クリスチャン・ツィメルマン
(ツィマーマンと表記することもあり)が現代最高のピアニストの一人であることに異論を唱えるものはいないだろう。あまりにも完成度の高い演奏にたちまちファンになり、来日の度にコンサートに行くようになった。
彼はあまりにもストイックな故に、録音に関してものすごくナーバスである。若い頃の録音でも封印してしまった(廃盤)ものも数多くあるし、コンサート会場での不正な録音にも神経質である。彼にとって音楽は「一期一会」なものであり、ライブこそ自分の音楽の神髄と考えているようだ。
そういった意味では、ライブを封印しスタジオ録音に情熱を燃やしたグレン・グールド
とは対極の存在かもしれない。
以前クラシック好きの中学時代の親友と語ったのだが、確かにピアノという楽器は空間も含めての音であるから、CDとライブでは全く別物である。オーケストラと違って、ピアノという楽器はそれが鳴っているホールの空間、空気感までもがピアノの音なのだと思う。それがCDでは伝わらないのだ。この見解が全くその親友と一致したのが嬉しかったのだが、ツィメルマンも同じように考えているのかもしれない。
従って彼のCDは最近は特に難産である。今回の新譜、バツェヴィチ
のソナタとピアノ五重奏曲もそうだった。発売が何回も延期され、ジャケット写真まで出来ていたのに一時は発売中止にまでなった。それがやっと発売され手元に届いた。
バツェヴィチは20世紀のポーランドの女性作曲家である。ツィメルマン自身がポーランド人であり(ショパンの祖国)、祖国への想いは並々ならぬものがあるだろう。そしてランランもそうだが、祖国の作曲家を積極的に取り上げていくのは、クラシック界の閉塞感を打破する意味でもいいことだと思う。
で、このアルバム である。ソナタ2番と五重奏曲1番は、以前来日した時に披露済みだったのだが私は別プログラムの日に行ったので初体験である(リンク先でちょっと試聴可能)。う~ん、いい。
20世紀の作曲家なので、テンションの高いコード、グリッサンドにポルタメントと現代音楽風味もかなり効いているのだが、そこはショパンを生んだポーランドの作曲家、しっかりロマン派の香りも残している。
しかし、単にロマンティックなのではなく、駆り立てられるような、これも「ザワザワ」感満載で、いい! 演奏も一音一音に魂のこもった気迫のある真剣勝負という感じ。聞き流すタイプの音楽ではないが、ちょっと普通のクラシックには飽きた方にオススメです。
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