時々おかしな夢を見る。


それは不思議な
だけどリアルな

現実と夢の間みたいな白昼夢。






(`・З・´)あ、アイバくんが新しいオモチャ出してるにゃん!

(´・∀・`)オモチャ?



声をかけると、キャットタワーの上で日向ぼっこしながら眠っていたサトシくんが目を覚ました。



(`・З・´)楽しそうにゃ~

(´・∀・`)待つにゃ!あれは危険な香りがするにゃ!

(`・З・´)危険な香り?

(´・∀・`)古くからの言い伝えで聞いたことがあるにゃ。ニンゲンが蓋のできる程よい大きさの箱やバッグを持ってきた時には、その中には決して入ってはいけないにゃ



広大なアイバリビングの真ん中に突如現れたケースは、俺とサトシくんが入ってもまだ余裕のあるサイズで、横と天井に出入口が付いている。
現在、アイバくんはその中に毛布を敷き詰めている。

危険な香りどころか、楽しそうなアスレチックかテントみたいだ。



(`・З・´)ふーん。入るとどうなるにゃ?

(´・∀・`)魅力的な入れ物につられて入ったら最後、俺達にはとんでもない不幸が降りそそぐことになるにゃ…

(`・З・´)ごくり

(´・∀・`)だから絶対に入ってはだめにゃ!

(`・З・´)わ、分かったにゃん!不幸になりたくないにゃん!

(´・∀・`)うむ。それでよいにゃ

( ’ ◇’)イチさーん、にぃさーん、キャリーケースの準備ができたよ。ふかふかぬくぬくお布団だよー

(´・∀・`)おふとぅん♡

(`・З・´)あっ!サトシくん!



サトシくんはあっさりお布団の誘惑に負けてそのケースに入っていった。



(`・З・´)サトシくん!大丈夫にゃ!?サトシくんっ!!

(´・∀・`)ふにゃ~♡ぬくぬくにゃ~♡



サトシくんはもううとうとしている。



( ’ ◇’)ほら、イチさんも入って

(`・З・´)でも…そこに入ると不幸なことが起こるにゃん?

( ’ ◇’)イチさーん。あれー?意外と警戒心強いのかな。ほら、おいでよ



サトシくんはケースの中で気持ちよさそうに寝ている。アイバくんは呼んでる。

行きたい。
でも行けない。


不幸になるなんて聞いてしまったら、俺は絶対…



( ’ ◇’)猫じゃらしだよ~

(`・З・´)にゃっ♡

( ’ ◇’)つかまえたー

∑(`・З・´)はっ!しまった!



気づいた時にはもう遅かった。

俺はひょいっと抱き上げられてケースの中に入れられた。



(`・З・´)ふぎゃーっ

( ’ ◇’)よし、じゃあお出かけしようか

(`・З・´)お出かけ?



ふわりとケースごと浮き上がる。
アイバくんが俺たちを入れたケースを持って歩き出した。



(`・З・´)ねぇ、サトシくん、どうしよう捕まっちゃったにゃん

(´・∀・`)んー?

(`・З・´)だって不幸が降りそそぐって

(´・∀・`)あー、古い言い伝えではそう言われてるみたいだけど、所詮は迷信にゃん

(`・З・´)迷信…?

(´・∀・`)アイバちゃんが俺たちを不幸にするようなこと、するわけないにゃん

(`・З・´)そうだけど…

(´・∀・`)それにこのお布団はふかふかぬくぬくで天国にゃ。不幸とか言ったやつ誰にゃ!ぶっとばすにゃ!



サトシくんはふんふんと猫パンチをして、それからぬくぬくお布団にくるまって満足そうにゴロゴロいった。



(`・З・´)……



まぁいっか。
やっぱりただの迷信だったのかな。


アイバくんが俺たちに酷いことなんてするわけないし。



( ’ ◇’)出発するよー

(`・З・´)どこ行くにゃ?

( ’ ◇’)10分くらいで着くからちょっと我慢してね

(`・З・´)わっ



助手席に乗せられて、アイバくんの愛車はゆっくりと出発した。

アイバくんの運転は相変わらず丁寧だ。
今日は俺たちを乗せているから、ことさら運転に気を遣っているのかもしれない。



(`・З・´)俺たちこれからどこに行くにゃん?

(´・∀・`)さあねー。10分後に分かるんじゃない?

(`・З・´)そうだけど

(´・∀・`)そんなこと心配しててもしょーがないにゃん。それよりしょーくんも一緒に寝るにゃん。めちゃめちゃ気持ちいいにゃん~

(`・З・´)……



確かにアイバくんが俺たちのために敷き詰めてくれた新しいお布団はふかふかのぬくぬくで気持ちいい。サトシくんを虜にしたのも頷ける。


だけど…。


漠然としたこの不安は何だろう。

不安を胸に抱えたまま、猫をダメにする魔法のお布団と車の心地よい揺れとサトシくんの温もりに誘われるように、やがて静かに瞼が降りていった。









夢でいいから~.•♬

って、これ前に書いてあったやつ。
タイムリー!

あっさり沼った…。
自担おそるべし。
ちょっと悔しい。