アリプロと出会い、
わたしは
外の世界へと
目を向けるようになった。
そこで
はたと気付くのだ。
ライブに着ていく服が
………ない。
そして
化粧の仕方も
………知らない。
27歳の晩夏のことである。
それまで、
何にお金を
使っていたかというと
ゲームと本である。
いや、
ゲームと本でしかなかった。
なにせ
職場は徒歩5分。
町工場勤務なので
動きやすさと
汚れてもいいよう
Tシャツとジーンズ。
化粧をしなくても
特に何もお咎めもなく。
365日。
それで
わたしの日常は
十分回っていたのである。
およそ
身だしなみに
お金をかけることとは
無縁だったのだ。
(だからこそ、
ゲームに注ぎ込めた)
だが。
ライブに行こうと決めて。
チケットも取れて。
ただ
その日を
浮かれぽんちで
待っている場合ではなかった。
初めてのライブに。
アリプロジェクトのライブに。
失礼な格好で
参るわけには行かぬ…!
というわけで
超絶苦手な
服屋を巡り
これまた
理解不能ながら
化粧品を
調達することに
自ら乗り出したのだ。
これは
ホントに
大きな変化だと思う。
意識の上で。
外見は
急には
変わりはしないが。
ファン心理とは
かくも
健気なものなのか。
…いや、
単純に
自分の姿が
恥ずかしかったからなのだ。
いい歳なのに
化粧もせず
お洒落も知らずにいた自分が。
そんな
自分で
いけてないと
思っている姿で
参戦しようだなんて
失礼過ぎる話だ。
もちろん
マイナス思考なだけで
行動していたわけではなく、
ワクテカな気持ちも
ちゃんとあった。
とはいえ
初ライブのときの
仕上がりは
まあ…察してほしい。
でも
このとき着て行った服は
今でも覚えてる。
着なくても
長らく捨てられなくて
ようやく手放せたのは
引っ越しのときだった。