こんにちは、misolaです
前回、西欧文化を鑑賞する上で「歴史的・文化的な共通認識」を持っているのと持っていないのとでは見方が違ってくるということを書きました。
わたしは、これらの「共通認識」は、オペラやバレエをやる上でもとても重要だと感じています。
実は、ここからが書きたかったことの本題で、これまでは長ーい前置きでした。
一人でオペラアリアをやる分には、あまり問題ないんですが、複数の人数でやる場合、「共通認識がある人達」とそうでない人達では作業のスピードも出来も全然違ってくるんです。
オペラの基本的な立ち位置や身体の方向などの考え方はバレエと共通する部分が多いです。
クラシックバレエは、劇場という空間で人間の身体が美しく見えることを追求してきた踊りで、立ち方、並び方など、細かいルールがあります。
知らない人からすると「なぜそうしなければいけないの?」と思うようなルールがいっぱいなんですが、これらはとても合理的に作られているんです。
それらのルールを知っている人同士だと「横一列に並んでお辞儀をする」ようなときも、ほとんど打ち合わせをしなくてもできますが、ルールを知らない人同士だと、立ち位置やタイミングを細かく打ち合わせないとピシッと合わせることは難しい。(打ち合わせをしても合わないこともしばしば…)
これは「楽譜が読める読めない」というのに似ているかもしれません。
初見で歌える人達だと楽譜を見てすぐに歌えるけれど、そこまで楽譜が読めないと音を聴いて覚えるところからやらないといけないですよね。
「歌える」までにかかる時間が全然違うんです。
(だから私は譜読みに時間がかかります〜〜)
舞台上の立ち位置や動き方のルールを知ってるのと知らないのとでは練習に必要な時間が全然違ってくるんです。
プロのオペラ公演が練習期間が短くてもできるのは、そういうことなんでしょうね。
これは単純にルールです。
文法や交通ルールと同じ。
右側通行の国では皆んながそれに従う方がスムーズにいきます。
あなたの美意識と世界標準が違っていたとしても別にあなたの美意識が劣っているわけではありません。
でも、人と一緒にやる場合、「様式」という定型フォーマットがあった方が単にやりやすいってことです。
以前、コンテンポラリーダンサーの森山開次さんがインタビューで「バレエは脚をターンアウトしないといけないけれど、僕はインの脚が美しくないとは思えなくて」という内容のコメントをしていました。
ターンアウトとは、脚全体を外側に回すように使うことで、インはその反対で内股っぽい感じです。(簡単に言うと〜)
どちらの美意識も別に間違ってないんです。
でも、バレエダンサーの中で一人だけ内股にしてしまうと周りと形が合わない。
どうしてもそういう表現をやりたいのなら、方法を考えてないといけないんです。
森山開次さんの場合はクラシックバレエではなく、コンテンポラリーの世界に行って大活躍してます。「クラシックバレエが絶対正しい」じゃないんですよね。
そうそう、森山開次さんは今度オペラの演出をするとか!
どんな作品になるんでしょうね〜。