「しょーちゃん何頼む?オーダー2品以上だから、まずは1つずつ選ぼっか」
「うわぁー、迷う!」
リモコンを操作している手元をしょーちゃんが興味津々で覗き込んだ。
ふふ。
レジ横にあったマラカスもドリンクバーも目をキラキラさせてたもんな。
もんじゃ焼きに行った時も思ったけど、しょーちゃんって好奇心旺盛なんだよね。
素直に喜んでくれるの可愛い。
もっと色んなところ連れて行ってあげたくなっちゃう。
「あ、これすごい!選べるポテトだって!これ食べたい!」
「いいね!お腹すいたからLでいい?」
「賛成」
「フレーバー2つだって。どれがいい?」
「断然チーズ!」
「めっちゃわかる!」
「だよね!相葉くんは何が好き?」
「俺ね、醤油バターけっこう好き」
「うまそう!それにしよう」
「いいの?やったー。俺はねー、あとピザ食べたいかな」
「さすが!俺もピザ好き」
「これも味2種類選べるって」
大盛りポテトとピザとポッキーをオーダーする。
ドリンクはさっき取ってきた。
しょーちゃんにマイクを手渡す。
「しょーちゃん、STORMの曲とかは知ってる?」
「知ってる!You are my soul soulってやつ?」
「1曲目それでいい?一緒に歌おうよ」
「うん!」
ということで記念すべきしょーちゃんとの初カラオケの最初の曲は、STORMのデビュー曲になった。
キャッチーな曲調と真似しやすい振りに親しみやすい彼らのキャラクターでみんなで盛り上がれるカラオケのテッパン曲だ。
しょーちゃん、友達とのカラオケ初めてだって言ってたし、こういう王道の曲があると助かるんだよね。
「とりあえず乾杯しようか。テスト終了お疲れ様~!」
「お疲れ様!」
「うわっ、始まった!」
「えっ、待って待って」
コップに口をつけるとすぐに聞き慣れたイントロが流れてきて、俺たちは慌ててマイクを手に立ち上がった。
「しょーちゃんがこんな上手いと思わなかったよ。特にラップパート!」
「ほんと?ラップ好きなんだよね」
「なんか意外だよね」
「言葉遊びしてる感じが面白いっていうか」
「へぇー!じゃあ普段はラップを聴くの?」
「うん。ラップと洋楽が多いかなぁ」
「まじで?かっこいい!!次は英語の歌うたってよ!」
「えー?聞くのと歌うの、違うからなぁ」
とか言いながら、何曲か歌ってくれた洋楽はすっごく上手でびっくりした。
もんじゃ焼きに続き、カラオケでもしょーちゃんの意外な一面を知ることができて嬉しい。
今回のデートもいい感じ。
「俺、トイレ行ってきていい?」
「じゃあ俺もドリンクバー取ってこよっと。しょーちゃんの分も取ってくるけどどうする?」
「じゃあコーラで」
「オッケ」
「ありがとう」
部屋を出て左右に別れて進む。
自分用のメロンソーダとしょーちゃん用のコーラを入れて、一足先に部屋に戻った。
冷たいメロンソーダのシュワシュワが乾いた喉を潤した。
今はちょうど1時間くらい歌ったところだ。
初めてだから緊張するなんて言ってたけど普通に歌は上手いし楽しいし、なかなか盛り上がってる。
今日も門限は8時。
これからどうしよっかな。
カラオケは一応2時間とってある。
このまま延長してもいいし店変えてもいいし、しょーちゃんと一緒なら何をしてもきっと楽しいし喜んでくれそうだし。
ゲーセンとかもいいかな。
絶対行ったことなさそう。
今日の記念にしょーちゃんとプリクラとか撮りたいな。
「……」
それにしても遅くない?
正確な時間は分からないけどもう10分くらい経った気がする。
トイレ混んでるのかな。
そういえばこの店舗、造りがちょっと複雑でトイレはひとつ下の階に行かないといけないんだよな。
「……」
もしかして、迷ってる?
大丈夫かな。
しょーちゃん微妙に方向音痴だからなぁ。
少し考えてからLINEする。
そしたらしょーちゃんのカバンの中でブブッと振動した。
げっ。
スマホ置いてっちゃったのか。
これはちょっと様子を見に行った方がいいかもしれない。
とりあえず貴重品だけ持って部屋を出る。
行き違いにならないようにキョロキョロしながら、左右を同じドアに挟まれた細い廊下を通っていくつか角を曲がって階段を降りる。
「あっ。しょーちゃん!」
って
あれ?
女の子と喋ってる?
知らない女の子が親しそうにしょーちゃんのシャツの袖をちょんちょんと引っ張った。
※STORMはT.A.B.O.O(SJ)に登場する
桜井祥と小野聡のユニットだよー☆