令和5年(2023年)5月15日  第612回

娘と、人気の回転ずし「T」に行った。 驚いた、平日の正午から80分待たされた。 35分間で食べ終えたが、次回からは正午とか、夕刻6時とかの食事時間はご免被る。 76才で初めての長~い待ち時間であった。 ひとりなら間違いなく辞してしまうが、人気の理由はやはり、旨い寿司なのだろうナ、と納得する。 けれど、たかが、昼メシの為に無駄な時間である。 立ったままじゃなく座席での待ち時間だから何とか我慢できただけである。 ・・・娘が帰る日、母の日と来月の父の日のお祝いで小さいポチ袋を受取った。 有難し、娘に貰う年になった、と有難く頂くとしよう。

 

 

5月7日に終了済みの韓国で開催されたアジアンツアーは、悪天候で三日間に短縮、香妻、浅地、木下は予選通過したが、揃って最下位の71位で終った。 PGAは、松山、小平が出場、二人とも予選通過。 松山は23位(81千$)、小平は43位(31千$)だった。 LPGAは、畑岡、笹生、勝、西村、野村が出場。 笹生、勝、野村が予選落ちした。 畑岡8位(76千$)、西村31位(20千$)だった。 欧州ツアーはベルギーで、川村、星野、久常、岩崎が出場。 川村だけが予選落ちした。 久常が10位(34千€)と健闘し、星野、岩崎は下位に沈んだ。

 

日本女子第11戦の道産子は、小祝、菊池、内田、阿部、宮澤の5人。 菊池、内田が予選落ち、阿部未悠が10位(207万円)と健闘したが、宮澤も小祝も下位に沈んだ。 岩井ツインが史上初の双子姉妹のプレーオフ、妹の千怜が4打差の逆転優勝で3勝目、天晴れ! かつ、応援に来ていた母に、「母の日の」プレゼントとは最高ではないか、こんな親孝行姉妹に更に天晴れ! これで10勝1敗、快調である。 朝の「サンデーモーニング」で中畑清が、→この二人はこれから優勝争いにショッチュウ顔を出すよ、二人とも可愛いしね、と発言していた事が半日後に本当になった。 中畑にも天晴れ!

 

 

薬丸岳「最後の祈り」(Oさんから借用の新刊)

保坂宗佑は「千葉刑務所」のボランティア教誨師である。 聖書と、讃美歌の伴奏を再生する機器のヒムプレーヤーは教誨の必需品である。 「東京拘置所」は確定死刑囚が拘置され、死刑執行の場も完備されているが、「千葉刑務所」はLA級の受刑者だけで、刑期10年以上の者がL、Aは犯罪傾向が進んでいない者であり、刑期10年以上の重罪を犯した者ばかりであった。 個人教誨は月に二回、一日五人と会って話をする。 時間は一人25分、教会からの往復の時間を加えると半日の時間がかかる。 今日は奈良昇平・28才、懲役22年の殺人犯である。 入所して3年と言うから、25才の時の恋人を刺殺した犯人である。 前回の集団教誨に参加した内のひとりだった。 保坂教誨師の言葉に、「神の前ではどんな人も赦される」とあったから、それを確認したくて個人教誨を受けることにしたという。 恋人から、交際を辞めたい、とイキナリのメールがあったまま、携帯も繋がらない、会ってもくれない、真意を質そうとしているだけなのに・・・、その内、ストーカー扱いされて警察から警告された、だから大学のキャンパスで見付けて30ヵ所以上もメッタ刺しで殺した、とその経緯を語ってくれた。 だから自分は赦される筈がない、と語気荒く言って教卓を両手で叩き付ける。 →社会的には犯した罪が消える訳ではないし、遺族の方々が君を許すとも限らないだろう、だけど、神の前では君は赦されるんだ、社会的な許しと宗教的な赦しは少し違うモノなんだ、今日はここまでにしておこう、また個人教誨を申し込んでほしい、その時にさっきの話の続きをしよう、と切り上げたのだった。

  

