俺の本棚~面白いッ書 第769回
令和7年10月17日(金)
図書館から借用した単行本、小路幸也「磯貝探偵事務所 失踪人」(2024年刊)はシリーズもので、①は、「銀の鰊亭の御挨拶」、②は、「磯貝探偵事務所からの御挨拶」に続く三巻目である。 ①と②は文庫本で我が本棚にあり、①は既にここにUP(第527回)している。 図書館に返却する前に、第三巻のこちらを先にUPしておこう。
磯貝公太の個人探偵事務所に、「銀の鰊亭」の31才になった女主人・青河文から紹介されたのは、同い年の幼馴染で今や国民的人気の女優、西城真奈だった。 本名は最上真奈で、芸名の西城は最上の音読みだった。 4才上の姉の紗理奈(・・・北海道知事の坂東泉・60才の個人秘書)が居なくなった、という。 二ヶ月前の5月19日に道の秘書課の方から携帯に連絡があって、姉と電話が繋がらない、突然、秘書を辞めると言い出して、それから連絡が取れないのだと・・・ その時、初めて姉が辞めた事を知ったのです、その一ヶ月前にも姉と話しましたが、そんな事は一切言っていませんでした、携帯は切れている状態で、真奈が2才の時に母親が亡くなって、今は東京の実家の父(最上賢一・60才)にも一切知らせず、私が三日後に札幌の部屋に行ってみると、マンションは解約されていました。 ・・・なるほど、失踪か。 1年程前に坂東知事の後ろに佇む紗理奈さんが写っていた顔写真も渡された。 妹とは似ていないがそれでも美人だった。
磯貝は、文さんや甥の光クン、更にS大学の宮島准教授(大親友)の協力も得ながら、紗理奈さんの引っ越し先を追った。 個人情報を漏らせない相手ばかりで難儀したが、あらゆる手段を使って探り当てたのは、マンション管理人・長崎さんからの情報は、やってきたのはたまたま顔見知りの整理屋で、伝票の引っ越し先は札幌市内だった事、・・・運輸業を営むウラ仕事の整理屋・飯島さん(飯島商会)からの情報では、引き取った荷物は殆ど売り払った事とその品々の内訳、引っ越し先は厚別区厚別中央のアパートであった事、整理屋仕事は道庁の関係者から依頼された事、・・・今は旭川に住む紗理奈さんの友人の花田ゆかさん(結婚して東ゆかさん)からの情報では、4月に電話で話した事は、前から零していた彼氏と別れた事、そして驚いたのは、姉妹の母親・瑛子さんが30年前に失踪していた事、失踪宣告後7年で死亡認定された事、姉は知っていたが、当時2才の真奈は知らされていなかった事、・・・母も娘も失踪! そんな偶然があるのか? これは父親の最上賢一さんに聴き質すしかないだろう。
元刑事の伝手から、マンション管理会社の取締役・新崎さんから引っ越し先の詳細を手に入れた。 「厚別区厚別中央東2条西1丁目35-40 コーポ佐々木 4号室」 しかし、その番地には当該するアパートは無かった。 ただの思い付きでこんな詳しい住所が出てくるとは考えにくい。 最上紗理奈さんは、どうしてこんな土地勘があるのだろう? ・・・新崎さんから、探偵仕事の年間契約を結び、調査件名につき別料金を支払う旨の、棚からぼた餅的な話があって、貧困業態の磯貝は大喜びだった。
光クンの、弁護士の父親が、坂東知事との人脈があって、知事公館で会う事が出来た。 紗理奈さんと一緒の仕事仲間だった30代の秘書課の仲野さんも同席してくれた。 10年以上前、知事が経産省所属の研究員の役職だったころ、パリで最上紗理奈と偶然に知り合った、という。 知事は英語とフランス語、紗理奈は更にスペイン語と中国語に堪能の、外交手腕にも優れた、直ぐにでも外務大臣が出来そうな、正に才色兼備の美女であった、という。 ・・・坂東知事は子連れと再婚して、その夫は亡くなったが、連れの息子は広太郎と言って、札幌市内にセレクトショップを経営し、東京と横浜にも店がある、やり手の実業家らしいが、親の七光りが嫌だと、親子関係は頑固に秘密にしている、との事だった。 