俺の本棚~面白いッ書 第653回

令和5年12月20日

コピーA4判7枚を入れた封筒はgオーバーだった。 7枚がg以内に収まらないとは今後の参考にしておこう。 18通の切手を貼るのを嫌気して料金別納でお願いした。 今月は床屋のMマスターとは酒の席で、Oさんにはマージャンの席で直接の手渡しをする予定。 誰から第一報が入るか、楽しみである。  24枚を読み返してみると、随分、登場人物に助けられていたんだナ、と今更に思う。 W女史が原稿をメールしてくれたH市のKさんとK市のSさんには送らなかった。

・・・金曜日に出したのに月曜日18時に、市内の同期Mからの携帯が一番だった。 厚い封筒だったから、まさか絶縁状じゃないだろうナ、と封を切ったらしい。 驚いて、嬉しがらせてくれた言葉で感想を言ってくれた。 翌日、東京のYさんからメール。 機内誌の浅田次郎のコラムを彷彿させる名文で、思わず一気読みした、と喜んでくれた。 有難し!

 

テレビやネットで麻雀番組を良く見るが、将棋の鈴木大介9段(49才)がプロ雀士になってイキナリMリーガーとして活躍している。 大谷翔平の二刀流は群を抜いているが、こっちの二刀流も凄い。 将棋界で9段にまで昇り詰めた人が、厳しいプロ雀士試験を潜り抜けての合格は敬意を表する次第。 北海道新聞の将棋欄でさっそく対局があって勝ち上がった。 多才な能力が羨ましい。

 

アメリカゴルフの親子大会をテレビ観戦した。 タイガー・ウッズと息子、アニカ・ソレンスタム(女子プロ)と息子、ジャスティン・トーマスと父親、更に、父と娘とキャディは母親と、多彩な組み合わせである。 第一打も二打もパターも、二人が打ってベストポジションをチョイスするから、二日間プレーで25アンダーと言う優勝スコアだった。 パー72のコースで、60や59というビッグスコアが出るのも当然だった。  日本でもスポンサーがついてやって欲しいナ、親子・兄弟・姉妹・甥姪まで拡げれば可能だと思うが・・・。 女子プロでは有村智恵が35才以上のプロを集めた大会を始めている。 男子プロと較べてシニア大会が少ないからイイ着眼点であり、子育て中の往年の名選手の顔を見れるのも楽しい。 テレビのゴルフサバイバルは女子の歴史が長いが、ゴルフサバイバル男!も始まって来た。 オフシーズンの楽しみが増えてきた。     

 

 

今野敏「オフマイク」(文庫本、図書館から借用、単行本は2020年)

題名のオフマイクとは、音源から遠くに置かれたマイクの意。 刑事が犯人と見定めた男は、真犯人に殺される危険を察知し、自殺を装った二人の男女の殺人を推測出来たものの、見て見ぬ振りをしていた、という物語。 事実から遠く離れた、という題名の意味だろうナ、と解釈している。

 

警視庁捜査一課特命捜査係(継続捜査)の谷口刑事は、ペア長の先輩・黒田刑事と「かめ吉」で食事中に、黒田刑事と同期の捜査二課(詐欺、贈収賄)の多岐川刑事から、20年前の大学生自殺事件を洗い直して欲しい、と頼まれた。 春日井伸之・23才、六本木マンションで首吊り自殺、もしかして政治資金規正法か贈収賄に繫がるかも知れない、マル対の名前はまだ言えない、極秘に捜査してくれ、と虫のイイ頼みであった。 本当だとしたら、確かに20年間も殺人犯を野放しなら捜査一課として黙ってはいられない。 今は、殺人罪には公訴時効はないのだ。 ・・・当時のマンションは、龍土町という地名だったが、今はガラス張りのオフイスビルになっていた。 古そうなガソリンスタンドのオヤジさんは、→確かにレンガ色のマンションだったナ、イベントサークルSSの幹部だった男子学生の自殺があって報道陣が集まってたナ、と1月22日の寒風に晒されての訊き込みネタはそれだけだった。

 