宗佑が牧師を務めている教会は目白にあり、午後5時からは信者を対象にした聖書研究会がある。 真っ直ぐ帰ってその準備がある。 スマホを開くと、北川由亜からメッセージが届いていた、→お元気ですか? 近い内にお母さんと一緒に会ってくれないかナ、二人の都合のイイ日を教えて下さい、よろしくね、と絵文字迄添えられている。 都内に住む由亜とは3ヶ月前に食事をしたが、仙台に住んでいる母親の北川真理亜とは一年以上も会っていない。 了解、と返信して、待ち受け画面にしている母娘の写真に見入った。

 

池袋西口の交番前で北川真理亜と待ち合わせ、人混みの中から彼女が現れると宗佑の鼓動が高鳴った。 由亜に指定された店はこの繁華街にある。 →食事をしたらかなり遅くなるから仙台に帰るのは辛いので近くのホテルを取ったわ、けど由亜は何の話なのかしら、私にはいつも最低限の事しか伝えて来ないから、とプリプリしている。 この母娘はず~ッと仙台で暮らしていた。 母親は惜しみない愛情を注いでいるが、娘は父親の事を一切話してくれない事にずっと不満を抱き、反抗的な時期が長くあったらしい。 高校に入ると頻繁に夜遊びをするようになって、宗佑は毎週のように仙台に赴き、由亜の不満のはけ口となり、母娘の仲を取り持ってきた。 由亜は「東京のおじさん」と懐いてくれたのだ。 東京の大学に入った7年前からは、母親よりも宗佑の方が会う度合いが多くなっている。 指定された高級そうな和食料理店に入ると、案内されたテーブルには由亜と背広姿の男性が居住まいを正した。 →お母さん、おじさん、呼び出してごめんね、こちら会社の木本康弘さん、と紹介されると、男性はさっそく、→あ、あの、由亜さんと結婚させて下さい、出来るだけ早く籍を入れたいと思っています、と挨拶される。 由亜が、→実は妊娠しているの、もう、5ヶ月・・・と、吃驚の告白だった。 →ずっとお母さんの事、恨んでいた。 どうしてお父さんが居ないのに、どうして私を産んだのって。 でも自分の体に新しい命が宿ったって知った時、絶対にこの子を産みたい、と思ったの。 お母さん、私を産んでくれてありがとう、康弘さんと幸せな家庭を築きたいの、と目が潤んでいる。 真理亜も目が潤んでいて涙が零れ落ちる、→そうか、私、おばあちゃんになってしまうのか、木本さん、由亜の事どうかよろしくお願いします、今度、仙台に来て、亡くなった両親や妹の遺影に報告して下さい、とお願いすると、木本は、→もちろんです、と大きく頷いた。

 

娘達と別れると、真理亜が、→宗佑さんが木本さんに質問攻めだったわね、必死に由亜に見合う人物かどうかと見定めているようで、面白くて笑ってしまいそうだったわ、仙台から来た甲斐があったわ。 →彼はイイ青年だよ、きっと由亜ちゃんを幸せにしてくれるサ、と断言する。 人を値踏みする資格など自分には無いと判ってはいるが・・・。 真理亜は、→戸籍を見たらわかってしまうから、近い内に由亜に話す積りよ、でも宗佑さんの話はしないから、と言われて、→その方がイイだろうね、と呟いた。

 

協会の隣にある「牧師館」の部屋に帰り、段ボール箱から一冊の本を取り出して、中に挟まっている一枚の写真を摘まみ上げた。 自分と真理亜・優里亜姉妹が写っている。 今も、優里亜の顔を見るのはどうしょうもなく怖い。 だが、どんなに苦しくても辛くても、由亜の本当の母親の姿を見詰めながら娘の成長を報告してやるのが自分の務めである。 ソファに座って、改めて見詰め、→優里亜、由亜がもうすぐ結婚するよ、そして母親になるよ、と報告した。 優里亜と知り合ったのは大学一年生の時、高円寺のアパート暮らしだった宗佑が良く食事をするレストランでアルバイトをしていたのが優里亜だった。 優里亜が住んでいるのが荻窪だったから、近所でも度々顔を合わせるのが多くあり、気が付いたらお互いのアパートを行き交う仲になっていた。 優里亜の両親は姉妹が小学生の時に交通事故で揃って亡くなっており、それから一才上の姉とともに伯父の元で育てられたと言う。 姉は高校卒業と共に働き始め、それと同時に伯父の家を出て二人で同居して優里亜は高校へ通ったのだった。 優里亜は、宗佑が実家の会計事務所を継ぐ為に何れ名古屋に戻る事を承知していて、早く子供を産んで幸せな家庭を築きたい、と明るい口調で夢見ていた。 ただ、宗佑は二十歳そこそこで自分の人生が想像出来てしまう、つまらなさへの負の感情が欝々と胸の内に蓄積されていたのだった。

