慢性便秘を放置することで年間122万円の損失や、
命にかかわる病気に罹り、死亡リスクが高まることをお伝えしてきました(下記参照)。
便秘の人は
「たかが便秘でなく、されど便秘」としてとらえ、
改善に努めていきましょう。
便秘改善の新常識
便秘解消に役立つ栄養素の1つに
「食物繊維」が挙げられます。
・野菜をいっぱい食べてるよ
・海藻もとるようにしている
・ゴボウなどの不溶性食物繊維をとってる
という方もいるかもしれませんが、
便秘改善の新常識を理解していますか?
食物繊維は「量」より「質」
食物繊維はたくさん食べればいいものでもありません。
数多くある中で何をとるか、
「選び方が大切」ということです。
中でも
「発酵性食物繊維」
の摂取が重要視されています。
発酵性食物繊維とは
「発酵性食物繊維」
聞き慣れない言葉ですが、次のように定義されています。
善玉菌には色々な種類の細菌が含まれますが、
中でも酪酸菌は、
腸に届いた食物繊維(発酵性食物繊維)を発酵・分解して
「酪酸」を作る細菌の総称です。
酪酸は短鎖脂肪酸の一種で、長寿菌とも呼ばれています。
酪酸が与える健康効果については多くの研究報告があり、
腸のぜん動運動を刺激し、便秘改善に役立つことも報告されています。
逆に言うと、
酪酸を作ることができるのは主に酪酸菌。
酪酸菌を活発化させるには、エサとなる発酵性食物繊維が必要。
ですから、
発酵性食物繊維を腸内に送り込むことが大切なんですね。
何を食べればいいの?発酵性食物繊維
発酵性食物繊維というと、“食物繊維”の文字があるだけに
葉物の野菜のイメージから「サラダを食べよう」と思う方もいるかもしれません。
しかし、キャベツやレタスなどには発酵性食物繊維があまり含まれていません。
大麦の食物繊維の研究の第一人者、大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授によると、意外にも発酵性食物繊維は、
全粒粉などの「茶色の穀物」に多く含まれているということなのです。
不溶性にも水溶性にも
食物繊維の分類方法はいくつかあって、
水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と
水に溶けない「不溶性食物繊維」で分けることもあります。
水に溶けない性質→保水性、かさ増し効果による便性状改善
セルロース、ヘミセルロース、リグニン、レジスタントスターチなど
■水溶性食物繊維:
水に溶ける性質→糖の吸収を遅くし、不要な栄養素の吸収を阻害
βーグルカン、イヌリン、ペク
チン、サイリウムなど
以前は便秘改善には
かさ増し効果のある「不溶性食物繊維」が良いと言われることもありました。
研究が進んだ最近は、そうとも言えないのです。
腸活の観点では、
「腸内細菌によって発酵されやすいかどうか」で分類するようになり、
不溶性にも水溶性にも発酵性食物繊維が含まれます。
主な発酵性食物繊維は次の通りです。
■主な発酵性食物繊維
(成分と多く含む食品)
低分子水溶性食物繊維
・ オリゴフルクトース(蒸し大豆、きな粉)
・ イヌリン(ごぼう、チコリ、玉ねぎ)
高分子水溶性食物繊維
・ β-グルカン(押し麦、オートミール)
・ ペクチン(ブロッコリー、人参、キウイフルーツ)
・ グルコマンナン(こんにゃく)
不溶性食物繊維
・ 難消化性デンプン(レジスタントスターチ、ジャガイモ、茹でほどいも)
・ アラビノキシラン(全粒穀物、穀物ブラン)
・ アルギン酸塩(海藻)
ここに書かれているだけでも、
穀類が多く含まれていますね。
育菌カードを使ってみよう
青江教授によると、
発酵性食物繊維は、
「日本食品標準成分表2020年版の炭水化物成分表の低分子+高分子水溶性食物繊維+難消化性でん粉をチェックすると分かります」
ということですが、
栄養学を学んでいない一般の方にとっては
分かりづらいですよね。
そういった方は、
青江教授とNHKが共同で作った「育菌カード」をダウンロードすると、
どんな食材に含まれているのか、イラストで分かります。
私もダウンロードして、キッチンにおいて眺めています。
いつもの食事にちょいたしで栄養もプラスしています。
参考にしてみてくださいね。
育菌カード
https://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2024_ikukincardkaiteiban.pdf
大腸のどこで発酵するか
一概に発酵性食物繊維といっても色々あり、
発酵率と発酵速度によって「大腸の中で発酵する場所」が違ってきます。

腸の入り口近くで発酵するのは、
低分子水溶性食物繊維(オリゴフルクトース、イヌリンなど)
真ん中ぐらいで発酵するのは
高分子水溶性食物繊維(β-グルカン、ペクチンなど)
奥の方で発酵するのは
不溶性食物繊維(難消化性デンプン、アラビノキシランなど)
発酵するまでの時間は、
腸の入り口では食物を食べてから4〜6時間程度、
真ん中では8〜10時間程度、
奥では16時間以上経ってから生じると見られています。
人の腸内には細菌がおよそ1000種類、100兆個も生息しており、
善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3つの働きに分けられています。
善玉菌は30~40種類あるとされ、
それぞれ腸内に棲み着いている場所があり、
好みのエサがあるということです。
おなかを減らした菌がいないように、
すべての菌を平等に育ててあげたいと思いますよね。
ということから、
栄養バランスの整った、偏りのない食事をとり、
色々な種類の発酵性食物繊維を摂っていきましょうね。
では実際に何を食べたら発酵性食物繊維がたくさん摂れるのかは、
別のブログで紹介します。



