いつか書こうと思っていた話です
年々ボケて上手く書けなくなっているけど、私にしか書けないと思うので下手なりに今のうちに。
長い話です。そのうちアメ限にするかも。10回まで続く予定です。
トラという名の女の話です。
トラは大正3年生まれ。
トラという名は、祖母が付けたそうで、強い名前にしないと丈夫に育たないからだとか。
子供が丈夫に育たないことも多い時代だったのだろう。
トラの母親も本人も嫌がっていたらしく、妹の名前が「ヒロミ」になったのは、祖母が亡くなってから生まれたからだと聞いた。
そんな名前のトラだったが、妹達と共に可愛がられて育ったらしい。
母親は後妻で、腹違いの兄を「継子イビリ」してイジメて、自分の生んだ娘たちばかりを可愛がったそうだ。
トラの実家はその兄が継いでいた。
姉妹はそれぞれに嫁いで家を出た。
トラも近隣の村に嫁ぎ、男の子を2人もうけた。
その子供たちがまだ幼い頃に、トラは嫁ぎ先を飛び出したという。
息子2人を残して。
姑と折り合いが悪かったとか、理由は憶測でしかないが、あの時代に離婚したのは、気性の荒さを物語っている。
幼い息子2人を置いて家を出るなど、私には考えられないが。
トラにはもっともっと、大変な過去があったのだ。
それは、トラが68歳で亡くなった1年後にわかる。
まだまだ誰も知らない話だった。
つづく。