 

20才を過ぎたある日、優里亜に連れられて、池袋の小さなバーに入った。 ショートカットの凛とした女性バーテンダーと目が合った瞬間、雷に撃たれたような衝撃が走った、人生初の感覚で心を奪われてしまった。 →お姉ちゃん、この人がいつも話している保坂宗佑さん、優里亜の言葉に驚き、そして落胆した。 優里亜の姉の真理亜です、と名乗られたがどんな話をしたのか、さっぱり覚えていなかった。 それほど心を奪われてしまったのだ。  (両親の保険金がそれぞれの口座に1,000万円が残されていて、真理亜は高卒後、東京のベテランバーテンダーの元で修業し、開店したのであった)

・・・真理亜への想いと優里亜への申し訳なさから、意を決して優里亜にこのどうしょうもない気持を打ち明けた。 →そう、お姉ちゃんと付き合うの? でも私には勝てないわね、と呟いて帰ったが、翌日、真理亜から電話があって、→優里亜が宗佑さんと別れるから二人は好きにしてイイ、でも、もう一緒に住めないから部屋を出て行く、と言われた、と。 そして優里亜は引っ越し先を教えずに姿を消した。 妹が居なくなってから真理亜は変わった、妹への罪悪感から眼差しは生気を失い笑顔は皆無になった。 そして一年後、優里亜は遺書を遺して自殺した、→宗佑さんの子供と頑張って生きて行こうと思っていたけど疲れ果てました、由亜の事をよろしくお願いします。 赤ちゃんは生後6ヶ月の女の子だった。 宗佑は震えた、優里亜は妊娠を知らせずに姿を消して大学も辞めて出産していたのだ、宗佑はとんでもない罪を犯した、優里亜を裏切って真理亜のたったひとりの家族を奪った。 真理亜は、→この子は自分が育てます、優里亜へのせめてもの罪滅ぼしです、そして一生恋愛はしません、と言い残して店をたたんで仙台へ移住し、由亜をキチンと育てながら独身を貫いていたのだった。 宗佑は22才の時に洗礼を受けた、大卒後、4年間神学校に通い、目白の協会の牧師になった。 優里亜への償いと神に赦されたい気持であった。

(ここ迄、全413ページの内、僅か、41ページまで。 ・・・妊娠していた由亜が殺された、同じ年頃の女性も先に殺されて連続殺人事件だった。 犯人は10年以上前に、育ての祖母も殺していた、父親が母親に逃げられて、子供を祖母に預けたのだが、祖母の躾が厳しくてガミガミ言われるのが嫌になった、という理由だった。 ・・・半狂乱になった真理亜と宗佑は、宗佑が東京拘置所の教誨師になって、教誨によって犯人が良心を取り戻した時に、死刑執行時の最後の教誨のアトに、地獄に落とす言葉を投げ付けて由亜の仇を取る、と決めて、教誨師になる方法を模索するのだった、さて、このオドロオドロシイ物語の結末は?)

 

 

元会社・Aが初の売上高1兆円を成し遂げた。 ’93年に旧・H(900億円)と旧・D(600億円)が合併してから丁度30年である。 感慨深いものがある。 更に’00年に旧・kも合併して新星・Aとなったのだった。 その後、いくつものM&Aを積み重ねての連結1兆円であるが、やはり、亡くなったA会長の功績が大きいと思う。 恐らく泉下からも絶賛してくれている事だろう。

 

大相撲が始まった、体調不良で解説の北の富士がお休みである。 いつも翌朝に、「はやわざご免」の新聞記事をネットで楽しみにしていたが残念である。 休場していた横綱・照ノ富士、大関・貴景勝が出場しているが、果て、結果はどうなるのか、楽しみにしようではないか。 幕内に戻った朝の山、ひと場所で十両になった落合、注目する力士が幾らでもいる。 14時過ぎからの幕下取り組みからの4時間、15日間の楽しみは年金者だけの特権である。

(ここまで、4,900字越え)

 

令和5年5月15日(月)