二、三冊本を買おう。
そう思って職場近所の古書店に駆け込んだ。ストレスが限界まで溜まった時、人は金を使いたくなると言う。
男の場合はそれをギャンブルで消費し、女の場合は買い物に費やす傾向にあるというが、本当なのだろうか。
とかく、女の私はそのご多分に漏れず、限界どころか臨界点を超えてしまったストレスを緩和するべく、常日頃は滅多にしない買い物をすることにした。
とはいえ、買うものは本なのだが。
最後に服を買ったのはいつだったか。元々流行には乗れない性質なので、流行に沿った服なんぞは買った覚えもない。
基本的に、私が買うものとすれば本なのである。その次に食料を始めとする日々の消耗品、そしてゲームが少々、服はその次の次くらいの優先度になっている。
ゆえに、いつの時代にもありふれていそうな地味なパーカーと、いつの時代にもありふれていそうなごく普通のジーンズという格好で、私は商店街にある馴染みの古書店に駆け込んでいた。
もう駄目だ。
ストレスで死ぬ。
このままだと胃に穴が空く。
こういう時は本を読むに限る!
私はそんなことを考えながら、古書店の奥へと進む。
買う本は勤務中に考えていた。『キノの旅』と『キーリ』そしてもしもあるのなら『人類は衰退しました』だ。
高校生や大学生の頃に諸事情で泣く泣く購入を断念したライトノベルを二、三冊購入し、帰宅したらコーヒー片手にクッキーを頬張りながら読み耽るのだ!
……と、思っていたのが三十分前までの話。
地元の駅まで向かう電車にゆらゆらと揺られながら、私は手元にある紙袋の中を確認する。
漫画本が一冊に、文庫が七冊――締めて一六二〇円である。……どうしてこうなった。
漫画本については前々から探していた代物であるからまあ良しとして、問題は文庫本だ。
『人類は衰退しました』
『ゼロの使い魔』
『涼宮ハルヒの憂鬱』
『六花の勇者』
『”文学少女”と死にたがりの道化』
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』
『這いよれ! ニャル子さん』
出版社もジャンルもばらばらで、強いて言うのならライトノベルであるということだけが唯一の共通項とも言える文庫本が紙袋の中で整列していた。
どうやら私のストレスは、思いの外重篤だったようである。
とかく買ってしまったものは仕方が無い。
同じ紙袋の中には『カフェイン九十八パーセントカット!』と、でかでかと書かれたデカフェのインスタントコーヒーが入っていた。
私はカフェイン中毒気味なので、普通のコーヒーを飲むと気持ち悪くなってしまうのだ。
このコーヒーを片手に、一冊ずつ読んでいくとしよう。
まずは――『”文学少女”と死にたがりの道化』からだ。
そう思って職場近所の古書店に駆け込んだ。ストレスが限界まで溜まった時、人は金を使いたくなると言う。
男の場合はそれをギャンブルで消費し、女の場合は買い物に費やす傾向にあるというが、本当なのだろうか。
とかく、女の私はそのご多分に漏れず、限界どころか臨界点を超えてしまったストレスを緩和するべく、常日頃は滅多にしない買い物をすることにした。
とはいえ、買うものは本なのだが。
最後に服を買ったのはいつだったか。元々流行には乗れない性質なので、流行に沿った服なんぞは買った覚えもない。
基本的に、私が買うものとすれば本なのである。その次に食料を始めとする日々の消耗品、そしてゲームが少々、服はその次の次くらいの優先度になっている。
ゆえに、いつの時代にもありふれていそうな地味なパーカーと、いつの時代にもありふれていそうなごく普通のジーンズという格好で、私は商店街にある馴染みの古書店に駆け込んでいた。
もう駄目だ。
ストレスで死ぬ。
このままだと胃に穴が空く。
こういう時は本を読むに限る!
私はそんなことを考えながら、古書店の奥へと進む。
買う本は勤務中に考えていた。『キノの旅』と『キーリ』そしてもしもあるのなら『人類は衰退しました』だ。
高校生や大学生の頃に諸事情で泣く泣く購入を断念したライトノベルを二、三冊購入し、帰宅したらコーヒー片手にクッキーを頬張りながら読み耽るのだ!
……と、思っていたのが三十分前までの話。
地元の駅まで向かう電車にゆらゆらと揺られながら、私は手元にある紙袋の中を確認する。
漫画本が一冊に、文庫が七冊――締めて一六二〇円である。……どうしてこうなった。
漫画本については前々から探していた代物であるからまあ良しとして、問題は文庫本だ。
『人類は衰退しました』
『ゼロの使い魔』
『涼宮ハルヒの憂鬱』
『六花の勇者』
『”文学少女”と死にたがりの道化』
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』
『這いよれ! ニャル子さん』
出版社もジャンルもばらばらで、強いて言うのならライトノベルであるということだけが唯一の共通項とも言える文庫本が紙袋の中で整列していた。
どうやら私のストレスは、思いの外重篤だったようである。
とかく買ってしまったものは仕方が無い。
同じ紙袋の中には『カフェイン九十八パーセントカット!』と、でかでかと書かれたデカフェのインスタントコーヒーが入っていた。
私はカフェイン中毒気味なので、普通のコーヒーを飲むと気持ち悪くなってしまうのだ。
このコーヒーを片手に、一冊ずつ読んでいくとしよう。
まずは――『”文学少女”と死にたがりの道化』からだ。