ミッションは突然に <46> | 電気自動車は仮想現実の夢を見るか?

電気自動車は仮想現実の夢を見るか?

この春から電気自動車の日産リーフに乗り始めました。この電気自動車、夢も感動もない単なる移動手段なのか、はたまた車の未来に福音をもたらす救世主なのか? 車だけでなく、日々感じたことを綴ります。ブログタイトルは勿論、P・K・ディックのあの小説のパロディーです。

「で、今日はどうしはりますか?」


いきなり、茶屋団子が後ろから京都弁で話し掛けてきた。

おっと! 茶屋さん、いたのね。


いや、どうしはりますかって言われても、
ワシら今まで六条の指示で行動してきたからに、主体性ゼロやねん。
どないしましょ?


「あの、よろしければ、私が案内しましょうか?」


その時、二条氏が突然、名乗りを上げた。


「いや、皆さんのお話をうかがっていると、私が来たのとまったく同じ行程なので、

 驚いているんです。

 もしかしたら、私のいた世界と、こちらの世界は、ほんの少しずつ違うだけで、

 ほぼ一緒ではないのかと思います。
 えーと、今日の予定は・・・」


二条氏はそう言うと、なにやら鞄から日程表らしきプリントを取り出し、調べ始めた。


「えーと、今日は・・・あった、あった、そうそう、
 今日はライプチヒに移動して、印刷会社の工場見学をします!
 みなさん、どうします?」


は? 他の次元から来た人が何を言っているのだ。
とは思ったが、もしこれから行った先で、何事もなかったように工場見学ができたなら、

それはそれで世紀の発見である!
ええい、毒を食らわば皿までよ! 地獄の先まで行ってやる!
ワシは行くで。


一応、問題ないよね?と天井を見上げたら、SK‐Ⅱ伊東が首からメガホンを下げたまま、

頭の上に両手を掲げ、大きな丸サインつくっている。
OK、ノープロブレム。
じゃあ、行こう!


荷物をまとめて外に出ると、なぜか昨日と同じようにチャーターバスが待っていた。


至れり尽くせりやんか。 ねぇ、茶屋さん。


あれ、茶屋さんがいない。
茶屋団子、どこ行った?


すると、梅田半休がうんざりした顔で、
「今しがた茶屋さん、みんなが半袖だから、わても半袖に着替えてきますわ!
 って言って、みんなを待たせてどっかに行っちゃいましたよ。」


もう茶屋の旦那、協調性があるのか自分勝手なのか、よーわからん。


しょうがないので、皆でバスに乗って茶屋団子を待っていると、ワシの携帯の着信音が鳴った。
慌てて表示を見ると、組合の理事長からではないか!
にゃろーワシをこんな事に巻き込みやがって!
すぐさま電話に出ると、


「ミッション君、首尾は上々のようだね。
 ミッション成功の連絡を受けているよ。
 そこで今日は組合を代表して、
 いよいよ我が業界を救う機密情報を入手できるそうじゃないか!
 ちゃんと情報を入手してくるように!
 成功を祈る。ツーツーツー」


おいおい、勝手に話して勝手に電話を切るなっつーの!
せやけど、予定通ってことか。


定刻を過ぎバスが発車すると、

トイレットペーパー片手に、茶屋団子がホテルから飛び出してきた。


「運転手さん、加速してください!」


全員の声が響いた。



<つづく>