令和6年3月25日

俺の本棚~面白いッ書 第671回

PGAは久常涼一人。 予選通過したが33位(39千$)だった。

LPGAは畑岡奈佐、渋野日向子、笹生優花、勝みなみ、西郷真央、稲見檸寧、古江彩佳、西村優菜、吉田優利の9人。 畑岡、渋野、吉田が予選落ち。 ・・・西郷13位(30千$)、笹生・西村・古江・勝が同スコアで27位タイ(15千$)、稲見は52位だった。

欧州ツアーはシンガポールで、川村昌弘、小平智、星野陸也、中島敬太の4人。 小平が予選落ち。 ・・・中島29位(19千€)、星野49位、川村60位と振るわなかった。

日本女子第4戦は宮崎で。 道産子は小祝さくら、吉本ここね、宮澤美咲、内田ことこ、阿部未悠の5人。 全員が予選通過したが、最終日雨天で中止、前日首位の’98年生まれ黄金世代・臼井麗香が初優勝した。 宮澤10位(130万円)、小祝16位、吉本・阿部が23位タイ、内田が38位だった。 これで日本人の4連勝、好調である。

 

 

我がマンションの昨年の除雪車出動は2月で終り、シーズン10回だった。 今年は3月にも一回あって、11回にもなった。 地球温暖化と言うのはここの地区には当らないかも知れない。 ・・・今は参加していない落語会終了後に、旧会社の両先輩、SさんとNさんと落ち合う予定のスナックを待つ間に、同じ階の居酒屋に入ると、ママさん一人がやっていた。 しかし、料理責任者の許可が男名前だったので、あれはご主人ですか?と尋ねたら、いえ、本人です、余計なものも手術で取り去りました、と言うではないか! そういえば、店の名前は、おみなえしと読む「J」だった。 落語の話をすると、私も落語大好き、と言うのでNさんから貰って来月の案内チラシを置いて来た。 果たして行くだろうか? 同じ階なのにスナックのママは、元は男だった事を初めて知った!と驚いていた。 ・・・次回は旧トコヤのMマスターを誘って、このJとスナックNに行く事にした。  

 

 

相場英雄「ゼロ打ち」(Oさんから借用・新刊)

・・・ゼロ打ちとは、選挙の開票開始直後、開票率ゼロ%の状態で当選確実を報じる事である。

大手新聞社の社会部ベテラン記者、片山芽衣が衆議院解散の総選挙で「選挙報道センター」に配属された。 選挙の素人が何故?という疑問のまま、次々と意に染まない指示が、外部から道センターに抜擢された上司から飛んでくる。 そんな時に都議会議員の不審死を知ることになり、社会部記者としてそっちが重要に思えてくるが、目前の指示が片山の邪魔をする。 国会議員の秘書歴10年の中村は新人で大学教授の若宮の選挙事務所に応援に駆り出された。 苦しい選挙戦の中、若宮の女性スキャンダルがネットで拡散される。

(なぜ、大手新聞社がゼロ打ちに躍起になるのか? そこがどうしても理解不能である。 売れ行き不振気味の新聞社がゼロ打ちを成功させて、本当に起死回生の事業に繫がって行くのか?と思いながらの読了感である。 最終章、会社を辞めた片山芽衣と秘書を辞めた中村が、アリの一穴如きの闘う姿が痛快である)

 

 

伊岡瞬「水脈」(Oさんから借用の新刊)

神田川の護岸に設けられた排水口から遺体が発見された。 地下水路の暗渠を通って台風による増水で流れ落ちたようだ。 東京の地底には見えない水路が無数に広がっている。 警視庁刑事のコンビに女子大学院の秀才が加わって来た。 上層部の筋かららしい、暗渠に妙に詳しい謎の女の正体は?

 

 

山口恵似子「ライト・スタッフ」(単行本は2020年)

・・・娯楽の王様、銀幕の世界、と言われた昭和30年代の映画界に働く照明マンの物語である。

五堂顕(ごどうあきら)・22才は5,000人の中から、最終面接25人に残った「太平洋映画」の助監督採用試験に臨んだ。 一次試験の成績順に呼ばれる噂があって、顕は13番目だった。 トップは植草一、2番目は長内浩、共に20分以上も出てこない。 残りの23人は僅か10分で終わったのに・・・。 同じ演劇部の浜尾杉子は千倍と言われた、太平洋映画の脚本部・5人に採用された。 採用通知に躍り上がって狂喜している浜尾は、→ゴンちゃん、私が会社に頼んでアルバイトを世話して貰うから、これで食い繋いで来年、また受ければイイじゃない、と慰められた。 正直なところ、それしか道は無さそうだ。 大学入学と同時にデモと演劇部の活動に明け暮れて、勉強は疎かになっていて、これまでに受けた新聞社や出版社は全て落ちていた。 銀行勤めの父からは、→益体もないモノにばかり夢中になりおって自業自得だ、と罵倒されていた。 顕は杉子が眩しかった、その幸運が羨ましい限りだった。

