令和6年3月11日

俺の本棚~面白いッ書 第668回

PGAは二試合あって、120人だけの招待試合は、日本人は松山英樹だけ。 首位タイで折り返したが三日目はスコアを伸ばせず、二打差で逆転を狙う。 ・・・最終日、松山は四つも落としてしまった(12位、390千$)、逆に首位だったアメリカ人が六つも伸ばして豪快な優勝。 360万$をゲット! 前回の松山の400万$に匹敵する高額賞金である。

もうひとつは、プエルトリコで小平智、蝉川泰果、久常涼の3人。 久常は一打差の二位で予選を通過、蝉川も続いたが、小平が予選落ち。 三日目はスコアを崩して下位に低迷。 ・・・最終日、更にスコアを崩して久常は18位(57千$)、蝉川は49位に沈んでしまった。

LPGAは中国で、古江彩佳、西村優菜、稲見檸寧、西郷真央、渋野日向子の5人。 稲見と渋野が予選落ち。 ・・・古江3位(151千$)、西郷12位(37千$)、西村21位(22千$)だった。

欧州は南アフリカで星野陸也だけだったが予選落ち。

 

国内女子第2戦が高知で、道産子は、小祝さくら、菊池絵里香、宮澤美咲、阿部未悠、内田ことこ、吉本ここねの6人。 阿部と内田が予選落ち。 ・・・小祝が2位(726万円)、宮澤12位、菊池25位、吉本41位だった。 6打差のぶっちぎり優勝は鈴木愛、お見事。 これで日本人の開幕2連勝。

 

 

先般、ここにUPした元・白鵬の宮城野部屋20億円は、日本橋に150坪の土地(15億円相当)を取得済み、更に総工費20億円の構想だったが、部屋はまだ、建設されていなかった。 先走ってしまって申し訳ない。 只、150坪の土地に上限16億円の根抵当権が付いているらしい。 自分の現金で買ったのではなかったのか、と不思議である。 (白鵬の大タニマチのパチンコメーカー・三共の資産管理会社が持ち主だという、宮城野部屋の為に買ったのだろうナ) ・・・驚いた、この春場所終了後に、宮城野部屋の力士が全て伊勢ケ浜一門のどこかの部屋に移籍する事が決まったという。 力士のいない宮城野部屋はも抜けのカラとなって自動的に部屋の消滅である。 白鵬の現役時代のやりたい放題が、今、全て自分に跳ね返ってきた、としか言いようがない。 強権を発動した理事会の決定に、相撲界に貢献した最強の大横綱と言えども歯が立たなかったのだろう。 

 

 

 

 

山本甲士「ひなた商店街」(書き下ろし)

近江(ちかえ)貴仁は、祖父ちゃんの葬儀以来、10年ぶりに帰郷してきた。 実家は二階建、今は父・明、母・信子の二人暮らしである。 玄関チャイムを鳴らすと、母ちゃんが出迎えてくれた。 去年古稀を迎えた父は年金仲間と毎日のようにマアジャンとかで出かけているらしい。 保険会社の調査員から独立して興信所の所長をやっていたが、年金の支給が始まったのを機に引退した、と言う事だった。 貴仁は東京でアクションスターを夢見て頑張って来たが、花が咲かぬまま40才が見え始めて引退を決め、実家の佐賀市でおでん屋「こひなた」を夫婦で営む、母の妹・小日向弓子と功一の後継者として住み込みで仕事を覚えることに決めたのだった。 母と談笑して玄関を出ると、丁度、30年前から乗っているマークⅡで親父が帰って来た。 都落ちだな、孫の顔を期待できないな、等々、言い返せない程のイヤミな言葉を浴びせられたが、最後には、→功一さんと弓子さんのお店、よろしく頼みます、と両手の指先まで真っ直ぐにして深々と頭を下げられた。

 

アーケードがあった商店街は古くなってシャッター街となり、自力で解体出来なかった、部品落下等の危険度が増したアーケードを取り壊されて以来、残る店は五軒だけである。 肥前市活性化事業協同組合を街の有志で結成し、アーケード解体費用を負担したが、以降の商店街の議決権を握られている。 商店街を助けるのでは無く、安楽死させるのが真の目的で、商店街を全部解体して更地にし、企業誘致を図る構想が有志の間で固まっていた。

 

そこに肥前市役所から出向しているのが貴仁の一年先輩・正然良夫で高一の息子がいる。 高校時代から ちかえをオウミと呼んでいる。 肥前市活性化事業共同組合事務局・主査であるが、商店街を何とか永続出来ないかと、真の目的に反して孤軍奮闘していた。

 

