対面型のコミュニケーションと感覚 | 三嶋浩二Official Blog

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 ~社会をより豊かに~

ドラマケーションで感覚を使うということ

1.既に蓄積された「感覚の記憶」を呼び起こす
2.「感覚の記憶」を蓄積させるために「感覚の経験」を積む

私たちが用いているアクティブメニューと呼ばれるものは、役者のトレーニングやウォーミングアップとして使われるコミュニケーションゲームや表現遊びといったものが主になっています。

役者の方々が演技をする時、「感覚の記憶と想像力によって作られたものを体現化する」ことが要求されます。

医者になったことがなくても医者になれるように、どんな職業にもどんな状態にもなれるのは、「感覚の記憶」を「想像力」によって拡張することができるからです。

1.感覚の記憶を呼び起こす
一度蓄積された感覚は使っていなくても忘れないのですが、使っていない時間が長いとちょっと修正する時間が必要になります。
例えば、自転車に乗れるようになりました。長い間乗っていなくても自転車に乗れます。しかし、ずっと乗っていないと乗り始めた時にちょっとだけふらつき、その後普通に乗れる。


この時の「ちょっとだけふらつく」部分で「感覚の記憶」を呼び起こしているわけです。

例えば、野球選手。シーズン中は頻繁に試合があるので走る・打つ・投げる感覚は、ウオーミングアップで十分ですが、シーズンオフの間には身体は休められるけれど感覚にはズレが生じてくる。シーズンが始まる前のキャンプの間にそのズレを修正していく。


この時の「ズレを修正していく」ところで、感覚の記憶を呼び起こしているわけです。


以前、知り合いの女優さんが言っていました。
「一週間休むとふりだしに戻る」

役者ではないので、戻ってしまう感覚はわからないですが、一週間休むと次に仕事に行くときに身体的に精神的に辛くなることは、ガテン系の仕事をしていた時に感じました。

また、私は数か月間、社会との交流を遮断していた時期(いわゆるひきこもりの時期)があります。そこから復帰した時に、自身のコミュニケーションに関係する感覚が非常に鈍くなっていることに気が付きました。

朝、出社すると常務取締役が目の前にいました。私に背を向ける形で電子レンジで何かしていたので、私は大きな声でハキハキと「おはようございます」と言いました。距離にして1.5mくらいでしょうか。
ところが、反応が全くありませんでした。

「無視された」と思いました。「嫌われているのかな?」「嫌っていても挨拶はしようよ」とも思いました。
肩を落ながらコートをハンガーに通したところで

突然、その常務取締役に怒鳴られました。

「お前は、挨拶一つできないのか!!黙って会社に入ってくるな!」

私には、何がどうなってそうなったのか全くわかりませんでした。


このことからも対面型のコミュニケーションの時に使う感覚は、他の感覚と同様に鈍くなるものだとわかります。

例えば、SNS等の電子媒体を使ったコミュニケーションが多くなっていたり、親が気を使って先回りしてくれるので言わずともことが済んでしまったり、仲の良い友人とだけ話すのでほぼ阿吽の呼吸で済んでしまったりと、特定の環境にだけ対応するコミュニケーションのとり方ばかりになると、対面型のコミュニケーションの感覚は鈍くなっていきます。

したがって感覚の記憶を呼び起こすことは、とても重要になります。

呼び起こすことができる場を作っておく、場をもっておく、場を知っておくことは大事です。


2.「感覚の記憶」を蓄積させるために「感覚の経験」を積む
「感覚の記憶」は、「感覚の経験」を積んでいくことで豊かになっていくわけです。

感覚の経験を積む環境は、さまざまな社会の変化によって個人によって差が大きくなっていると感じます。
その差を社会としてどう埋めていくのか。

その解決の一つとしてドラマケーションが活用されています。


先に述べた、
役者の方々は、感覚の記憶と想像力によって作られたものを体現化するわけですから、そのトレーニングには感覚の経験を積む内容が非常に多く含まれています。

これを使わない手はありません。

対面型のコミュニケーションは、応用問題のようなもので相手や状況等のさまざまな要素によって同じというものが存在しません。
したがって、感覚の記憶が豊かであればあるほど対応力はあがります。

また、感覚の経験は感覚の記憶だけではなく、感情の記憶にも影響しています。
アンガーマネジメントが流行ったように、感情のコントロールや付き合い方に注目が集まっています。感情のコントロールや付き合い方は、知識によって考え方や視点をチェンジしていくことも大事なのですが、それと同様に感覚の経験が必要であり大事なものです。

ドラマケーションのアクティブメニューは、感覚の経験を積み感覚の記憶を豊かにし、想像力を養うようになっています。


社会をより豊かに!