 

杉子が脚本部に顔を出して来る間、顕は15,000坪の撮影所の中を所在なく歩き回った。 撮影用のステージが九つもある。 そのすべてが使用中で映画の撮影が行われていた。 顕はこっそり中に入った、ベニヤ板に囲まれた中では、青春スターながら30代になった衣笠糸路と、現代劇に挑戦して演技賞を総なめにした往年の時代劇大スター・麻生和馬が演技中であった。 街中では絶対見かけない美男美女である。 一般人は金縛りにあう程の大スターふたりだった。 顕は二人に見惚れていた。 突如、→水ッ、おいッ、水だ!と怒声が上がった。 見上げるとセットの上方から火の手が上がっている。 顕が一歩退くと、足にぶつかったのが大きなヤカン、水がタップリ入っている。 右手に梯子が掛けられている、何も考える間もなく、ヤカンを下げて駆け上った。  中学時代から器械体操を熟していたから身が軽い、どいて!と叫んで水をぶっかけた。 火勢が弱っていたからジュッと音を立てて火は鎮火した。 20才と25才位の二人の男が、→君、良くやってくれた、ありがとう、と礼を言う。 ライトに貼ったパラフインが焼けるまで気が付かなくて・・・と言った時に40代半ばの貫禄十分の男が昇って来た。 この男が佐倉宗八という照明技師だった。 顕がここに居合わせた事情を知った佐倉は、→じゃ、来年まで、ここで働くとイイ、とあっさりアルバイト先が決まったのである。 照明部には技師の佐倉宗八、その下にチーフの畑山満男、セカンド岡野卓、サード龍村寛太、フォース島隆二、フイフス伊藤勝と5人の助手がいる。 顕は6番見習いである。 火事現場にいたのは畑山チーフと伊藤だった。

 

こうして顕の照明部でのアルバイトが始まった。 伊藤は顕よりも年下の18、9才の若造だったが先輩風を吹かすいけ好かない野郎だった。 でも佐倉技師や畑山チーフに誘われての恩義があるから耐え忍んで命令された通りに熟していった。 そして、ゴン、と呼び捨てにされている。 どうして・という質問をしても、バカ野郎!100年早いわ、言われたとおりにやっておけ、と身もふたもないが、チーフの畑山さんはじっくり教えてくれた。 今日は快晴のオープンセットで撮影である。 撮影は名人の誉れ高い大江康之というカメラマンである。 佐倉技師と同年配で肝胆相照らす仲で互いの意見を尊重し合っているのが見て取れる。 麻生和馬さん、入ります!と助監督の声がして、顕はレフ版を抱えて走り寄る。 麻生の左頬に大きな傷痕があり、ドーランでも隠せない程の凄惨な傷痕が太陽光線に残酷に晒されていた。 しかし、レフ版の光が殆ど傷痕を消やしてくれた、照明ってこんな事が出来るんだ、と顕が実感した最初だった。 太平洋映画に移籍する時に、ヤクザ者に顔を切られたニュースは顕が子供の頃に見聞きした覚えがある。

(真面目で勉強好きな顕は助監督を目指すほどの映画好きだったから、メキメキ照明部でウデを上げていく。 一方で、浜尾杉子は脚本部の中で徒弟制度が幅を効かせており、折角、大物脚本家・秦一旗に付けたのに、古参兵の先輩の余りの理不尽さに我が身を嘆いていた。 そして助監督試験で合格した植草一、長内浩もそれぞれの道を歩み始める。 一年後、顕は照明の仕事に将来を見出し、光の加減で俳優を輝かせる事で、五堂さんの照明がイイ、とまで、衣笠糸路に請われるようになる。 そして、天然色への変遷、映画界の凋落、テレビ界の隆盛、顕や杉子、植草、長内の立場、目まぐるしい変化に翻弄される各人の在り方、結構な読み応えである)

・・・ここ迄、全368ページの内、僅か、38ページまで。

 

 

 

大相撲、我が一山本は7勝8敗と負け越した。 惜しい! やはり、幕内は敷居が高い。 勝ち越したり負け越したりしながらでも幕内で永~く頑張って欲しい。 そうやって長生きしている力士も多い。  ・・・それにしても14日目に右足を負傷した二敗の尊富士・24才が千秋楽に気迫満々の相撲で勝ち、110年振りの初入幕・初優勝という偉業を成し遂げた。 天晴れ! 優勝(1,000万円)と三賞(各200万円)も得て当たり前の大活躍であった。 入幕2場所目の大の里は千秋楽を飾れなかったが、敢闘賞・技能賞を獲得した。 新人二人に大拍手を贈らねばならない。

 

(ここまで3,700字越え)

 

令和6年(2024年)3月25日(月)