食DRIVE | 聞き捨てならん!!

聞き捨てならん!!

物で溢れている。
もう何もいらない。
捨てたい。捨てさせてくれぃ!

食べることを重点にしてドライブしましょう♪という話ではない。
知ってる方々は、いまごろ?という感じかも。
本の紹介と感想ですごく長いです。



簡単に書くと、

現代の家庭の食生活やそれをとりまく人間の変わり様を定期的に調べている組織があって
それをまとめたものが本になってて、
遅まきながらその本をまとめていま読んでいる。




何年前だろう。
5年くらい前かな。
テレビでたぶんこの調査の一端と思われるものを特集しているのを見た。
(もしかしたら似たような調査で食DRIVEとは無関係かもしれないけれど、
 本の写真や内容を読む限り、食DRIVEの特集だったと思われる)


サンプルとして選ばれたのは、
1960年以降に生まれた首都圏に住む子供を持つ主婦だったらしい。
番組をじっくり見られなかったのでそれは本を読んで知った。
その主婦たちを本では「現代主婦」とか「娘世代」と呼ぶ。
「娘世代」とは、その後の追跡調査で
1960年以降に生まれた主婦の育った環境を知るに当たり
その実の「母親世代」に話を聞くことになったために「娘世代」とあとから名称がつけられたようだ。

私は1960年以降に生まれている。
母親世代とされる年齢層は私の母親と一致する。
住んでいる場所が違うだけで育った背景や時代は現代主婦(娘世代)と同じだ。


実は、番組をちらちら見ながらなんか「ヤバい」という感じを受けていた。
その番組はほぼ写真によって構成されていたと思う。
本を読むと、対象世帯に3回に分けての調査が行われたそうだ。

1.食生活に関する意識と実態の書くアンケート
2.一日三食を一週間写真に撮る
  作り方やどう食べたか(誰がいつどれを)を書く
3.1と2を突き合わせてその矛盾や疑問を面接で口頭で質問
 (個別ではなく複数人での座談で)

というものだったらしい。
これが食DRIVEというものらしい。
写真は、すでにデジカメがあったにもかかわらず、
レンズ付きフィルムで写すものだった。
そのワケは、デジカメだと撮ったあとに自分の思い描くものと違うと思い撮り直すこともあるだろうとの懸念があったからだそうだ。
徹底している。




これはすごい調査だ。
対象サンプルに選ばれた人達はよく引き受けたと思う。
テレビでやっていたときにちらっと見た食卓の光景を思い出すと身震いする。

クリームパンと苺5個が子どもの朝食
肉まんと7種類だかの野菜が摂れるジュース

そういった写真が、わずかな例外ではなくいくつもあった。
なかには日本旅館の朝御飯か?と見紛うような
一汁一菜+小鉢のおかずが9種類くらいある写真もあったにはあったが
あれが特別な日の朝(元旦や旅行中など)を除いて
「我が家では毎日出しております」という家庭というのもまた逆に恐ろしいと感じた。
調査で取り繕ってるか、または自分の狂信的な朝食スタイルを崩したくないのかという意味で。

ただ、本によると調査の性格上
高学歴高収入の世帯が多くなってしまうそうだ。
こういった面倒な調査に低学歴低収入の人は長期間付き合わないようだ。
私のイメージだと、高学歴高収入の家庭はちゃんとしていそうだけど
そうじゃないというのも意外だ。




で、この食DRIVEの調査。
私だったら内容を聞いて協力はお断りだ。
ものすごくプライベートだもの。
食生活丸裸だ。




で。
食DRIVEに関する書籍はいくつかあるようなんだけど、
どうやら主要なものは3冊らしい。
その3冊がお手軽に文庫で出ていたので買ってみたというわけなんだけど・・・
1冊目(出版されれた順に読んでいます)から

・・・冷水をぶっかけられるような
・・・足元を見られるような
・・・化けの皮を剥がされるような

とにかく、もし私がうっかり対象サンプルとして2.まで答えたとして。
3.の段階で「何の権利があって私を責めるんですかっ!」と席を蹴りたくなるような内容になっている。



いや・・・でも・・・
私はあの本に出てくる代表的な娘世代ではないな、
とも思ったりどんぴしゃりと思ったり・・・
詳しくは

中公文庫 変わる家族 変わる食卓 - 真実に破壊されるマーケティング常識
中公文庫 「親の顔が見てみたい!」調査―家族を変えた昭和の生活史
新潮文庫 普通の家族がいちばん怖い―崩壊するお正月、暴走するクリスマス

