実に興味深いコラムです。
大阪と東京の比較論です。
ちょっと長い文章ですが、読んでみてください。
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「大阪の人は電車に乗る時、並ばない」とは、よく言われること。 並ぶ人もいるのだが、並ばない人の方が圧倒的に多い。 それは否定できない。 マナーだということはわかっている。では、なぜ?
大阪人は、“型にはめられる”ことを嫌う。 わかっていても、他人から強制されると拒絶してしまう。 天の邪鬼なので、マナーやルールを守ってキッチリすることを恥ずかしいとさえ思っている。 だから、電車に乗るために整列している集団の中に、身を置きたくないのである。 他の地域の人からは理解されにくい心理だろう。
そんな大阪人に対して、東京人は「列に並ばず、電車が来たら我先に乗ろうとする」と、批判する。 確かに、電車が来たら、突然ドア付近に勢いよく集まって来る。 マナーが悪いと思われるのも仕方がない。
だが、その後をよく見て欲しい。 ドアが開いたからと、我先に乗ろうとする人はほとんどいない。 まずは、降りる人優先である。
降りる人のために両サイドに分かれる。 みんなが降りてから、足早に座席を確保しに行く。 その早さは、せっかちな大阪人ならでは。
だが、決してマナー違反をしているわけではない。 降りる人のことを考えながらも、いかにすばやく席を取るかという、行動力の表れなのである。
対して、東京人の乗降風景はどうか。 驚くほど整然と並んでいる。 さすがは大都会だと感心する。 だが、電車が来た時に疑問が生まれる。
ドアが開き、人が降りようとするのだが、そこにいる集団がまったく動かないという光景を私は何度も見てきた。 降りようとする人は、仕方なく集団の両サイドへ。 降りる人優先ではなく、「乗車位置」というマナーを断固として守っているようである。 私には、マナー良く並んでいるというより、乗る権利を主張しているだけに見えた。
大阪人のように、“席取り”に走るようなことはしないので、上品に見えるかもしれないが、どこか冷たく感じるのは私だけか。 こうした光景は何度も見ているので、偶然のことではない。
お年寄りや妊婦、赤ちゃんを連れた女性への接し方も東西で大きく違う。
大阪では、お年寄りや妊婦がいると、我先にと席取りをしたおばちゃんが立ち上がる。 多少遠くにいても、「おばちゃん、ここ座り!」「そこのお腹のおっきいねえちゃん、ここにおいで!」と、大声で叫ぶ。 下品に見えるだろうが、心温まる光景である。 席を譲られた人も、「ありがとうございます」と言って、素直に座る。
もし、赤ちゃんが泣いていたら、その母親に「ねえちゃん、それじゃあかんわ。 貸してみ!」と、赤ちゃんをあやしてくれたりする。 すべての人がそうではないが、よく見かける光景である。
東京ではどうか。 “近くに”お年寄りや妊婦がいれば、「どうぞ!」と言って席を譲る。 実にスマート。 だが、「私は年寄りじゃない」と断る人もいる。 赤ちゃんが泣いていると、“赤ちゃんは泣くもの”という認識で、知らぬ顔をしている。 母親にとってはその方が有り難いかもしれないが。 時には、静かにさせろと怒る人もいるようだが、静かにさせるのも母親のマナーなので仕方がない。
東京・大阪、どちらが良い悪いではない。 マナー・ルールを守りながらも、ドライに個人主義を通す東京人。 マナー・ルールは苦手だが、まわりの人のことを考え、おせっかいを焼く大阪人。
マナー・ルールも大切。 人への思いやりも必要。 東京・大阪の良いところを互いが見習えば、温かい社会になるのではないだろうか。
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