令和5年(2023年)7月3日  第620回

男子ゴルフは千歳市でプレーである。 宮里優作に女子プロの成田美寿々、石川遼に妹・葉子がキャデイで付いているのが話題になっていた。  宮里が予選落ち。 道産子の予選通過は片岡、安本、武藤の3人。 石川は24位(126万)、奥さんをキャデイにしていた南アフリカ人が圧勝! 道産子の片岡は惜しくも2位(1,260万円)だった。  安本、武藤は下位に沈んだ。  

女子第18戦の道産子は、小祝、内田、宮澤、菊池の4人が予選通過。 ・・・ツアー未勝利の19才と20才のプレーオフになって、19才の桜井心菜が初優勝! また、スターが現れた。 やはり女子は20才前後が最強なのかしらって思ってしまう。 内田が7位(330万円)、宮澤、小祝、菊池は下位に沈んだ。 これで日本人の16勝2敗、もっと独走して欲しい。

PGAは松山が予選落ちして、小平が19位で予選通過。  ・・・しかし、40位(33千$)に沈んだ。

欧州は5人の内、久常10位、星野63位で予選通過。 ・・・結果は、久常が15位(42千€)、星野は49位だった。

 

文庫本3冊購入。 堂場瞬一「ラットトラップ」(書き下ろし)、同じく「ホーム」(単行本は2020年)、今村翔吾「イクサガミ 地」(書き下ろし、天は在庫がなかった)、さて、面白いか?

 

 

山本甲士「迷犬マジック③」(書き下ろし)

煤屋(すすや)貴士は、やり投げの五輪強化指定選手だったが、交通事故で左ひざを骨折して夢を絶たれ、かつ、内定していたコバルト電機への就職も取り消しになった。 あれだけちやほやしてくれたコバルト電機・陸上部の監督やコーチは見舞いにも来てくれなかった。 事故は貴士が黄色信号で交差点に進入し、右折してきた造園会社のトラックに跳ね飛ばされたのだった。 損害賠償はしっかり払ってもらったが、弁護士とだけの交渉で会社側は一切顔を見せなかった。 もしかしたら死んでいたかも知れない事故だったので、駆けつけた両親は、→不幸中の幸いだった。 3才下の妹も、→助かったのだから不運じゃなくて幸運だったって思った方がイイわよ、と前向きな考え方だった。

 

入院中は、→もしかしてプロレスラー?と、身体のことを尋ねられたが、五輪候補を覚られるのが嫌で、→趣味で筋トレやってます、と病室中に聞こえる大きな声で返答したのだった。 退院後にやり投げのフォームをしてみたが、投げる直前の踏ん張りが利かなくて、下半身の力を上半身にスムーズに伝えられず、所謂、手投げになってしまうから距離が伸びない。 投てき種目は全身の緻密な連携があって初めて成立する競技である。 メンタル面でも、左膝を手術したという事実が脳に作用して、本来の状態の左ひざじゃない、という気持を拭えられなかった。 医者からの宣告には大ショックであったが、反面、絶対、五輪出場、上位入賞、という大きな荷物を下ろせた事に気付いたのだった。 好きで楽しく続けていた筈の競技が、いつの間にか、義務感に支配されていた事にも気付いて愕然とした。

 

集配センターの夜勤のアルバイトの帰り、入院していた県立病院の裏通りを自転車で走行中、黒柴っぽい犬が赤い首輪をつけて植え込みから顔を覗かせていた。 →迷子か? 車道は気を付けろよ、怪我するナよ、と声を掛けて学生用のコーポに帰った。 三年生になった時に入居したので丸二年になるが、就職が駄目になった事情を話してもう一年、契約を更新したばかりだった。 布団に入ってお昼ごろ、スマホに、大学OBの浦川さんからメールが入った。 →お前に教えて貰った自重トレのお陰で体調がイイ、お礼に一杯奢るからいつでも店にこい、と気遣ってくれていた。 「so what」というジャズバーを経営している。 浦川さんは学生時代、陸上部で中距離走が得意だったが、それよりもギターに力を入れていた。 そのままプロの道に入ったが、40才になって嫌気が差してこの地に戻って小さなジャズバーをやっているのだった。 人脈が広く、慕ってくる後輩や気のイイ先輩のたまり場になっていて、人気者だった。 自重トレとは、自身の体重を利用した筋トレで、わざわざジムに通わなくても、公園の鉄棒とか、自宅でも出来るのである。 午後3時、ジャージを着てママチャリで病院裏の森林公園に向かった。 30分かけて公園を一周したがあの犬は見当たらない。 芝生で全身ストレッチをしてから帰ろうと決めて、開脚した状態で前屈させてみたが額が地面に付かない、太股の裏が突っ張る痛みに顔を歪めた。 気配を感じてふと見ると、何と、今朝見た黒柴ふうの犬がちょこんと座っている。 首の周りを撫でてやると、犬は当たり前のようにアトを付いてきた。 赤い首輪にマジックと黒く書かれた名前があった。 途中、鉄棒に飛び付き、懸垂をしてみたが筋肉の衰えと体脂肪の増加が思い知らされた。 着地すると、マジックから、ワン!と吠えられた。 こちらをガン見している、怒りながら、よく考えろ、と訴えているようだ。 そんな手抜きでイイのか? とも言ってるようだ。

(取り敢えず、今回はここまで)

 

図書館から借りた、真保裕一「おまえの罪を自白しろ」は、結構な読み応えだった。 総理の知人が持っていた土地を巨額な費用で買い上げた末、大きな公共工事に使われた疑惑でマスコミに追われているベテランの衆議院議員、その真っ最中に3才の孫娘が誘拐にあって、脅迫文が、→孫の命を救いたければ、おまえの罪を記者会見で告白しろ、という内容だった。 誘拐に遭った孫娘の親の、娘の夫は市議会議員、兄は県議会議員、弟は会社を倒産させて今は父の秘書、という政治家一家に降りかかった災厄である。 結構な展開であったし、犯人は次の公共工事を取り沙汰されている土地を諦めさせたかったのである。 何故か?

 

(ここまで、約2,400字)

 

令和5年7月3日(月)