以前、発酵する人くさる人という寺田啓佐さんの本をご紹介しました。
それと同時にこちらの本も読みました。
発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方/寺田啓佐

寺田本家の23代目当主 寺田啓佐さんの本です。
1985年に経営の破綻と病気を樹に自然酒造りに転向。
この本には、お酒の作り方はもちろん、
微生物がどれだけすごいのか、
幸せになるための生き方、考え方などためになることが盛りだくさん!
大変勉強になりました。
ぜひこの本を読んで頂きたいのですが、
いくつか私が気に入ったセンテンスをご紹介します。
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もともと、日本酒の原材料は、米と米麹と水だけである。
戦前までは、このシンプルな材料で日本酒が造られていた。
事業が変わったのは、戦時中のこと。
米不足のために、思うように酒が造れなくなったので、量を増やす目的で添加されたのが
「アルコール」である。
これがアルコール添と呼ばれる方法だ。
添加物を使うと、なんと元の三倍量の酒ができる。
だから三増酒という。
コストは安いし、量産も苦労しない。
一度やり方を知ってしまったもうやめられない。
日本酒は2日酔いしやすいと言われたのは、事実ではなく、
添加物による悪酔いだったのである。
「アル添」は国が日本酒として放置している。
なぜか。
酒税を確保できるからなのだ。
例えおかしな級別審査であれ、不自然なものを加えた酒であれ、
見えているのは売り上げの数字だけなのだから、おかしかろうがおかまいなしだ。
どんな方法を使ってでも「寺田本家」を守らなければならない。
勝たなければ。
自分がやるしかない。
頑張るしかないのだ。
そう思わずにはいられない現実が、
大きな漬物石のように私の背中にドーンとのしかかっていた。
うまくいかないのは、社員の質が悪いからだ。
「あの人のせい、この人のせい」
悪い原因は、いくらでも見つかった。
そんな風だから、番頭も1人辞め、2人辞め、次から次へと辞めていってしまった。
自分の不幸を人のせいにしながら生きているとき、
天から送られるメッセージはだたひとつ。
それは、病気だ。
痛い腹の原因は、十二指腸潰瘍だった。
これもみんなストレスが原因だ。
そうやって病名がついたからといって、命までとられるわけじゃない・・・
何も気づかない私だった。
酒はますます売れなくなっていく。
会社の赤字経営は加速するばかりで、自分が思い描いていた成功からほど遠くなっていった。
2週間の入院生活を送った。
眠れない夜が続く。
でもそんなことを繰り返すうちにふと違うことを考え始めた。
「人間とは・・・?」
「生きるとは・・・?」
本気で人生を考える作業が始まった。
「いかに自然との関わり方を見直すか」
35歳。
これからのテーマはこれだと悟った。
腸が腐るとは、またなんとストレートな病気の表し方だろうか。
でもなぜ腐ってしまったのだろう?
うちの会社経営も、くさっていたってことだよなぁ。
どうすれば腐らなかったのだろう、自分も会社も。
そもそも腐るって何だろう?
そんなことを考えていたら、あるとき大変なことに、
いや当たり前なことに気づいてしまった。
寺田さんが何に気づいたのか?!
お楽しみに

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