事故の知らせを受けたのは
私が都会の友人宅へ遊びに行っている時だった
「落ち着いて聞いて」
と。
血の気が引いた気がした
時間が止まった気がした
お父さん、お母さん、弟
遠出して神社へ交通祈願に行った帰りだった
病院へは電車で2時間
ただ何も考えられなかった私
その耳に
笑いながら自転車に乗って帰っていく若者たちの声
やけに耳に響いた
羨ましかった
帰る場所
今の私にはない
ひたすら病院に急いだ
私の周りだけ灰色の世界になったようだった
瞬きすることも忘れていた
面会時間も過ぎた病院はやけに静かで
やっと辿りついたお母さんと弟のベッド
二人の顔を見た瞬間
涙が溢れて仕方なかった
息をしている
それだけで嬉しかった
でも、何本か伸びる管を見ると悲しかった
お父さんは手術をしていた
恐かった
ひたすら恐かった
手術が終わって、集中治療室に通された
「・・・」
なんにも言葉が出なかった
涙さえも出なかった
麻酔が効いて朦朧としている口からはただ
「痛い」
「痛い」
と。
目は虚ろでどこを見ているかわからない。
弱音を吐いたことのないお父さん
私は絶対的な信頼を置いていた
それなのに、こんな弱い姿を見るのは
苦しくて、苦しくて仕方なかった
無機質な病院の静けさに
不安ばかりが溢れ出て
昨日までの幸せな日はどこへ行ったのかと
誰に聞くわけでもなく繰り返す
どうか、私の家族を助けてください・・・