以上すべて岩村暢子著ですが、興味のある方はこちらをお読みいただきたいと思う。
ハードカバーも厭わない方は著者名で検索してみてください。もっと出ています。







この本の言わんとするところが私にはよくわからない。
現代主婦たちのダメぶりをあげつらって
笑ったり嘆いたりすることを読者に提供する目的ではないのはわかる。
広告代理店の一部門がやっていることなのだから
その結果を分析して「いま売れる物」を世に送り出すためにやってる調査だろう。

でも、そういった本来の目的を超えてすごく警告していると思う。
もし、本を読みたくて他人から推薦された物でなんでも読むという人がいた場合、
有吉佐和子さんの「複合汚染」を薦めることにしていたんだけど
それと一緒に上記3冊も薦めたいと思った。



以下は、私のとても個人的な感想です。
ここまでの記事も長い上にこの先も長いですので
この手の話に興味のある方はお時間がありましたら読んでいただけますと嬉しいです。






私なりに結論めいたものを書くと
食DRIVEでは結論は求めてないようだ。
 だから、私の感じたことは調査してる側から見たら
 それは違うと言われるかもしれない。
 あくまでも一読者としての感想です)

現代主婦は食に関することに無関心で
できるだけ食にお金も時間も使いたくないのだ。

子供が嫌うものは無理に食べさせない。
無理強いすると自分にも子供にもストレスが発生し時間も無駄にする。
食を節約したお金は子供の習い事や自分の小遣い、家族でのレジャーにまわしたい。
しかし、家族で行くレジャーや旅行の場でも食は重視されない。

そもそも、

ちょっと偉そうに書くけど許して。

食を軽んじているんだと思う。
私自身の作る料理がパーフェクトでございます、とはまったく言えないんだけど
食を軽んずるのはすごく怖いと思う。
幼児のうちから好きなものしか食べさせないなんて、
体の生育や、これから人の波にもまれていくにあたり
我が子のためを思ってのこととはとうてい思えないのだが。

現代主婦の母親世代もまた、
我が娘の家庭の食生活が荒んでいると知っても軌道修正しようとしない。
母親世代の理解できないようなことでも
「いまの時代はそうなんでしょうね。それがみんなと同じなんでしょうね」
と理解しようと(そんなことではダメだ、と叱らずに許容という名のスルーを)するし
また都合のいい時は仲の良い母と娘であるが、
お互いの関係を脅かすこと(娘のやりかたに注意する)に対しては途端に「それぞれの家庭の問題」と逃げる。


現代主婦同士の集まりで食べることに固執すると
(どうせ集まるならおいしい店に行こう、という発言くらいでも)
この人は意地汚いとかいやしいと蔑まれるそうな。


一年365日の積み重ねた食生活は
長くなればなるほど問題があればそれは膨らみ続けると思う。
こう書いている私だって、炊き込みご飯は丸美屋で
中華を作るときはクックドゥ。
カレーやシチューをルー以外で作ることは知ってるがあまりやらない。
(しかし、カレーやホワイトシチューをルーで作ることが悪いとは私は思わない。
 食DRIVEの本ではルーを使うことをあたかも手抜きのように書いているが
 ホワイトシチューはともかく、カレーを小麦粉から炒めている人は稀だと思う。
 おそらく著者はカレーはいつも小麦粉からなんだろうなと私は意地悪く推察してしまう)
せいぜい誇っていいと思えるのは惣菜やインスタント・冷凍食品をほとんど買わないことくらいか。
しかも甘いものが好きで美味しい物をたくさん食べたくて、
こんな食生活ではいけないとわかってるが・・・
わかっちゃいるけどヤメラレナイ!のだ。
だから現代主婦たちが自分の都合優先で
家族のために時間のやりくりなどせずに

