「うわ~すご~い!大きなベッド!見て見て、大きなお風呂!」
「良かったね⋯」
可愛い教え子をホテルに連れ込んでしまった。
教え子といっても面倒を見ていたのはもう15年も昔のことで現在は成人しているし、なんと言っても恋人関係なのだから特段問題はないのだけど。
てゆーかこの場合はむしろ俺が連れ込まれたという方が正しいような。結局潤の手のひらの上で好きなように転がされている感じがするのは気のせいか。
「しょおくん、なんかテンション低い?」
「俺は今、背徳と欲望と理性の狭間に立っている」
「あはは、また変なこと言ってる~」
若さってすげーな。
その無垢な笑顔が眩しいよ。
「わぁーい!」
潤は俺の苦悩なんて軽く笑い飛ばしてベッドに勢いよくダイブした。
何はともあれ喜んでくれているみたいで良かった。
「あーお腹すいた。とりあえずビール飲もうよ」
テーブルの上ににコンビニ弁当とビールを並べて、残りのビールを冷蔵庫に入れる。
「ねぇ、しょおくん」
「缶のままいく?コップに出す?」
「ねぇこっち向いてよ~」
「なに?」
「しょ、お、くん♡」
振り返るとシャツのボタンをあけて肩を出した潤がベッドに横たわってこちらを見つめている。
「ごはん?お風呂?それとも⋯俺?」
じゃあ君で。
と言いたい気持ちをぐっと堪える。
この俺がいきなりがっつくわけにはいかない。
大人の余裕を見せなければ。
「ビールで」
「しょおくんノリわるーい!」
「宿泊するんだろ?今から飛ばすとバテるよ。時間はあるんだからまずは乾杯しようよ」
「なるほど、ペース配分大事だね。さすが慣れてる」
「慣れてねーわ。お腹すいたの」
「俺もお腹すいた!乾杯しよ!」
潤は楽しそうに俺の横に座った。
俺はグラスを2つ持ってきて、そこにビールを注ぐ。
「まさか初デートがラブホになるなんてなぁ」
「こんなとこに連れてきてくれてありがと、先生♡」
「先生って呼ぶな!」
「あはは」
ったく。
こいつ、分かっててからかってるだろ。
「ほらほら機嫌なおして乾杯しようよ~」
「では。俺たちの初デートに乾杯」
「ラブホに乾杯?」
「やめろっ」
「うそうそ。先生大好き。乾杯♡」
それから潤はグラスよりも先に俺に口づけた。
明日はオトノハですね。
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