令和7年6月23日(月)

俺の本棚~面白いッ書 第749回

前職の協会の新年度の専務理事に、元会社の直接の部下だったS君の名前があって吃驚した。 自分から数えて四代目である。 S君からは、東京から札幌に移転したとの挨拶状があったが、住所以外は電話番号等々、詳細が記されていなかったので、どこに再就職したのか知らなかったから、猶更の吃驚である。 さっそく協会にtellして、割り勘・呑み会の約束を交わしたが、どんな話で盛り上がるか、今から楽しみである。

 

業界紙のW記者が取材で来札し、K元会長から、三人での昼食のお誘いがあった。 札幌場外市場の穴場の寿司店で豪華な握りセットを御馳走になった。 容器検査協会の人脈の話に、二人は花が咲いていたが、自分は知らぬ名前が多くて、耳を通り過ぎただけだった。 三人とも、→お互いに、お元気ですね!と声を掛け合っての楽しい昼食会だった。

 

PGAは招待試合で72人の内、松山だけ。 ・・・69人中、30位(125千$)に終わった。

LPGAはメジャー戦、日本人は15人。 ・・・竹田麗央、岩井ツイン、山下美夢有、勝みなみ、西村優菜、畑岡奈紗、笹生優花の8人が予選通過。 渋野、西郷、古江、桑木、河野、吉田、馬場の7人が予選落ち。 ・・・岩井千怜4位タイ(536千$)、山下6位タイ(360千$)と善戦したが、竹田23位(109千$)以下、アトは下位に沈んだ。

日本女子は千葉県で。 道産子は小祝、阿部、政田、吉本、内田、山田の6人。 ・・・小祝さくらと内田ことこが予選通過。 ・・・ツアールーキーの19才・入谷響が初優勝!(1,800万円) 天晴れ! 内田5位タイ(450万円)、小祝7位タイ(300万円)だった。

 

 

山口恵似子「ゆうれい居酒屋⑦ パスタの花咲く」(書き下ろし)

女将の秋穂は初めてのお客、30才位の杉田桃子に「蜆の醤油漬け」を出すと、→美味しい! これって冷凍すると旨味が四倍になるんですよね、編集者とフリー・ライターさんからの又聞きですけど・・・、と嬉しい返事が返ってきた。 二人の名前を聞かされてすぐ、三人の顔が浮かんだ。 →確か、直木賞を受賞された小説家の平哲二さんとご一緒に・・・ と答えると、→そうです! 私、あの先生の大フアンなんですッ、昨日、会ったンです、と興奮した声である。 お任せで頼んだ肴はどれもこれも桃子を満足させた。 女将さんと常連の老人三人の楽しそうな世間話を耳にしながら、肴と酒を楽しんでいると、途端に、今日、目にした光景が甦り、悔しさから涙が零れ落ちた。 ・・・桃子は葛飾区立中央図書館に勤めている。 昨日、自分が企画した、作家・平哲二の講演会があって、身近に拝顔・拝聴出来て大興奮だった。 聴衆の中には、毎日、図書館にやって来る、小六の池谷俊君と母親の照子さんの姿もあった。 サイン会もあって、俊君も持参した平哲二の新刊にしっかりサイン貰って嬉しそうだった。 ・・・しかし、帰途、米屋に向かう5時過ぎ、大型書店で新刊コーナーを物色している時、池谷俊君の姿が垣間見えた、あちら側からは桃子が死角になっている。 俊は周りを見回しながら、新刊ハードカバー2冊を引き抜き、手提げバックに入れ、平然と出口に向かって行く。 万引きだ! でもあの俊君が? 彼の母親はシングルマザーで、昼も夜も働いて必死に俊君を育てている。 →俊君は、頭のイイ、素直な子供です、お母さんの苦労をチャンと判っていて、早く一人前になってお母さんに楽をさせてあげたい、と私に言ったんです、ウチも母子家庭だったから、私は母の愛情いっぱいに育ててもらったから、よく判るんです、それなのに万引きだなんて・・・、と女将さんや老人三人に、桃子は涙の訳を打ち明けた。 すると女将は、お客さんは俊君ともう何年の付きあいですか?と聞いたので、 →私が図書館に入った時、小一になった俊くんがお母さんと連れ立ってきて、それから毎日通ってきてます、絶対、万引きするような子じゃないんです、と叫ぶように言ったが、しかし、現実に自分は万引きを見てしまったのだ。 女将は、→あなたがそう言うなら、考えられるのは一つ、俊君は悪い奴に脅されて無理矢理、万引きさせられたンです、きっとイジメグループの標的にされているンです、母子家庭だから怖い父親が怒鳴りこんで来る事もない、と高をくくっているんでしょう、明日、俊君に問い質して本当にそうならお母さんを巻き込みましょう、これは犯罪です、学校は頼りになりません、警察に訴える強い気持ちで立ち向かいましょう、と力強い応援を貰った。 ・・・翌日の俊君の返答は苦し気な肯定だった。 さっそく、アパートに伺って、お母さんを交えて対策を講じていると、驚いたお母さんは、これから警察に行きましょう!と、キリっと決意を表明した。 すると、昨夜、事の次第をメールしていた親友の編集者・佳奈からメールが入った。 同じ母子家庭に育った平先生が甚く同情して、これから池谷君母子のアパートに伺いたいと言う。 ・・・来てくれた平先生は、→学校も警察もこういう事には余り頼りになりません、しかし、私は週刊誌に小説を連載もしてますし、編集長とも昵懇です、虐めが止まなければ週刊誌砲をお見舞いします、と宣言して、これから5人で談判に行きましょう!と、力強い限りだった。 ・・・もう、大成功だった、悪ガキの親父は虐めが止まなければ週刊誌砲をお見舞いすると、平先生が告げた途端、真っ青になって、よっぽど脛にキズがあるんだと、思うほど狼狽して、息子には絶対イジワルさせない、と固く約束したのだった。 ・・・翌日、お礼を言いに居酒屋の「米屋」を探したが見当たらず、同じ場所は「さくら整骨院」になっている。 隣の「とり松」に声を掛けた。 昨日の老人3人がカウンターで談笑していた。 米屋の事を尋ねると、焼き鳥屋のマスターを始め、全員が一斉に顔を向けた。 昨日の老人だと思った3人はそれぞれ息子と娘だった。 30年以上前に女将の秋穂さんが亡くなっているって、昨日の4人は幽霊だったの?と、震えが来た。 →秋ちゃんは小学校の先生上がりで、面倒見が良かったから、困っている人には誰にでも親切なんだよね、時々、思い出してやってね、それが一番の供養だから・・・、と諭されて店を辞したが、自分も迷える子羊を救えるようにならなくちゃ、と固く心に決めたのだった。

(ここまで、2,600字超え)

 

令和7年(2025)6月23日(月)