おでん屋に顔を出してくれた正然に同行して猪狩文具店を訪れた。 猪狩婆さんの孫娘、鳥屋菜実が緑のジャージーで応対してくれた。 女子大生二年生でここに下宿しているという。 滋賀県甲賀市出身で、大のプロレス好きらしい。 アクションスターってバク転とかできるんですか? 私は甲賀忍者にも興味があって、近江さんとは何かの縁ですね、と賑やかに盛り上がっている。 しかし、 貴仁のアクションの後輩で売り出した南郷タケルは知らないという。 文具店の飼い猫をニャンコ師匠と呼んでいるともいう。

 

店に戻ると、びぜんテレビのディレクター・小田兼一が、「こひなた屋」をテレビで紹介するので短い食レポを、とお願いされた。 元・女子プロレスラーで金網デスマッチで有名なウオンバットエリカがローカルタレントで、彼女が来訪するという。 それを聞き及んだ鳥屋菜実が、→忍者装束で対応するべし、序にバク転もヤッて、タイムスリップによって突如この商店街に現れた忍びの男が、生きる為におでん屋で働いている、佐賀藩主・鍋島直正公からの直々の密命で探っていたが、新選組に追われて屋根から落下、そこから意識が飛んで10日前からここにおる、鉄の乗り物が高速で行き交い、電機式紙芝居のテレビ、携帯電話なるモノを知り、心底、仰天しているが、今はそれを受け入れようと、頭を柔らかくしておる、という筋書き迄、用意してくれる始末。 菜実にせがまれて片手での斜め前宙返り、その勢いでバク宙、更にバク転を決めると、スマホで動画を撮っていた菜実は、これ、ネットに上げよう、タイムスリップして来た謎の忍びと、副題も付けて・・・、と悪乗り満々だった。

 

ロケにやって来たウオンバットエリカは30代後半で、Tシャツにハーフパンツの軽装である。 貴仁は名前を訊かれて、うっと詰まりながらも、→ひなた三十郎でござる、まもなく四十郎だがな、と三船敏郎の椿三十郎を真似た。 →元に戻れなかったらこれからどうするんですか?と訊かれて、鍋島直正公は、民が笑顔になるような世を作ることが領主の務めじゃと常々口にしておられた、時代を経ていようと直正公の思いを引き継いで拙者はこちらの世界で民を笑顔にするように微力を捧げる覚悟じゃ。 エリカが相槌を打つ、→おお、それは素晴らしい! この商店街に多くの人々を呼び込んでその人々を笑顔にしたい、と仰るのですね。 →左様、拙者のような奇妙な奴がおでん屋にいるぞ、と少しでも興味を持ってもらえれば望外の幸せじゃ、白岩商店街には、この他に、駄菓子屋兼文房具店、洋品店や和菓子店、中華そば店もある、この放送を見ているお方々、気軽に冷やかしに来られよ、待っておるぞ! と締めくくった。

 

一週間後オンエアされたが貴仁はハラを括って忍者装束の儘、おでん屋の仕事を続けた。 怪訝な顔をするお客様たちに、実はもうすぐ番組が流されます、と忍び装束の事情を説明する事になった。 バク転はエリカにも拍手喝采で、スタジオのコメンテーター・食品会社の女社長は、→あのおでん定食は高血圧対策にバッチリよ! 女性にはヘルシーなメニューよね、と絶賛してくれる始末だった。 英会話教室を開いているかたわら、子供にボクシングを教えているアフリカ系アメリカ人は、→天草四郎が起こした島原の乱に、佐賀藩から忍びが派遣された、と歴史書に載っていますから、直正公の密命、と言うのは本当でしょうね、と三十郎のタイムスリップを補強してくれた。 そういえば嬉野温泉には忍者のテーマパークがある、甲賀、伊賀、佐賀と奇麗に韻を踏んでいるナ、との話もあった。 アナウンサーが、→この方、実は白岩町の出身の元・アクション俳優をやっておられた、という情報も頂きましたが、四十を過ぎてあのバク転やバク宙は凄いですよね、と少しの真実も織り交ぜて放送は終わった。

 

おでんと豚汁の具材は確かに高血圧対策に有効なモノばかりであった。 その説明を店内に貼り出したい、と功一・弓子夫婦から頼まれ、壁に貼るだけじゃなく、ラミネート加工したいイラスト入りの説明書も何枚か作り上げた。 序に手首に巻くタイプの血圧計も置いた。 菜実の要望によるスマホの動画は、ブランコや鉄棒を使った忍者の鍛錬ばかりじゃなく、ゴミ拾いに使う長いトングを刀のように見せかけて、忍者装束の男が腰に差したり背負ったりすると実に似合ったが、菜実の要求は、おでん屋さんが面倒見てくれて地域の人たちにも良くして貰っているのでその少しのお礼に商店街と児童公園のゴミ拾いをする事だった。 ず~ッと続けなきゃならんのか、と不満もあったが、まァ、イイか、と言う通りにした。

