令和5年(2023年)9月4日  第635回

LPGAは、畑岡奈佐、笹生優花、渋野日向子、勝みなみ、古江彩佳、西村優奈、野村敏京の7人。

渋野、笹生、古江が予選通過、4人が予選落ちした。 ・・・古江が26位(12千$)、渋野41位、笹生59位と振るわなかった。

欧州ツアーはスイスで、川村昌弘、比嘉一貴、星野陸也、久常涼、岩崎亜久竜の4人。 星野、岩崎が予選落ち。  ・・・川村が惜しくも8位(52千€)、久常13位(35千€)、比嘉36位だった。

 

日本男子の道産子は、片岡尚之、植竹勇太、安本大祐の3人。 安本が予選落ち。  ・・・片岡が健闘虚しく2位(1,100万円)だった、残念!

日本女子第26戦(美唄市)の道産子は、小祝さくら、内田ことこ、宮澤美咲、阿部未悠の4人。 宮澤が予選落ち。 このゴルフ場は数回プレーした事があるが、元々、工業団地として造成された計画が頓挫し、長年放置されていたのがゴルフ場になった為、風雨に逢うと遮るモノがなく吹きっ晒しになる状態だった。 おまけに何ホールも池に囲まれた難コースである。 宮澤が予選落ち。 ・・・小祝が池ポチャのダボで一打差の2位だった。 惜しい! 阿部29位、内田40位だった。 これで24勝2敗。 優勝した19才の櫻井心那は10代で3勝目、宮里藍、畑岡奈佐に続く史上3人目の快挙だという。 2月の誕生日までにアト、1勝でもしたら史上初の4勝である。 末恐ろしい。

 

高卒後59年、喜寿を迎えたクラス会の案内が来た。 I町まで出かけて一泊、札幌からは二人、隣区に住んでいるSの車に同乗して行くが高速料金はこちらが負担、ホテル料金も含めると25,000円以上の負担である。 クラス49人中、既に物故者は11人、残り38人の内、所在不明者が二名、今、36人の所在をキチンと押さえている地元在住のOに感謝である。 どんな楽しみに会うのかゆっくり出かけるとしよう。 明日の朝9時に迎えに来る。 ・・・故郷会の案内も来たが、その直後に高校同期生の「喜寿集まろう会」を予定していたので断った。 そっちにも懐かしい面々がいるが、喜寿集まろう会と重複したNと決めた次第。 コロナが明けた途端、いろいろ重複してくるなァ。

 

 

原宏一「ヤスの本懐⑥」(ヤッさんシリーズファイナル)

第2話 タカオの矜持

ヤッさんの一番弟子だったタカオは、同じく、新大久保のオモニ(韓国食堂オモニの家)に大変な世話になった無類の蕎麦好きのミサキと結婚し、築地で「蕎麦ミサキ」を開業している。 女の子が産まれて四ヶ月、背中におんぶしてソバを捏ねているミサキであった。 名前はカナサ、常陸秋ソバの産地である茨城県金砂郷に因んだ命名である。 いま、タカオは、やはりヤッさんの強力な指導を受けた開店六周年の「鮨まな」で、女主人の真菜からお薦めを楽しんでいた。 真菜を、→姐さん、と呼んで心酔している弟子入り4年のガタイのイイ、勇人がキビキビと気持良く対応している。 タカオは、真菜に弟子入りして早々に音を上げた過去の数人の噂話をしていた。 弟子入り一週間でトンズラした女の子、レジのカネを持ち逃げした奴を実家にまで追いかけ、親が弁償した事、等々、数人の弟子が育たなかったが、勇人の根性は見上げたものだった。 アト、1~2年で独り立ちできる見込みだと、真菜も言っている。 翌日、勇人から、ヤッさんが捕まらないので相談がある、と連絡があった。 →実は、3週間ほど前からノーショー(予約の無断キャンセル)が続いているんです、しかし、姐さんは性善説でいきたい、予約客を疑えないから・・・、と我慢しているんですが、この間だけでも40人を超えています。 予約分だけ席は空けていますからお帰り願ったお客様も結構な数ですし、揃えていた食材だって二人の賄いだけじゃ食べ切れませんし、昨晩もタカオさんのいる時に予約が入りました、番号を控えているんですが、全部、別な電話なんです、どうしたらイイかと悩んでいます。 翌朝、タカオは豊洲市場の水産棟に行ってみたが、やはり、ヤッさんはここしばらく顔を見せていないらしい。 「カネマサ水産」の正ちゃんも同じだったので、→知り合いの店がノーショーの被害を受けて居る、と相談したら、→今は、恨みつらみでやっているか、ライバル店潰しが多い、遺恨を残して辞めた従業員や隣の店主とかナ、たまんねえよナ、と正ちゃんは舌打ちした。 ヤッさんは何処へ雲隠れしたのか、居なきゃ一番弟子のオレが事を収めなきゃ沽券にかかわる。 焦燥感に駆られてしまった。 ヤッさんが救った真菜が又もや危機に瀕しているのだ、オレがやるしかない、と思う程ますます焦りが募った。

 