紗理奈は古くからのセレクトショップのお客様だから、息子の目線で何かを知っているかもしれない、と目の前で息子に携帯で連絡し、帰りに寄って、と取り持ってくれた。 ・・・広太郎は自らゲイだと告白し、紗理奈とは男女の関係ない、極めて気の合う友人で大事な上客だと打ち明けてくれた。 失踪した事に驚きを隠せず、思い出してくれたのは、特殊なデザインの古いスーツケースを手に入れられないか、と写真を見せられた事があったが、広太郎の力が及ばなかった、という。 フランスの有名デザイナー、「ジャン・イブ・ファニー」のブランド限定品までは突き止めたが・・・。
夜、東京の最上賢一さんに電話した。 厚別区厚別中央の住所に、妻になる前の瑛子が住んでいたのだった。 瑛子は海外ブランド品を打っている店で店長をしていて、年に1~2回、欧州やアメリカへ買い付けに行ってた。 そして、パリ旅行の帰途、成田空港で姿が消えたが、そのすぐアト、札幌中央署の刑事が来て、奥さんに麻薬の運び屋の疑いがある、行先に心当たりがないか?と質された、という。 麻薬の運び屋? 瑛子の周囲の誰もが、そんな事は絶対ありえない、と否定する人しかいなかった。
(30年経った今も瑛子は行方不明の儘である。 恐らく生存願望は絶望的だろう。 紗理奈だってもう二ヶ月以上も連絡がない。 最悪の事も覚悟しなくちゃならない、と妹の西城真奈には言えなくても、父親の最上真一さんには、言っておかねばならないだろう、とハラを決めて、磯貝探偵はそれを告げた。 ・・・旧知事公館から新公館への引っ越し準備で、紗理奈さんを筆頭に、仲野さんも手伝って、知事の私物を整理し始めた。 何と! その中に、瓜二つのあのスーツケースを目にした紗理奈さんは、間もなく突然に、個人秘書の辞職届を出して、それっきり姿をくらませたのだった。 ・・・さて、物語はどのように展開していくのか、驚きの事実が露になっていく。 そして結末の、信じられない挑戦が始まる事態に驚愕するのであった)
マージャンは-9だった。 Tさんが-29でビり。 Oさんがットップで、Ⅰさんが+5の2位。 卓代・飲食代が20だったので、一人当たり5。 差し引き、遊び代が4だと思えば自分は腹も立たない。 流石に、Tさんはキツかったかも知れぬが・・・。 万一のビリ、これが自分には毎回手が出せない理由である。 しかし、別なOさんとマージャンが出来ず、これが半年振り、というメンバー3名の悲嘆さは感じられた。
米野球大リーグのリーグ優勝戦は、アメリカン・リーグが第1シードのトロント・ブルージェイズと第2シードのシアトル・マリナーズ、ナショナル・リーグは第1シードのミルウオーキー・ブルワーズと第3シードのロサンゼルス・ドジャースが勝ち上がった。 ドジャースはレギュラーシーズンで、ブルワーズに勝てない儘の6連敗である。 どのピッチャーも150Km/hは当たり前に投げるし、中には、160km/h超や、157,8,9km/hが出る選手も結構多い。 バッターも、下位打線でも簡単にホームランを打てる選手が揃っていて、日本のパワーレベルとは1~2段上の力強さである。
・・・先に4勝した方がワールドシリーズ出場である。 滑り出しは、シード下位の、マリナーズとドジャースが2連勝である。 さて、どうなるか? じっくり楽しもう。 ・・・日本もクライマックス後半戦、セ・パのリーグ優勝者との戦いである。 米大リーグの朝・昼のテレビ観戦は、年金者の特典である。
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令和7年(2025)10月17日(金)