ぽつん。

と部屋のど真ん中に落ちている…置かれている?片っぽだけの靴下を見つけて少しの時間考えた。



えっと……これは?

顔を上げるとソファに寝そべっているしょーちゃんがサッとスマホに目を移した。


そういえば一昨日と昨日も同じようにしょーちゃんの私物が不自然に目立つところに落ちていたことを思い出す。

一昨日は黙って片付けて、昨日は「2日連続で落ちてるよー」って笑って報告して、今日で3日目。


しょーちゃんとは数ヶ月前から同棲を始めたけどストレスなく毎日を過ごしている。
お互いに一人暮らし経験者だったこともあってか、家事もできる方がやるというやんわりした分担だけどそれが不満にならないくらいには得手不得手がうまく噛み合っていると思う。

普段はあまり脱ぎ散らかしたりしないタイプなのに。
つまり、3日連続でこういう状況が続くのは偶然とは考えにくい。なにか意図があるのかな。


俺が靴下の前で立ち止まって何も言わないからか、しょーちゃんがそろーーっとスマホの影からこっちの様子を覗いている気配がする。



「ねぇ、しょーちゃん」

「んんっ!な、なに!?」



声をかけると咄嗟に反応した。
それ絶対気づいてたやつじゃん。



「あの、これは……?」

「これって?」

「靴下」

「靴下?なにが?」



なにがって……。

スマホに夢中になって上の空で生返事をしている、というかそれを装ってスマホの影からチラチラ俺の様子を伺っているしょーちゃん。



「はぁ……」



俺はやれやれとため息をついた。



「しょーちゃん、昨日も一昨日も靴下落としてたけど」



新しいおまじないか何かなのかな。
魔法陣的な?
占いとか?



「これなんなの?片付けちゃっていいの?もしかしてわざと置いてる?」



言いながら、なんか嫌味っぽい言い方になっちゃったかもと少し心配したけど



「すぐに片付けるね!」



しょーちゃんがソファから飛び起きて靴下を拾って



「ごめんね、相葉くん!怒った?」

「いや、べ…」



別に怒ったわけじゃないよ、と言いかけて
しょーちゃんが行動とセリフの割には目をキラキラさせて期待の表情で俺を見るから、一連の行動の理由を察した。



「うん、ちょっと怒ったかも」

「ごめん!ほんっとーにごめんね!」

「ふん」



わざとぷいっと横を向いてみせる。



「相葉くん~!」



あまりケンカらしいケンカをしたことない俺たちだから、こんな風にしょーちゃんに機嫌を取られることは滅多にない。

なるほど。
悪くない。

確かにこれは新鮮かも。



「相葉くん、ごめんね?」

「しょーちゃんはもう俺のこと好きじゃないんだ」

「好きだよ、めっちゃ好き!」

「本当かなぁ」

「本当だよ。愛してる」



もともと怒らない方なので、怒り方がよく分からない。

とりあえず拗ねてみればいっか。
なんかしょーちゃんもノリノリだし。



「じゃあ俺のことどれくらい好きなの?」

「すっごい好き。世界で1番好き」



ぎゅっと両手を握られた。



「ふーん?」

「優しくて可愛いくて大好き」

「嘘だぁ。俺可愛くないもん」

「めちゃくちゃ可愛いよ。全世界に自慢したいくらい可愛い。でも誰にも見せたくないくらい可愛い」

「ふふ、どっち」

「ほら可愛い」



ちゅっ。

思わず笑ってしまったらキスされた。



「ごめんね。次からは気をつける。許してくれる?」



別にもともと許してるんだけど、しょーちゃんが楽しそうだから少しだけ引き延ばしてみる。



「うーん、どうしよっかなぁ」

「ごめんね。愛してるよ、相葉くん」



ちゅっ。

ちゅっ。



「ふふ」

「どうしたら許してくれる?」



ちゅっ。

ちゅっ。



「して欲しいこと言って?俺、全部叶えてあげる」



ちゅっ。

ちゅっ。



して欲しいこと……。


しょーちゃんには感謝している。
俺のしたいことみんな叶えてくれたし、諦めていたこんな幸せな毎日だって全部しょーちゃんがいてくれるから送れている。

想像の何十倍も何百倍も幸せすぎて。
これ以上望むことなんてないよ。



「相葉くん……なにして欲しい?」



繋いでいたはずの両手は、いつの間にか抱きしめられている。

たくさんキスされて何も考えられない。



「そんなの、今が幸せだから何もないよ」

「あー、めちゃくちゃ可愛い……」

「ふふ」

「でもだめ。何か叶えたい。もっと幸せにしたい」

「えー」

「何がいい?言わなきゃだめ」

「じゃあ、もっとたくさんキスして」

「いいよ。何回くらい?」

「100回」

「ふふ、100回でいいの?可愛いね」



キスが深くなって
指が服の中に入ってきて

麻薬に溺れるように何も考えられなくなって



「ん……」



たくさんのキスと吐息と温もりと
しょーちゃんの匂いに包まれて



「しょーちゃん、大好き」

「相葉くん……」



俺たちはゆっくりゆっくりと
愛を確かめるように

溶け合って混ざり合った。













それからというもの、
2人は時々ケンカ仲直りごっこを楽しんだそうな。

おわり。




おしらせ

今月15日にアメンバー募集します。
リクエストありがと♡