遅くなりましたが、最新の「国防ニュース最前線」は元海上自衛隊第2術科学校長の下薗輝昭海将補に、海上自衛官にもあまり知られていなかった海自の歴史について伺っています。https://www.youtube.com/watch?v=otpxodIwVZo



さて、先週末から南スーダンでは政府軍と反政府勢力との戦闘が起こり、7月9日に独立5年を迎えた世界で最も新しい国は多数の死者を出すことになってしまいました。



先週末は日本国内では選挙報道一色でしたので、気づかないうちにこんなことが起こっていたという方も多いかもしれませんが日曜日は英国BBCではずっとトップニュースでした。やはり旧宗主国であり、また近々、PKOへの部隊派遣も実施していたことからも関心が高いようです(PKOへ主要国は通常、司令部要員の派遣が主で、日本のように部隊を出すことは珍しい)。


宿営地内にいるとはいえ色々な報道があって、現地で活動する陸上自衛隊の関係者の方はとても心配されていると思われますが報道では現地情勢は沈静化しているようです。



それにしても今回のことで勉強になったのは、日本国内で安保法制を含めPKO法など自衛隊を巡る法制度がけっこう誤解されているということです。それに加え、日本人なんだから自衛隊に助けて欲しいとか、他の国もやっているんだから自衛隊もこのミッションを続けようとか、観念論が多いですね・・・。



分かりやすく言うと、安保法などによって「何でもできるようになる」くらいに思われているのではないか?という懸念があります。かねて述べているように、これはやらないよりやったほうがマシ、くらいのもので、10くらいあるステップのうちの0.1歩くらいではないでしょうか!?


そもそも現在、UNMISSの活動をしている陸自部隊は、国連の枠組みの中で国連の地位協定に則って南スーダンに入っています。国連を無視して自国の国民がいるからと救助に行ったりすることはできず、輸送といってもUN司令官から命じる形を取るのがスジです。また仮にそうなったら、邦人だけでなく外国人も助けることが求められます。



では、国連の枠組みではなく、邦人保護と救出などのために自衛隊が入ることはできるのかといえば、その場合は南スーダンとの地位協定が必要になるでしょう。そうでなければ法的な身分の保証がありません。武器を使用し意図しない人を負傷させるなどした場合はいわば犯罪者になってしまう可能性があります。つまり、他国に武器を携行して入り、自国民を助けるなどということは先ずは通常の軍隊が行う手続きを踏まなければならないのです。



軍としてのしきたりや作法を整えなければ今後「私たち、国内法を変えたんです」といくら言っても、「はあ・・・?」という感覚ですよね、外国にとっては・・。本来、このような不十分な部分を一つずつ見ていく必要があるのですが、「戦争法だ!」「いやそうじゃない」といった次元の話ばかりになってしまっていることが、日本の限界・・・なのでしょうか・・。