 

掃除中に制服警官の職質を受けた。 →小刀の様なモノを持っている忍者装束の人がいる、と通報があったのです、先ず、顔を見せて下さい、と言うので、覆面を解き、スマホでテレビに紹介された画面を見せながら、お世話になっている商店街のゴミ拾いをしています、とトングを抜いて見せた。 すっかり理解した警官は、→ご協力ありがとうございました、と自転車を押しながら去って行ったが、菜実がパチパチと拍手しながら近付いてきて、イイ画が撮れたわ、とニンマリしている。 仕掛けたのか、と貴仁は今更ながらに思った。

 

・・・「ひなた三十郎、見参!」というブログが立ち上った。 肥前市白岩商店街に幕末からタイムスリップしてやってきた忍びの男、ひなた三十郎、同じ商店街で暮らす駄菓子屋の孫娘・鳥屋菜実が動画を上げていきます。 そして動画は、謎の忍者がおまわりさんから職質問される、である。 二つめは、おまわりさんに職務質問された忍者にインタビューしてみた。 何と、この方、商店街

のおでん屋で働いているおじさんだと判明、地元テレビからも取材を受けているちゃんとした人でした、と説明し、「おでん屋こひなた」の写真が貼られ、おでん定食、高血圧対策にバッチリ、と説明書も大写し、おでん定食と豚汁の湯気が上がっている動く画像である。 あのコ、こんなものまで作れるのか、と貴仁は感心し切りであった。 そして最後に、ひなた三十郎を今後も更に追いかけてみたいと思います、乞う、ご期待!と纏めていた。 翌日には、にゃんこ師匠、合気道のスイッチが入って弟子の三十郎に伝授!と言う仕込んだ動画までUPしていた。 勿論、白髪頭の婆ちゃんと猪狩文具店も抜け目なく入っていた。 翌日の夕方、若い白人女性二名が来店、店の常連が下手な英語で尋ねると、アイルランドとカナダからだった。 その時、菜実が来店し、→三十郎さん、おでんいろいろ十種類入れて、と入って来た。 目ざとく白人女性を見付けて声を掛けている。 一緒に写真を撮りたい、SNSにあげてもイイか、と言う事だったので、お安い御用でござる、と快諾した。 バグ転、バク宙の連続技を決めたり、そのやり取りを又しても菜実が動画に映していた。 これもネットに上げる積りだ、と笑っている。 その後、菜実は猪狩文具店に連れて行き、駄菓子の安さに驚く二人、よっちゃんイカが気に入った様子、ひなた三十郎の恩師のにゃんこ師匠に会えて大満足、等々のテロップを入れた猪狩文具店の全景をUPしていた。  

 

(こうしてNETを活用した菜実の悪智恵?によって、ひなた三十郎と商店街の人気が高まり、訪問客が激増していく。 また既存店が新しい菓子や食堂の新メニュー等々、商店街も勢いづいて行く。 貴仁の父や猪狩文具店の白髪の婆ちゃんが昔取った杵柄で、更地にしようと目論む、活性化事業協同組合の有志のスキをついた手柄を立てる。 こういった成功物語は心が弾む。

 

第594回と595回に「民宿ひなた屋」をUPしている。 ここと同じく、夢破れた41才のアングラーが故郷の佐賀の実家が営んでいるひなびた民宿を、釣りの腕を駆使して佐賀県の河川の魚を料理に取り入れて、原価の無い食材と佐賀の自然を総取り、というコンセプトが功を為して繁盛する民宿に立ち直って行く物語である、そちらもぜひ、どうぞ・・・)

 

 

マアジャンやられた!-20も・・・。 4人の卓代・飲食代を一人で賄ってしまった。 己の財力はそんなにない。 来月は休ませて貰おう。 Oさんから新刊を借用、相場英雄「ゼロ打ち」、伊岡瞬「水脈」の2冊。

 

二回目の町内会カラオケに参加。 前回と同じメンバーと同席で話が弾んだのは言うまでもないし、Y町内会長に前回の二次会の料金を支払った。 前回歌った曲名を個人宛に記録していて、そのカードを確認しながら歌うので、重複する事を防いでいるようだ。 よし、月二回のこれからの開催日に併せて今から曲の選定をしておこう。 初回は「惚れたが悪いか」と「歌、この不思議なもの」だったが、今回は「舟唄」と「おんな港町」を歌ってきた。 石川さゆりと八代亜希である。 次回は都はるみの歌にしよう。 女性の歌は其の儘、歌えるが男性の曲は音程を三つほど下げなければならないので、数ヶ月後に歌って見ようと思う。

 

(ここ迄、5,400字越え)

 

令和6年(2024年)3月11日(月)