休み時間を告げるチャイムが鳴った。

4人は…
智の机で何か書いてる。



近づくと、僕に気付いたまーくんが


「ニノがきたよ!」

って言って、慌てて何かを隠した。


「?なに、かいてるの?」

「えっ?な、なにもかいてないよっ。」


なんかニヤニヤしながらごまかす。
ウソ、バレバレなんだけど。

イラっとするな。



「みせてよ」

「えっ、えっと…」

「なにかいてるの?」

「いや、だから、かいてないって!ほら!」

「なにかかくしたでしょ」


僕たちのやり取りを見てた翔ちゃんが言った。


「あのさ、にの、ごめん。
ちょっとあっち、いっててくれる?」


え?翔ちゃんまで?


チラッと見ると、智も潤くんも同じ顔してる。



え?

僕にあっち行ってろってこと?



「かず、ちょっとだけ。ごめんね。」

潤くんがそう言って、僕の席を指さした。



「あ…うん、ぼく、トイレいこうとおもってたんだ。」


そう言うと、みんなホッとした顔する。




僕は教室を出た。
振り返ると、やっぱり4人で机に向かって何か書いてるみたい。

楽しそうな笑顔。



あぁ、やばい。泣きそう。



僕はトイレの個室に入って
時間が経つのをただ待った。








次の休み時間は20分間。長いんだ。
やっぱり4人で何かをこそこそ書いてる。


まーくんと目が合うと、あからさまに慌ててるのが分かる。


また行っても「あっちいって」って言われるんだろうな。
もう一度言われたら、もう立ち直れないかも。


怖くて4人の方を向けない僕がいる。


どうしよう。20分もあるよ。




そうだ、図書室に行こう。
僕、本読むの好きなんだ。


そうだよ、もともと一人が好きなんだもん。
一人だと楽チンだし。


まーくんが外で遊ぼうって言うから
なかなか行けなかった図書室。

ちょうどいいや。






図書室で本を選ぶけど、なかなか決まらない。

どの本も面白そうじゃない。


おかしいな。

前にみんなで来た時はどの本も面白そうで
翔ちゃんとあれがいい、これがいいって言いながら選んだな。

潤くんは翔ちゃんにべったりくっついてて、翔ちゃんオススメの本を借りたんだ。
なんか難しそうなやつ。
あれ、ちゃんと読んだのかな?

そうそう、まーくんと智がふざけだして、司書の先生に注意されてたっけ。
それで、2人だけ図書室から追い出されたんだよ。ふふふ。






はぁ。
今ごろ、みんな何してるんだろ。

一人で来てもつまんないよ。
まだ何かこそこそやってるのかな。










僕、嫌われちゃったのかな…。





本棚の前にしゃがみこんだまま
結局何も借りられなかった。







教室に戻る足が重い。

ため息が出る。




あー、この気持ち、久しぶりだな。



まーくんと仲良くなって
みんなと仲良くなって

忘れてた気持ち。






教室に近づいた時


「あーっ、ニノいた!
みんなー!いたよー!」


智が走ってくる。


「あっニノー!」

「もうっ、どこ行ってたの~?」

「こっちこっち!」


4人に囲まれて腕を引っ張られる。




え?
え?

何??



わけが分からないまま廊下の隅に連れていかれた。
みんな、顔を見合わせてニヤニヤしてる。



「せーのっ」

「「にの、おたんじょうびおめでとう!!」」



4人から一斉にノートの切れ端を渡された。


「…へっ?」



「えへへ、ニノ、おたんじょうびでしょ?」

「ニノへ、メッセージかいたんだよ」

「びっくりした~?」



「う、うん、びっくりした…。」


「いぇーい!だいせいこう!」


4人は満足そうにハイタッチした。

良かった、僕、嫌われたんじゃなかったんだ…。



「ねぇ、よんで、よんで」

切れ端を開く。



「……。
あの、おにんじょび…ってなに?」

「ぼうが1ぽんたりなくない?」

「あーーっ、ごめん、おたんじょうびってかいたの」

「いや、かけてないじゃん」

「あははは、いいでしょ、あいがあるんだから!」


ヒマワリみたいな笑顔でごまかす。
まったく、まーくんらしいよ。



「このえは、なに?」

「これはニノのにがおえにきまってんだろ」


これ、僕?

っていうか、人?


「あ、ありがとう」

「これ、にんげんにみえないよね!」

「じゅん、うるせー。」


ふふふ、翔ちゃんって何でもできる風だけど意外と無器用なんだよね。




「っていうか、このえ、うまい!」

智の切れ端にはドラゴンボールの悟空。

「さとしくん、めっちゃうまいよな!」

「すげー。」


僕の誕生日の要素、ひとつもないけど。

でもドラゴンボール好きな僕が喜ぶと思って描いてくれたのが分かる。




潤くんの切れ端には


かず だいすきだよ
ずっとずっとなかよしでいてね
じゅん





あぁ
さっきと違う涙が出そう。

今日の僕の感情、忙しいな。




でもね、

ノートの切れ端やプレゼントよりも一番嬉しかったのは、

やっぱり4人の笑顔。


4人が僕に笑ってくれなくちゃ
どんなプレゼントも意味がないって分かったよ。


だから、僕からもお願い。







ずっとずっと、なかよしでいてね












…☆……☆……☆……☆……☆…




ニノちゃん、お誕生日おめでとう♥


いつも絶妙なバランスで

4人を見守ってくれてる

あなたが大好きです。


これからも、

ずっとそのままのニノちゃんでいてね。


嵐になってくれてありがとう♥