(備前焼緋襷花入 ミント・ガクアジサイ ・シダ)
備前焼緋襷(ひだすき)花入に ミント、ガクアジサイ 、シダを投げ入れで生けてみました。
花材は近在の野山から頂戴しました。
ミントは清涼感のある良い香りが漂い、白い小さな花を咲かせています。
(備前焼緋襷花入 22cm × 9cm)
華道の投げ入れは、一般的には高さ30cmほどの花入を用いてダイナミックに生けますが、こちらものは高さ22cmと少し小振りですので、身近な花材をお手頃なサイズ感で生けることができます。
(緋襷の作例 藁を巻き付けた焼成前の花入)
花入は、緋襷(ひだすき)と呼ばれる備前焼の伝統技法を用いて電気窯で焼成されたものです。
緋襷は、成形・乾燥という工程を経たのち藁を巻き付け、巻き付けたままの状態で焼成すると、
藁のアルカリ成分と土の鉄分との化学反応で赤茶色に発色します。
作品全体を覆うように巻いた場合は、今回の花入のように全体が赤茶色になります。
聞いた話しでは「昔は藁は縦に巻くのが相場」だったそうですが、現在は縦にも横にも斜めにも自由に巻かれ、緋襷の多様な "景色" が生み出されています。
備前焼は釉薬を使わない焼き物ですので、窯詰めの自由度が高く、器を重ねて焼くことも、横倒しにして焼くことも出来ますが、ときどき器同士が焼き着いてしまいます。
備前焼で藁が用いらるようになった元々の目的は、発色のためではなく、藁で器と器の間に隙間を作り癒着を防ぐためだったとのことです。
(写真)備前焼緋襷花入 投げ入れ ミント・ガクアジサイ ・シダ
2024年6月24日、29日撮影