* この世界の片隅に * | misapple*diary

* この世界の片隅に *

 

 

映画「この世界の片隅に」を
観てきました。

 

 

素朴な絵柄とテーマから
たとえつまらなくても
歴史を学ぶために寝ないで頑張って観なくっちゃね!
っていうような
道徳の授業で観るような映画を想像していたのですが
まったく違うものでした。
(今思えば失礼千万な話なのですが…)

 


軽やかで楽しくて愛らしい
驚くほど美しい作品だったのです。

 


今もずっと余韻が私の心を捉えて離れません。

 


何度でも観たい、何度でも映画館に足を運びたい。
そう思いました。

 


こんな風に映画で感じたのは初めてでした。

 

 

 

 

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この日、一緒に鑑賞するはずだった
映画の舞台である広島県の軍港の街
呉市(くれし)出身の友人が来れなくなり

 

 

 

 

暮しの手帖」編集長、
澤田康彦さん が急遽参加してくださることに。

 

 

(今回なんと三度目の鑑賞でした!)

 

 

 


発売中の85号の彼の連載に、
映画のことが綴られています。

 

 

 

 

澤田さんのおばあちゃんとお母さんのこと、
愛するご家族のこと。

 


それぞれに片隅で生きる私たちの世界への
温かい視点。

 

 

ふんわりした文章に
澤田さんの伝えたい思いが込められていました。

 

 

とても大切なことがそこかしこに。

 

 

すごくぐっときたよ、編集長さん。

 

 

 

 

そう、彼はカッコイイ人なのです。
「暮しの手帖」は編集長さんそのものです。

 


 

 

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映画の原作は、
こうの史代(ふみよ)さんによる漫画作品。

 


片渕須直(かたぶちすなお)監督は自ら
この作品の一番の読者であるといいます。

 

 

そのくらい大事な作品を
他の人に映像化されるのは悔しいと
出資者を募ってこの映画にとりかかりました。

 

 

彼は〝戦争の映画〟ではなく
たまたま戦争がある日々の間に行われた
〝暮らしの映画〟だと思って描いたのだそう。

 

 

だからこそこの映画は
主人公の「すず」さんが感じる風やお日様の匂い、
お鍋のざらざらした手触り

 


日常が失われていく恐怖までもが

遠い昔にあった酷い出来事ではなく
観る人のすぐ傍にあるのです。

 


片渕監督は何度も呉や広島を往復し
膨大な資料や文献に、
ご自身が暮らしていたかのように感じるまで
目を通しました。

 

 

そのなかのひとつが

 

 

 

暮らしの手帖のかつての編集長、
花森 安治さん(ドラマ「とと姉ちゃん」では花山 伊佐次さん。)が
読者さんの日常の記憶を集めた

 


 

 

戦争中の暮しの記録」でした。

 

 

 

 

この本だけでもとっても分厚い!

 


映画中の楽曲をすべてを自ら希望されて担当した
コトリンゴさん

 

 

主人公「すず」さんを演じた女優の
のんさん(能年玲奈さん)も本当に素晴らしかった。

 


携ったすべての人が全力で取り組んでいながら
その労力を見せ付けることをしない
地面に低く根をはるたんぽぽのように実直で愛らしく
飛ぶ綿毛のように軽やかな余韻を残す美しいこの作品に

世界の片隅で、もの作りをする端くれとして
ただただ拍手を送るしかありません。

 

 

 

 

 

ぜひ沢山の方に映画館に足を運んでほしいなって
心から思います。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

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