「(自分が遊んでて)時間がないから」
「(遊びで)疲れたので」
「(主婦としてやらなくてはならないことでも)無理しないことにしている」

という理由でしょっちゅう惣菜を買い出前を取りコンビニ弁当で夕食を済ますのを
「あらら」とは思っても笑ったりあざけったりはできない。
テレビで食DRIVEの特集を見たときに
「ヤバい」と思ったのは、
「私はここまでひどくはないけれど、でも模範的な食生活ではあり得ない」
という感覚だったと思う。
その矛先を私に向けられると困るし嫌だ、というような。
それと、もし私に子供がいたら、
その子を真っ当な食生活に導くことができるかどうか不安に思った。
外からの情報(CMや周りの子供達の姿)を見て我が身と比べる我が子に対し
お菓子を食べるのを制約できるのかとか
好き嫌いをさせないように子供と向き合えるのかとか
そういったことが漠然と不安として膨らんだ。




お弁当を作ることに関してこんな話が載っていた。
冷凍食品ばかりで構成されることが多いらしい。
自分で作った物を入れるのは怖いんだそうだ。
理由は、自作の物は傷むのではないかと不安だという。
冷凍食品なら傷まないので大丈夫と考えるらしい。

傷まないのだとしたら、なぜ傷まないのかを考えないんだろうかと思う。
傷みにくい何かが入っているかもしれないじゃないか?と思わないのか。

この話を読んだときに「複合汚染」の一部を思い出した。
子供を持つ家庭の多い団地で農薬や大気汚染で
「みなさんの食べているものが危険なのだ」
という選挙演説にまったく耳を傾けない子連れの主婦たち。
演説の内容を「食で子供が危ない」ではなく
「いま食べているものがお母さんたちの体に悪いものかもしれない」
という言い方をした途端に主婦たちは足を止めた、というものだ。

その冷食だらけのお弁当をお母さんの分も作って自分で毎日食べてみたらいいのにと思った。
自分がたくさんの「傷まない何かが入っているかもしれない食べ物」を食べてみたらいいと思う。



また、私がその問題とされる現代主婦の世代だから
ダイレクトに責められていると感じるせいなのか
著者の筆致がときおり意地悪な感じを受ける。
読むときにどっち側に立っているか、でこのあたりは変わってくると思う。
私が男で昔気質だったら著者の書きっぷりに快哉を叫ぶかもしれない。


もう一つあれ?と思ったこと。
これは枝葉末節ではあるが
昔ながらのやり方と現代とでは変化してることもあるはずなのに
そこを嘆かわしいことのように書いている(ように読める)ことだ。
野菜を茹でるのに電子レンジを使うことは調理法のひとつだと思う。
しかし本ではそうすることの根拠を
すらすらと述べられる現代主婦がいないということを問題としている。
感じや雰囲気で食をやっつけていると指摘する。

「なんとなくそう聞いた」
「栄養価が逃げないと聞いた」

など、伝聞で良いことのように聞いたからなんとなくやってる、と責める。
じゃ、水で茹でたものとレンジ加熱したものを
自分で分析してデータを把握してからやらないと
ちゃんとした調理とならないのか?とすら思ってしまった。

新しい情報が入ってきてそれが自分の生活を便利で今より悪くならないなら
試す価値はあると思う。
それをやってやっぱり駄目だと思えばやり方を戻すだろうし、
従来のやり方と遜色ないかそれ以上と思えば継続するだけの話だ。
たとえば、乾燥までできる洗濯機を使うことを
「太陽の日で干して衣類の殺菌をしなくなったいまどきの主婦」
と一括りにはできないだろう。
新しい調理方法を取り入れる変化を問題視されるとちょっと意地悪じゃないか?と読めてしまう。




本を読んでいると、
むしろ食DRIVEが「模範的」と思う食卓だけを調査して
それを世に発表することの方をやってほしいと思うくらいなんだけれども・・・。
そういう啓蒙することを目的でやってる調査じゃないので無理な相談だ。



ときに反発の気持ちを持ちときに共感しながら読んだ食DRIVE関連の本ですが
現代主婦は一過性のものではなく、
今後はもうまともな食生活を営める層というのは増えないと思う。
急に盛り返すなんてありえないだろう。
食DRIVEの調査はすごく怖い話だ。





変わる家族 変わる食卓 - 真実に破壊されるマーケティング常識 (中公文庫)/岩村 暢子

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「親の顔が見てみたい!」調査―家族を変えた昭和の生活史 (中公文庫)/岩村 暢子

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普通の家族がいちばん怖い―崩壊するお正月、暴走するクリスマス (新潮文庫)/岩村 暢子

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