「ねぇ、灰皿くん。」
「なぁに?メンヘラちゃん。」
「煙草、辞めないの?」
「そういうメンヘラちゃんこそ。」
「煙草なんて吸わないよ?」
「違う。リストカット。」
「灰皿くんが煙草辞めたら辞めるよ。」
「俺もメンヘラちゃんがリストカット辞めたら辞めるよ。」
「むぅ…。話が進まない。」
「じゃあさ、一緒に辞めようよ。
煙草代貯金して結婚式を挙げよう。」
「お、プロポーズですか。」
「嫌ですか?」
「一緒に頑張りましょ。」
「傷のない君にウエディングドレスを着せてあげる。」
「ねぇねぇ。灰皿くん?」
「なぁに?メンヘラちゃん。」
「私はリストカットを辞める。
灰皿くんは煙草を辞める。
そのお金で結婚式を挙げる。」
「そうだね。」
「灰皿くんの負担が大きすぎるよ。」
「彼氏とはそういうものですよ。」
「私も灰皿くんの為になにかしたい。」
「…俺の隣にいてよ。ずっと。離れないで。」
「いや、だからね…。」
「いーの。メンヘラちゃんがいれば俺は幸せなの。
どうしてもって言うなら結婚したら
家で掃除して、料理して、俺を迎えて。わかった?」
「むぅ…。わかった」
「よし、良い子だ。」
そんな会話をしたのがほんの三年前。
俺は煙草を辞めた。
メンヘラちゃんもリストカットを辞めた。
でも俺の隣にはメンヘラちゃんは居ない。
もちろん家で待ってなんかいない。
メンヘラちゃんは綺麗になった体で
きっとどこかで笑っている。
それだけで俺は幸せなんだ。きっと。
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