ワクワクが終わった。
まだ明日もあるけど。


ホテルに戻って5人だけで打ち上げ。


さっきまでセクゾも一緒だったけど解散して
智くんの部屋になんとなく集まったんだ。


「お疲れ様~!」

「カンパーイ!」


今日のお客さんの反応とか、セクゾの面白かったとことか、いつものノリで盛り上がる。



ニノが言った。


「そういえばさ、ここのホテル、昔も使ったことあるよね?」



潤と目を合わす。
2人して思わず黙ってしまう。



「そうだっけ?」

「かなり昔じゃない?」

「あぁ、言われてみれば見覚えあるかも。」

「Jr.の時とかだっけ?」








覚えてる。

Jr.の時じゃないよ。

そうあれは確かデビュー5年目くらい。


コンサートが終わってここのホテルに泊まったんだ。




その日はコンサートが凄い熱気で盛り上がって

気分よく5人でやっぱり智くんの部屋で飲んで

その後、潤と2人で俺の部屋で
並んでテレビを観ながらダラダラ飲んでた。






テレビでは、お笑い芸人の浮気やら不倫やらでワイドショーが騒いでた。


「お笑い芸人って、モテるんだなー。」

「ジャニーズの方がモテるでしょ。」

「でもジャニーズじゃ、まともにデートもできねーよ。」

「俺達が浮気なんかしたら大騒ぎだもんね。」

「本気の恋愛だったとしても大騒ぎだな。」

「ふふ、モテるのにね。」

「あーあ。マジで宝の持腐れだよなー。」



アイドルだって健全な20代の男子だ。

溜まるもんは溜まる。



「ねぇ。俺が相手してあげよっか。」


潤が指を絡めてきた。



「何バカなこと言ってんの。」

「俺はいつも本気だよ。」



潤は時折こういうことを言う。



そして、俺も何となく分かってる。

冗談っぽく言ってるけど
実は結構本気だってこと。



「俺、しょおくん好きだもん。」


今日は俺もお前もかなり酔ってる。


理性の利くうちに話題を変えよう。


今夜は、取り返しのつかないことになりそうな気がするから。





そう思うのに。



長い睫毛からのぞく

熱を孕んだ瞳。



「ねぇ?俺となら、バレないよ?」

「そんなことばっか言ってると本気にするぞ。」

「いいよ。」



そんなキレイな顔で誘われたら

誰も抗えないでしょ。



「本気にして。」



唇を重ねる。




一度重ねてしまったら最期。

求めたくなる。






ちょっとマズくない?

いや、相手が潤ならバレないでしょ。


でも…



葛藤してる。

でもこの誘惑に勝てる訳もなく。




もう引き返せないよ。

体が勝手に動くんだ。



潤の腕が俺の首にまきついてきて

俺も潤を抱き寄せる。




だんだんとキスが深くなる。



「…ンっ…しょぉ…」




潤。




今まではぐらかしててごめん。

ただ、怖かったんだ。


この一線を越えてしまったら、

もうきっと戻れないから。




本当は分かってたよ

お前の気持ちも、俺の気持ちも。





滑らかな白い肌。


「…んっ…ぁあ…」


俺の指の動きに合わせて

呼吸が乱れる。







ずっと前から好きだったよ。
それは変わらない。




ただ今日は、
自分の気持ちに理性が勝てなかった。

それだけ。





今まで溜め込んできた想いは、

出口を見つけて一気に溢れ出す。


もう止められない。








そしてとうとう俺達は




禁忌を犯した。