TBNの夜のニュース番組「ニュースイレブン」のデスク・鳩村は、午前10時に、こんな時間にスクープを多発している腕利きの布施記者がいるのに驚いた。 →ついさっきまで、六本木にいましたが、「ニュースイレブン」が打ち切りって話がありました、本当ですか?とトロンとした目で訊いて来た。 誰がそんな事言ってる!と憤慨すると、→さっきまでIT長者の藤巻清治さんと一緒に呑んでいて、彼が言ったんですよ。 藤巻は、ITバブルが弾けても生き延びている勝ち組の一人だった。 布施が帰って行っても鳩村は気になるばかりだった、そこに関西のKTH局から、「ニュースイレブン」の低くなった視聴率のテコ入れに派遣された栃本が出社して来たので彼にも聞いたが、 勿論、知らないという。 栃本は報道局長の油井が系列局の人脈を使って引っ張ってきた人物だった。 「ニュースイレブン」のキャスターは鳥飼と香山恵理子だが二人にもこんな噂が入っているのだろうか? 香山恵理子は人気が高まって来て他局の争奪戦が囁かれている、という状況もある。 鳥飼は局アナだが、香山はプロダクション所属のフリーアナウンサーなのだ。  午後6時前、二人が出てきた、→噂は聞いていますか、この番組が打ち切りになるって? 布施がIT長者の藤巻社長から訊き込んで来ました。 鳥飼は、噂を流しているのは外注先の映像プロダクションじゃないのか? 彼らの死活問題だし、と二人はあっさり否定した。 布施もやって来た。 鳥飼が、本当に藤巻が言ってたのか?と訊くと、→ニュースイレブンが好きで良く見ているし、香山恵理子のフアンでもあって、もし、打ち切りになったら秘書かPR担当に雇おうかナ、とも言ってました、と断言する。 更に、→目的達成能力が抜群で、やりたいと思った事には必ず結果を出す人ですから、プロ野球の球団を買ったくらいですし、香山さんのスカウトなんて簡単でしょう、と布施の考えを告げた。 

 

谷口は黒田に引っ張られて当時の事件の管轄だった麻布署の山崎副署長を訪ねた。 黒田のかっての上司らしい。 実は捜査二課の同期から収賄に絡むかも知れない、と20年前の自殺を打ち明けると、ああ、→それは知っている、確か、その前に女子学生も自殺しているぞ、深川署の久世生安課長が詳しい筈だ、と紹介を受けて門前仲町の深川署へ出向く。 しかし、深川署で更に紹介されたのは、何と、同じ捜査一課の池田管理官だった。 警視庁に戻って、二課に頼まれた事情を打ち明けると管理官は、→いいさ、二課に恩を売ってやりナ、いつかその貸しが役に立つサ、龍土町の件だろう、あれはどうもすっきりしない事案だった、女子大生の自殺との関連を疑ったが確証が見付からなかった、物的証拠も一つもなかった、SSサークルの連中も口止めされていたかもナ、ただ、状況は自殺だった、署としての方針にヒラ刑事は何もできない、過去のもやもやは出来るだけなくしたい、お前らの係長に言っておくから、その件、きっちりやってくれ、とアト押ししてくれたのである。 これで大ぴらっに捜査に専念できる。

 

藤巻はネットの世界のカリスマである。 竹島や尖閣諸島、北方領土の事についても良く発言していた。 ネット右翼、ネトウヨがそれに食い付いて賑やかになる。 そして最近は政財界のフイクサーになる、との発言も飛び出している。 若い人らがそんな過激な発言に反応している。 布施が香山恵理子に問うている、→藤巻さんがアピールして来たら香山さん、どうします? →あり得ないわ、今のところ、ニュースイレブン以外の仕事は考えられない。

 

黒田と谷口は今日も「かめ吉」で食事である。 そこに布施記者がやって来て、→龍土町のマンションの件で訊き込みしたオヤジさんが飲み友達で、二人の刑事が昔、マンションで起きた自殺について調べに来た、と教えてくれました、私も調べてみます、オレ独自のネタですから・・・と報告された。 夜8時の会議で、布施は、→警察が20年前の大学生の自殺を調べ直しています、継続捜査で自殺じゃ無かった可能性がるのではないでしょうか? イベントサークルSSの幹部だった人の自殺、そのサークルの主宰者は藤巻さんでした、そして最近、私がニュースイレブンの記者だと知った藤巻さんの方から近付いて来ました、これ、警察が動いているならスクープの可能性充分です。

(ここまで、全391ページの内、100ページまで。 その内、キャスターの香山恵理子が失踪する。 自殺した女は篠田玲子、SS内で相当上のステージまで昇り詰めたが、その後、自殺。 恋人だった春日井は憤慨する。 怒り沸騰している時に自殺などしないだろう、と黒田が言い切る。 さて、どんな結末が待っているのか・・・)

 

(ここ迄、3,500字超え)

 

令和5年(2023年)12月20日(水)