感ゼロの上、異国での夜は大人でも怖い。狂犬病持ちかもしれない犬の遠吠えが響き渡り背筋に緊張が走った。
こんなこともあろうかと時間のあり余った日中に滞在する宿の目ぼしぐらいは付けておいた。基本的には宿の予約はしない。気ままな旅行なので進路変更は日常茶飯事だ。途中でトラブルに遭遇して目的地に辿り着けない可能性もある。つまり予定は未定なのだ。
満室が予想されるシーズンや宿泊地でフェスティバルでも開かれない限り予約は不要だ。(Booking.comで予約したら安い場合があるのでそこは臨機応変に)宿泊する部屋の状態を実際に確認してから泊まるか否かも判断したい。
ついでに駅から街までのおおまかな距離も把握しておく。相場を知っておくとリキシャ(三輪自動車タクシー)に乗る際の値段交渉にも大いに役立つからだ。
バラナシ駅からの目的地は中心部であるガンジス川沿いにあるヴィシュヌゲストハウスと決まっていた。タクシーを探すまでもなくリキシャワラーが2、3人近寄ってきた。
「どこから来た?日本人か?」
「いいえ、韓国人よ」
その場にいた全員が首を横に振る。
「違う、君は日本人だ。なぜウソをつく」
郷に入っては郷に従えと言うじゃない・・・・心の中で呟く。
「街に行くのか?タクシー乗るか?」
「ええ、ヴィシュヌゲストハウスを知ってるかしら」
全員首を縦に振る。
「ああ、あのホテルは先月クローズしたよ。火事で焼けたんだ」
行く先々の宿が潰れるか火事で燃える。この類のウソには慣れた。
「そんな筈ないわ。3分前に電話したらやってたわ」
ウソにはウソで勝負だ。
「OK、10ドルでどうだ?」
「10ドル!!冗談じゃない。40ルピーで」
市街地までの相場は50ルピー前後である。(1ルピーは約1.7円)インド人による観光客への客引きやぼったくりは世界トップレベルである。頼んでいないお土産物屋に連れ回されたりマージンをもらえるホテルに連行される。だから私は最初にはっきりこう言う、
「依頼した目的地でなかったら1ルピーも払わないから、約束は守ってね」
それでもパンジャビドレスやサリーを仕立てる布屋に停車するのがお決まりだ。
交渉の一部始終は割愛させて頂くが10分ほどで56ルピーで決着が付いた。相場である50ルピーまで持っていき最後に私はこう尋ねた。
「貴方子供は何人いるの?」
「3人だ」
少なくて安堵した。インドでは15人兄弟とかザラだ。
「じゃあ56ルピーでどうかしら。6ルピーは2ルピーづつ3人の子供達へ」
「OK、乗れよ」
交渉成立だ。
カーストの下位者の仕事であるリキシャワラーの日当は450円もない。生まれながらの身分により就ける職業が決められている。カースト制度について、詳しくはインド旅行記第2話を参照してくれ。
2ルピーだと子供達に人気の遊びである凧揚げのカイトが買える。リキシャワラーのおじさんも心なしか嬉しそうだ。おじさんと記載したが貧困と気苦労のせいか確実に私より若いであろう青年の背中を見つめながらカースト制度がもたらす弊害をふつふつと感じ取った。
暫く走るとゲストハウスに到着した。看板でホテル名をヴィシュヌゲストハウスと確認をした。レセプションでも念の為ホテル名を確認する。
時間帯のせいか珍しく各駅停車ではなく目的地までのダイレクト走行。幸いゲストハウスにも空室があった。疲れから虫よけスプレーをばら撒き、蚊取り線香をセットし泥のように眠りについた。
翌朝、朝食の前にガンジス川のガート沿いを散歩した。沐浴をする老若男女、焚火で暖を取りながらチャイをすする老人、これから稼働するであろう火葬場を右手に北上して行く。大国が目覚めて動き出そうという瞬間だからか、近寄ってくる疎ましいインド人もまだそんなに多くはない。
散策を続けるうちに手持ちのマップが指し示す位置と現在地が違うという事に気が付いた。宿の位置からするともっと北にいるはずなのにどういうわけか私は南にいる。
不可解なことだがそう大事ではない。空腹こそ大事だ。(前話で経験している)食事を摂りにヴィシュヌゲストハウスの屋上テラスに向かった。この後、あっと驚く事になるとはこの時は予想だにしなかった。
ゲストハウスのヴィシュヌとはヒンズー教の最高神である。シヴァが破壊と創造の神ならヴィシュヌはこの世を維持する神と言われている。
2010年1月現在、バラナシの中心部にヴィシュヌゲストハウスが7軒もあるということを私は後に聞かされた。昨夜のリキシャワラーは確かに指定した宿に私を運んだ。
ちなみにヴィシュヌ神は若くて男前の神だそうだ。
「ああ、ヴィシュヌよ、私を行きたい所に正しく導き給え!!」
笑いながら灰色がかった空を仰いだ。
【次回の予告】早朝マザーテレサの家の門戸を叩く。お楽しみに!
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