コンチャルも、もちろん営利企業である以上、収益指標が存在している。

今回は、いずれ広告代理店も必要になるかもしれないプロジェクト単位会計について紹介しよう。

コンチャルは、ご存知の通り、1人当たり時間いくら、で利益をあげる商売である。
これを分解すると、以下のようになる。

1.稼働率

例えば、1ヶ月20日を稼働可能日と仮定しよう。1日7時間とした場合、月当たり140時間がコンチャル1人の稼働可能時間となる。

これに60人を掛けると8400時間がグループ全体の月当たり稼働可能時間となる。

このうち、何%をクライアントにチャージできたか?を率で表すのが稼働率である。
プロジェクトを多く受注すればするほど、たくさんの時間が費やされるので、当然この数字はあがることになる。

ちなみに我が社では80%程度が目標である。

2.貢献利益率

「貢献」という言葉がめんどくさそうな響きだが、要は人件費を差し引いた後の利益率のことである。

プロジェクトを高く売ったり、効率よくプロジェクトを進めたりすると、この数字はあがる。

ちなみに我が社では50%程度が目標だ。


3.稼働率+貢献利益率

我が社では、各グループごとに、この足し算が130以上になるように目標設定がされている。


さて、ここまでなら、単に「へぇ~」で終わる話である。

しかしこの仕組みは、非常に「サービス業の経営」の本質を突いている。

以下、説明しよう。

さきに説明した通り、プロジェクト単位会計は「プロジェクト単位」で「人件費も含めて」見える化をする仕組みである。

つまり、この小さな単位が「経営」になっている、ともいえる。

ここでわかりやすい例として「残業」について考えてみよう。

もし仮に、チームメンバーが残業したら、どうなるだろうか。

プロジェクトの人件費が上がることでコストがあがっているわけだから、利益は当然下がる。

すると、利益が下がっているので、自分やチームメンバーの評価は下がることになるのだ。

そして評価が下がれば、理論上、給料は下がることになる。

つまり、残業代は「コスト」と捉えるべきで、結局のところ、プロジェクト利益を上げることで配分(=給料)を上げる努力をするのが当たり前である。

しかし、多くの企業では、機能別に組織が分業体制になっていて、各部門ごとに損益計算をしようとする。

結果、誰も「いろんな部門のスタッフが参加したこのプロジェクトは、最終的に利益がでたのか」がわからなくなっている。

すると、どのプロジェクトが最終的に利益をあげているかわからないわけだから、経営も現場も利益管理のしようがなくなるのである。

「生産性をあげろ」
「利益をあげろ」

そう号令をかけてみたところで、営業は「売上があがれば、おのずと生産性や利益は上がるはず」と思い込んで、利益のでてないプロジェクトやクライアントに人的資源をつぎ込んで、かえって赤字を膨らませることもありえる。

しかも、やはり最終利益が見えてないわけだから、このようなことが起こってるかどうかすらも、わからない。

こうなってしまうと、悲惨である。上からの指示、命令に応えようと善意の努力をした結果、気付かぬうちに赤字を膨らます結果になってしまい、自分たちの給料を減らしてしまう結果になるからである。

一方で、プロジェクト単位会計は、小さな単位で「経営」をやっているのと同じで、最終利益が明確になる。

そこで、である。

簡易的にプロジェクト単位会計を実施するアプローチを提案しよう。

1.全てのプロジェクトに作業管理票を発行する。この作業管理票が、一つのプロジェクトのコスト集計プラットフォームになる。

2.この作業管理票に売上や原価、経費を集計していく(金額ベース)。

3.一方で、営業やスタッフは「1日における、各プロジェクトの作業割合」を日報に記入していく。

4.月ごとに日報を締めて、プロジェクトの作業割合と本人の給料明細データを紐付けて費用換算した上で、作業割合に応じてプロジェクトの各作業管理票に人件費を集計していく。

5.その他の間接費は、適切な配賦基準で各プロジェクトに配賦する。

6.売上から原価、経費、人件費、間接費の配賦分を引いて最終利益を算出する。


こうしてプロジェクトごとの損益がクリアになれば、個別に具体的な対策を立てやすくなる。例えば、

「利益がでてないから、単価をあげる努力をしよう」

「人件費がかかりすぎてる。いまと同じサービス品質を維持したまま参加メンバーの数や時間を減らす方法はないか」

などである。

サービス業にとって、人的資源は競争力の源泉にもなる反面、扱いを間違えると大きなコストにもなることから、そのマネジメントは、大きな経営課題である。