misapple*diary -43ページ目
はじまり はじまり。
哀しく澄んだ歌声が夜空に響きわたりました。
*
おしまい
乙女は懐中時計を拾い、
ひとつぶ 涙をこぼしました。
乙女がやってきました。
あっというまに
お屋敷は蒼い炎につつまれました。
蒼い炎は蛇のように
男に絡みつきました。
力が足りないからだと男は思いました。
そして増やそうと炎に近づきました。
以前より 男はなんでも持っていたけれど、
いつからか乙女の歌声が
聞こえなくなってしまいました。
村人たちはみんな男に頭を下げるようになりました。
でも男は少しも幸せだとは思いませんでした。
男はますます裕福になりました。