ミサキに真菜の難儀を打ち明けると、→ヤッさんが消えた? オモニも? 二人はあたしの第二の両親だよ、真菜さんより先にそっちが心配だわ、とカナサに大きなオッパイを晒けながら顔を顰めた。 →老舗卵焼き店「玉勝屋」の3代目の香津子さんのお母さんにベビーシッターを頼んでみるから、両方とも頑張って頂戴、と発破を掛けられた。 勇人から連絡が入る。 予約は辞めて、来店順に受け入れる事にしました、フリーのお客さんの為にも・・・、と姐さんが決めました、との事だった。 すると常連客の口コミで予約中止の情報が広まって来店客が増えて来たらしい。 ところが「鮨まな」はグルメサイドに載っているのだが、今度はそこへの書き込みが荒れ出して来たと言う。 更に、クレーマーらしき客が増えてきて、散々、悪態をついて帰ったアト、ネットに書き込むから堪らない。 常連客が、→あんな野郎たちは断わっちゃいなヨ、と憤慨して、無粋な客の為に店は刺々しい空気になっているという。

 

タカオは宿無し生活に陥る前に勤めていたIT企業の同期だった上原に面会を求めた。 知人がネットバッシングに遭って困っていると相談すると、それは恐らく代行屋の仕業だと断言した。 バイトを雇ってグルメサイドで自店を自賛させたり、他店をこき下ろすのが口コミ代行屋、誹謗中傷コメントを削除してくれるのが削除代行屋、どちらも同じ会社がやっているのが普通だ、と言う。

金がかかるから、依頼しているのは企業系の飲食店が大半で、依頼を受けているのはIT企業のあだ花でビジネスの為なら平気で法を犯すヤツらだ、ただ、遺恨を遺して個人的にやっている奴もいるけど。 そうか、個人的な方なら自分でも出来るかも知れない。

 

上越新幹線で長岡市の「下澤豆腐店」を訪ねた。 持ち逃げした金は親から弁償してもらったが逆恨みしている可能性は充分にある。 ヤッさんに叩き込まれた、「例え無駄足になろうとも自分の足と目で確かめる事に意味があるのだ」を実践するのみである。 →昔、鮨まなにいた大樹クンかな? 真菜親方と懇意にしているタカオと言います、と言葉を掛けると、同じ店名入りの白いTシャツを着た奥さんが、→どいうしたの?と聞いてくる。 ここは正攻法に正直に話した処、大樹クンは、→僕はそんな事はしていません、と困惑顔で否定すると、奥さんが、血相変えて、→結婚する時に全て聞きました、勝手に主人を疑うのは止めて下さい、鮨まなさんへの償いは済ませましたし、今は、真面目に店を継いで頑張ってるんです、朝5時から全てが終るのが夜8時過ぎ、毎日16時間もの働き詰めです、ネットなんて主人にはそんな暇はありません。 大樹クンが、→座敷で、と話が続いた。 実は豆腐店を継ぐのが嫌で東京に出た、いなせな鮨職人になって花の西麻布を伸し歩いてやる、と莫迦みたいな夢を見ていたが、最初は体育系の親方で殴られそうな感じがしたから、こっちから断わりました。 女の親方ならそな事は無いだろうと思っていたら、真菜親方からは、掃除、仕込み、接客と躾に追われっぱなしで終るのは夜中、でも殴られるよりマシだ、と思いながら必死に一年を働きました。 そこへ、父親が入院した、もう長くないから帰ってこい、と母親から連絡が入り、無一文の有様だったのでつい魔がさしました。 母親が真菜親方に土下座して謝って弁済もしてくれましたが、それを受取った真菜親方が別に封筒を取り出し、→一年で少ないですけど、これ、天引き貯金です、お母さんにお預けします、と渡してくれました、消え入りたいほど恥ずかしかったです。 三か月後に亡くなった父からは教えが少なかった、だから基本を必死に勉強し、地道に仕事に打ち込むしかなかったが、正に真菜親方から仕込まれていたからこそ出来た事で、もう、感謝しかありません、一人前の豆腐職人になったら改めて真菜親方に御礼に伺います、その節はありがとうございました、大樹は元気でやっています、とお伝えください。 大樹君に、ここ迄断言されてはもう信じるしかない。 タカオは晴ればれとして栃尾揚げを頬張った。 旨い! これは蕎麦屋の酒のアテに出来るかも知れない。 大樹君と一緒だった高卒の女の子は修業が厳しくて一週間でトンずらしたが、その子が六本木で自分の鮨屋をやっていると噂を聞いたらしい。 彼女は資金もない筈だし、ネットバッシングに走るようなタイプじゃない、と大樹君は言うが次はこの子だ、とターゲットを決めた。

(ネットバッシングの犯人はこの子が祭り上げられていた企業だった。 そして、ヤッさんとオモニが札幌に居た。 宿無し生活が出来ない冬の札幌、どんな理由が二人に降りかかったのか、それが第三話、「ヤスの本懐」で明らかになる)

 

 

文庫本3冊を購入。 町田そのこ「コンビ二兄弟③」(初出月刊誌)、藤野千夜「じい散歩」(単行本は2020年)、高田郁「あきない世傳金と銀 特別巻上」(書き下ろし)、どれも面白そうである。  

(ここ迄、4,000字越え)

 

令和5年9月4日(月)