中学受験に向かない子 | 新・中学受験塾講師の独り言

新・中学受験塾講師の独り言

がんばれ!受験生!

前回の記事はどちらかと言えばネガティブなテーマでしたが、今回の記事は前回にも増してかなりネガティブな話題です。

 

講師目線から、中学受験で成功をイメージできないという生徒の傾向はかなり似通っていると思います。以下で述べる項目に一つでも当てはまる場合、中学受験で失敗しないためにも早急に対策してほしいと思います。

 

 

①落ち着きのない生徒

 

授業中に他の生徒の文房具を取ったり、座っている席でバタバタして周りの生徒に迷惑を掛けているような生徒はほぼ例外なく中学受験で苦戦しています。

 

このような生徒は受験本番でも周囲が気になり、自分のことに気が回りません。

 

では、なぜこのように落ち着きのない行動ばかり取るのかと考えてみると、恐らく自己肯定感が強すぎるからではないかと思います。つまり、勉強で思うような成果が出ていない。でも、自分はここにいるんだ!という他者へのアピールをすることにより、他者に自分の存在を認めてほしいという欲求を満たそうとしているのでしょう。

 

さすがに受験本番でこのような行動に走れば、最悪試験会場から追い出されてしまうかもしれません。ですから、受験本番でこのような行動を取ることはほぼありません。しかし、本能に背き続けてジッとしているだけですので、ただでさえストレスがかかる受験本番では他の受験生以上にメンタルがやられてしまいます。

 

保護者の方からすると、我が子が本当に落ち着きがないのかどうかは判断しにくいところがあると思います。授業中の様子を担当講師に確認して、改善できる余地があるのであれば、早急に対策してほしいと思います。ただ、こればかりは本能によるところが大きいですので、成長を待つしかないということもあるでしょう。

 

②答えが気になる生徒

 

授業中であっても、宿題をやっている時であっても、答えが何かということが気になってしまい、自分の答えが正解なのかどうかばかりを気にする生徒も中学受験でうまくいく姿をイメージしにくいです。

 

特に記憶力の良い生徒にこの傾向は顕著に見受けられます。

 

自分の出した答えが〇か×か、この点について強烈にこだわるべき瞬間というのは受験本番以外ありません。それこそ解き終わっていない段階で解答を見てしまうような生徒はほぼほぼ受験本番で苦戦します。

 

逆に中学受験で成功する生徒は、日々の問題演習では正解が何かについてはあまりこだわりません。むしろ、正解に至るプロセスを重視しています。ですから、正解できなくても考え方は良かったのか、考え方が間違っていたのかを〇付けの段階で自ら判断して、考え方が間違っていた場合には、即座にその場で考え方を修正しようとします。

 

しかし、正解にこだわってしまう生徒は考え方を軽視し、正解できたかどうかを重視しますので、結果的に答えを覚えようという勉強をしてしまいます。特に記憶力の良い生徒にこの傾向は顕著です。

 

また、記憶力の良い生徒は講師が授業中に書いた板書を軽視することが多いように思います。しかし、いくら記憶力が良くても板書内容を全て記憶できることはありませんし、問題を解いていく過程に関する解説を聞き洩らしていることも多々あります。

 

中学受験で成功する生徒は、正解できなかった問題の答えにはほとんど興味を示しません。興味を示すのは正解できなかった問題をどうすれば正解できるのか、そのために解説を熟読したり、解説を読んでも理解できない場合には、講師に質問します。

 

つまり中学受験で成功する生徒というのは、答えよりも考え方を重視しているといえるでしょう。

 

③予習として事前に保護者に教えてもらっている生徒

 

これは特に下位クラスに在籍している生徒で熱心な保護者のご家庭でよくあることです。

 

はっきり言います。それで成績が上がるなら保護者の方は塾講師になるべきです。本当にお勧めします。そもそもどんな塾でも指導案があります。さらに講師は指導案に則りながら、一つの科目として一貫性のある指導をするよう尽力しています。

 

たとえば、「平均」の問題を教える場合、面積図を使うのか天秤を使うのか。これは他の単元でどのように教えているかによって大きく変わります。

 

講師は可能な限り、生徒には覚えることを最大限減らし、汎用性のある解き方を教えようとします。一方、保護者の方が行う通称「親塾」では場当たり的な分かりやすい解法を教えがちです。しかし、これでは一貫性のない指導に陥ってしまい、結果として生徒がキャパオーバーとなりパンクしてしまいます。

 

さらに事前に予習することの弊害として、授業を聞かなくなるというものがあります。授業当日に教材が配布されるサピックスではこのような弊害はほぼ起こりませんが、予習シリーズを教材として用いている塾では本当によくあることです。

 

ここで、予習のプロセスを考察してみましょう。まず保護者の方が問題を解きます。その上で生徒に教えます。生徒は保護者の方に教えてもらい分かったつもりになります。そのような状態で塾へ行くと授業を聞きません。なぜならすでに(保護者の方が)解いているので、本人はすでに理解していると錯覚してしまい、他のことに気持ちが向かってしまいます。このような生徒に授業中に問題演習するように言うと金太郎飴のごとく同じ発言を口にします。

 

「もうやってあるから」

 

やったのは保護者であって、生徒本人ではないのに、生徒は自分で解けたと勘違いしてしまうのです。

 

そして、このことについて全く理解できないのが、ある意味、一番頑張っている保護者の方なのです。

 

保護者の方がすでに解いてくれているだけなのに、あたかも自分で解けたかのように勘違いしてしまい、演習時間中は、手持無沙汰でやることがないように思い、他の生徒にいたずらをして迷惑を掛け、授業の妨害をしてしまう。これで成績が上がるなら塾なんていらないでしょう。

 

 

高い授業料を払って塾に通わせるなら、保護者の方は覚悟を決めるべきです。勉強のことは塾に全振りすると。それが出来ないのなら中学受験を断念して、学童で子供らしく遊ばせてあげてはいかがでしょうか。