「夏の寓話」
”夏の終わりのハッケヨイ”3
「ファ~ァ・・」
寝たら、朝が来た。
あたりまえのことだが・・・
ゆうべは”怪獣ぶちかまし”の
せいで、うなされた。
「あれ?じっちゃんは?」
「テツヤさんと、F町の土俵が
気になるからって。」
「ま、まだ朝の5時半だよお!」
「あんひとぁ、夢中になったら
とことんっつうひとだから・・。
いいの、やらしときゃ。ふふっ。」
「いんやーっ、テツヤ!
よかったろォ、見といて!
あ~んな砂をかました土俵じゃ
踏ん張りがきかねえ。」
「まったくだな!
あれじゃ、しんきちの”かまし”を
くったら、ひとたまりも・・あ!」
「おぅ?・・そ・・・・っかぁ!
F町のやつら、わざと・・・。」
「い、いや。そいつぁどうだか
わからねえけど・・・な。」
「どうであれ・・
こりゃ負けらんねえ・・・
「巌流島相撲」だな。」
朝顔から夕顔へ・・、
ミンミンゼミからひぐらしへ・・。
夏はぐぅんっと
その影を伸ばして
夕方を引っ張ってくる。
ー午後3時ー
町の神社で出発式
カズヤさんはじめ、10人全員
白い締め込みで集合。
先鋒1、2年生4人
次鋒3、4年生各一人
中堅5年生2人
副将6年生
大将6年生(カズヤ)
以上10名
・・つまり、最初の4人が負けると
しゃれになんないわけで・・。
どっから聞きつけたのか、
神社には街の人たちが集まり
これを口実に一杯やってる
オヤジもいる。
「お~い!紅顔の美少年たちよ!」
古本屋の”麒麟堂”のじじぃ。
へべれけ。ーで、ある。
「今日は、俺から諸君にプレゼントが
あーる!おっ、きたきたあーっ!」
ぶっぶー!
やってきたのは”○X電機”と
でっかく書かれたトラックだ!
「さあこれでF町へ乗り込んで
思う存分暴れてこいや!」
「おおーっ!」
神社が盛り上がる。
けど、これってどうみても
「やく○の出入り」風であり、
「よっしゃ、しゅっぱーつ!」と
荷台の先頭で仕切ってる人は
上下白装束で杖振りかざし・・・。
あ・・、八百屋のばあちゃん、
泣くとこじゃないってば!
だれだあ?「バンザイ」してんの!
異様な雰囲気の中、
夕焼け空の下
ぼくたちはF町へと
”出陣”してゆく。
『大安売り』のノボリを
暑さの余韻を残した
風にはためかせながら・・。

